零細の家族経営企業こそ経営理念を作ることのススメ
有限会社 秋山産業は経営理念と社訓を持ってます。
本当に小さい会社ですが、これらを大切に掲げて日々業務に励んでおります。
この経営理念、社訓に関する想いについては、弊社公式ウェブサイトにてアツ~く語っておりますので是非ご覧いただきたいです。
この場では私の会社の経営理念、社訓のそのものの中身についてではなく、
零細の家族経営規模の小さい会社が、なぜ経営理念や社訓を作ったのか?
経営理念、社訓を作って良かったこととは?
についてお話ししたいと思います。
気が付けばもうすぐ47歳。経営という仕事に携わって約20年経ちました。
「会社をとっても大きくしました!」とは言えませんが、振り返れば今日まで経営を続けてこれたのも、経営理念と社訓の制定は大きなポイントの一つだと確信しております。
そしてこれからも重要な局面で大きな励みになってくれると信じております。
もともと縁の無いものだと思っていた
まず、私が有限会社 秋山産業に入社したのは、今から約21年前、平成14年4月です。
入社当時は、先代である私の父が代表取締役(現会長)で、他には作業担当のパートタイマーさん(現在も大活躍中)が1名おられたので、社員2人のところに私が入って計3人となりました。
いかにも「零細の家族企業です!」というところから、私の「秋山産業ライフ」はスタートしました。
先代である私の父は、1986年3月に同業他社の営業マンから独立して秋山産業を立ち上げました。
いかにも昭和時代のバリバリ営業マン。孤軍奮闘で営業活動を行い、会社を育てて私たち家族を養ってくださいました。
でも、営業はできても経営はお世辞を言っても上手で無ければ関心も無い。
また、経営理念の必要性は全く感じていなかったと思います。
一方の私は、愛知県の大手自動車部品メーカーに3年間勤めて、ふとしたきっかけで退社し大阪に出戻りした「ただ元気なだけの若造」(*_*;
大学は工学部電子工学科出身、前職はアフターサービスに関する業務だったので経営のことなど全く無知💦
以前勤めていた会社の経営理念を意識したことなど一度も無い💦
こちらもやはり、経営理念の必要性は全く感じておりませんでした。
経営理念の必要性を感じたきっかけ
秋山産業に入社してしばらくの間はとにかく仕事に慣れること、売上を増やすことに必死でした。
相変わらず経営のついては興味、関心を持たず、「その月、その日の売上と利益が上がっていればなんとかなるわ」という思いで過ごした日々。
それでも時が経つに連れて、会社のことや仕事内容のことが判ってくると、私にも次第に「家業を継ぐ」と自覚が芽生えて会社運営に携わるようになりました。
会計を担当して経営の数字を学んだり、自己流で予算計画を行ってみたりしてみると、「経営って大事なんかもしれんなぁ」と少しずつ考えるようになってきました。
この頃には家内が一緒に働き出し、新しいパートタイマーさん(現在は正社員で活躍中)が入社され少し賑やかになってきました。
そんな時、出入りいただいている信用金庫さんの主催で若手経営者のための経営勉強会がありました。最初は全く乗り気では無かったのですが、信用金庫さんとのお付き合いもあるので顔を立てるくらいのノリで参加。
秋山産業に入社して9年、外に勉強に行くのは初めてのことでした。
経営コンサルタント会社から派遣された講師が、経営に関する心構えや数字に関する基礎を教えてくれるとのこと。
私はそれまで正直なところ、経営コンサルタントなるものを全く信用していませんでした。
「実際に会社経営しているわけでも無いのに外から見て何が判るんや??」
「リアルに毎日零細企業やってる俺の方が色々経験してるから知ってるし」
ヒジョーに斜に構えたもんです(;・∀・)
しかしながら実際に勉強会に参加するとそのような偏見は一気に吹き飛びました。
講師の話が面白かったからなのか、勉強する内容がハマったからなのか、どちらもだったのかもしれませんが、とにかく背中に電気が走りました。
「経営ってやっぱり大事なんや!」
今までちょっとずつ考えていたことがここで一気に確信に変わりました。
この勉強会の中で、一番最初に、一番長く取り上げられたのが経営理念についてでした。
当時の秋山産業には経営理念はありません。
経営理念とは会社の存在意義。そんなことも定義していない会社がこの先やっていけるのだろうか?
