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#4 児童精神科での心理臨床1

児童精神科で働く私たち臨床心理士・公認心理師(以下「心理療法家」という。)の仕事について,その一端を綴ってみようと思います。

まず,主たる対象となるのは,精神科的な不調・心理的な不調等を抱えるお子さんです。しかし,お子さんだけに関わるのではなく,必要に応じて親御さん等の「関係者に対し,その相談に応じ,助言,指導その他の援助を行う」こともあります(「  」は公認心理師法 第二条 三から引用)。

私たち心理療法家は,主治医からの指示を受け,お子さんの年齢に応じた心理検査等を用いて心理査定(アセスメント)を行いますし,同じく,主治医からの指示を受け,お子さんの心身の発達に応じた方法によって心理面接(カウンセリング)を行うこともあります。

心理査定や心理面接の概要については,こちらをご覧ください。

一つ記しておきたいことは,概念上「アセスメント」「カウンセリング」と分けて記していますが,臨床上はこの2つの営みを分けることはできないということなんです。

どうしてかというと,カウンセリングのなかで,私たち心理療法家は時々刻々とアセスメントを行っていますし,心理検査の時間や空間には心理的支援の機能や雰囲気が不可欠と言えるからです(この点については,機会があればまた別の記事で)。

私たち心理療法家は,アセスメントやカウンセリングによって,受診されているお子さんの心の動きを細やかに観察し,それを主治医にフィードバックすることで,治療方針を共に考えます。

看護師さんとの連携もまた,児童精神科を含む病院内での心理臨床において重要です。入院生活を想像してみてください。

看護師さんは,患者さんの入院生活に密接に関わってくれますよね。その看護師さんたちによる観察から得られる情報は,私たち心理療法家にとっても,とても貴重なものです。

時には看護師さんからの一言が,児童精神科に限らず,治療の突破口になることもあります。この経験は一度や二度ではありません(助けてくれた看護師さん,ありがとう!)。

児童精神科における心理臨床では,教育関係者や福祉関係者との連携も大切です。これは受診されているお子さんの社会的な側面に焦点を当てたものです。

学校や地域社会での様子を把握し,療育や支援の必要性をアセスメントすることは,心理臨床家にとっても欠かすことのできない仕事です。

教育・福祉関係者との連携を通じて,お子さんが直面している事態を多角的に捉え,それぞれの場で最適な支援が行えるように努めることも,私たち心理療法家に課された職責であると思います。

通院・入院しているお子さんや,その親御さんとの治療関係構築に関して心がけることは,アセスメント結果や治療の進捗,見通し等について,可能な限り具体的に伝えることではないでしょうか(これは,私に限らず全ての心理療法家が心がけていることだと思います)。

年齢等に応じた例え話を使ったり,生活の中での具体的なエピソードを盛り込んだりしながら,分かるようで分かり辛い“こころのこと”を具体的に理解してもらえるよう工夫します。お子さんと親御さんができるだけ同じ方向を見ながら治療に参加できるようになっていただきたいですからね。

ここまでお読みいただきありがとうございます。

秘密保持義務を遵守しながら,今後も児童精神科での心理療法家の役割等について皆さんにお届けしていきたいと思います。

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