秋の終わりの唄 ろ

天のぼる
煙は雲に
なりたくて
けれども届かぬ
大空の夢

木の枝に
残された柿
寄せ合って

天の橋
走ってみたら
ただの道

崖っぷち
命を受けた
松の木は
曲がりくねった
巨木になった

竹林の
すっと伸びたる
美しさ

電線を
駆けて巡たる
電気たち
一体どまで
旅をするのか?

目に見えぬ
電波が伝える
恋心
海をも越えて
あなたのもとへ

取り囲む
山が故郷を
守ってる
山がふるさと
閉じ込めている

大空へ
飛び上がりそう
このさかを
ジャンプ台に
したと思う

木の枝に
取り残された
柿の実は
やがて朽ち果て
土へと還る

人生を
終えて死にゆく
人達の
何も残さぬ
潔さかな

ネギの束
抱える女
冬支度