2年2組
「コンバースなんか履いてくるんじゃなかったぁ」
銭湯で爪先歩きするのと同じように
田んぼの畦道を歩いている。
「こっちのが近いんだから我慢して」
「近道なんていいよ〜
てかUFOなんてあるわけないじゃん」
気怠そうに答える結海(ユミ)に目を向けず
希美花(キミカ)は足を進める。
返事はしなかった。
結海に見えないように、もう一度LINEを開く。
「今日、お父さん来てる」
「わかった」
「晩御飯までには帰ってもらうから。
ごめんね」
返事はしなかった。
「わかった」自分の言葉が耳の奥で反芻している。
わかってるよ。
UFOなんて無いに決まってる。
「お姉ちゃん、待って。暑いよ〜」
その言葉で太陽の存在に気づく。
さっき買ったアイスはもう滴り出していた。
花に亡霊 / ヨルシカ
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