知識を吸収する喜びと同時に、現状への不安を大きく感じました。
まさにその時、講師からこのような一言が!
「もし会社に経営理念が無いのでしたら今日作りましょう。」
「よし!作ろう!」
ソッコーで決断しました。
今思うと経営者のタマゴとして本当に無知でした。
そして、当時の私は会社経営についてすごく知識を欲していた時期だったのだと思います。
このタイミングでのこのような勉強会は本当にドンピシャでした!
ソッコーで作った経営理念と社訓
「経営理念を作ろう!」
と決めたその日の夜に、なんと経営理念と社訓ができちゃいました(笑)
事前の検討に2時間程度、文章化するのに1時間程度で仕上げたと記憶しています。
経営理念を作るにあたっては、現在の業務内容については敢えて考えないことにしました。長く会社経営を行うことを考えると将来業務内容が変わる可能性はありえますので、ここに縛られてはいけないと思いました。
「社長である自分がどんな会社にしたいのか?=経営理念」ですが、これをいかにシンプルに、短く表現するかに拘りました。
経営理念と一緒に社訓も作りました。
社訓は日常の行動指針を明文化したもの。秋山産業のスタッフとしてのあるべき姿をいつでも判るようにしたかったのです。
社訓は箇条書きで3~5項目以内で作ると先に決めてから考えるようにしました。
シンプルに、短く表現することに拘る
箇条書きで3~5項目以内で作る
この2つのポイントに絞ることは大成功でした。
読み返しやすいし覚えやすいので、日頃から頭の中に留めておくことができます。すぐに読めるので、制定した当時は毎日出勤したらすぐに読むようにしました。
そして、経営理念、社訓を考えるにあたってもう1つ重要視したのが、創業者である現会長(私の父)の行動や考え方についてでした。
ここに会社のルーツがあることは間違いないので、取り入れることは必須だと考えました。
創業時の思い出、起業して楽しかったこと、苦しかったこと、好きな業務、嫌いな業務など、本人に色々聞き取りを行いました。
自分の父親ですので行動や考え方がイメージしやすかったのも幸いでした。
このようにして零細の家族経営企業の経営理念と社訓はできあがったのです。
経営理念や社訓を作って良かったこと
一番良かったことは自分の考え方に芯ができたことです。
零細の家族経営企業にとって、経営理念や社訓は経営者(=自分)のためのものだと思っています。
理由は経営者が一人で決断しなければいけないことが多いからです。誰にも相談しないで決めてしまうことも結構あります。
経営理念や社訓に掲げた言葉が意思決定の助けとなったこと、背中を押してくれたことが今までたくさんありました。
他にも、やるべきこと、やらないことを明確にする思考を持つことができました。
特に「やらない勇気」を持つことができました。
やるべき仕事に集中できたり、仕事のやり方を柔軟に変えることができるようになったのも、経営理念や社訓に掲げた言葉に従って行動したからだと考えています。
だから、零細の家族経営企業こそ経営理念を作ることをお勧めします。
こういうテーマの場合、逆転人生的な話になるパターンが多いかもしれませんが、私の場合は大きな乱高下も無く今日まで会社経営を行えてきました。
これはもちろん、私を取り巻く多くの方に良くしていただいたおかげや運が良かったからだと自ら分析していますが、経営理念や社訓を持ち、それを寄りどころにして来れたことも大きいのかなぁと感じております。
これから起業したい方、経営に携わって間もない零細企業の方でまだ経営理念などが無い方に、少しでも参考になれば嬉しいです。
最近は忙しいを理由に、経営理念と社訓をあまり読めておりませんでした。
初心に返り、明日から出勤したらすぐに読むようにします。
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