見出し画像

SDGs考察集 vol.11 | 2020.07.15

SDGsに関する商品・サービスを勝手に考察するSDGs考察集。
第11回(最終回)の目次はこちら。

結局のところ、SDGsとは何なのか

スクリーンショット 2020-07-08 19.34.23


視点「重要なのは、SDGsを自分の言葉で考えてみるということ

最終回となる今回は、具体的な商品やサービスを通じた示唆や見解ではなく、それらすべての基礎となるSDGsそのものに立ち返ってみたいと思います。過去10回にわたり、具体的な事例をベースにSDGsの考察を続けてきましたが、考えてみれば、SDGs自体についてわざわざ触れることは少なかったようにも思います。ということで、最後のテーマは「SDGsとは何か」について。一周回って、最終回にふさわしいテーマなような気もします。

結論から言ってしまうと、冒頭の「視点」で示したように、SDGsとは何かという、概要をそのまま覚えること自体には意味があまりなく、自分なりに理解・解釈し、自分の言葉で語れるようになることが最も重要なのだと思っています。それこそが、SDGsを学び、理解する上で大切なエッセンス。何事も、人の言葉を借りているだけでは自分のものにはなりません。事業のプレゼンテーションでも、採用面接の志望動機でもそうですが、やはり強くその人に根付いているなと感じて心動かされるのは、人が自分自身の言葉でしっかりと語っている瞬間なのではないでしょうか。こうした話になると、つい、正しい、誤っている、を気にしてしまいがちですが、まず何より大切なのは、SDGsを「自分のもの」にすることだと僕は思います。

ここからは、まさに「自分なりの解釈」になってはしまいますが、SDGsとはひとつの便利なツールであり、これからの時代を歩いていく上で、方向を指し示してくれるコンパスのようなものというのが僕の理解です。そして、ツールにすぎないからこそ、「自分のもの」にすることが重要になってくる。うまく使うかどうかは自分次第というわけです。企業においては、手段が目的化してしまい、SDGsに取り組むことが目的となってしまいがちな中で、このことを常に念頭に置きながら便利なツールとして使いこなし、自社のこれからの企業活動を検討していくことが重要。そのためにも、各々がしっかりと理解し、「自分のもの」に落とし込んでいくことが、ファーストステップとして大切なのだと思います。

SDGsをポジティブに捉えれば、可能性は一気に広がる

画像4

次に、SDGsについて「よく言われていること」を自分のフィルターを通して解釈してみると、そのメリットとして、以下のようなことが挙げられるのではないかと思います。

1. 計測・数値化によるメリット
人類の歴史の中で、「世界平和」「持続可能」など、漠然とした言葉に代わり初めて誕生した、人類共通の具体的な目標、指標、尺度であり、これまであやふやにされていた社会課題に対する達成度や順位付けが簡易に行えるようになった。(また、それらをインセンティブとして活用できるようになった。)

2. 新規ビジネス機会創造のメリット
1により、新たな市場やビジネス機会が生まれ、新規事業を検討する上での指標として使えるようになった。

3. 協働・共創のメリット
共通の具体的な目標、指標、尺度ができたことで、これまで利害関係があった事業者間や、異なる業種・業態間、産官学民間などでの協働・共創がしやすくなった。

4. イノベーション誘発のメリット
2や3に加え、ムーンショット的思考をしなければ到底達成できない目標をあえて設定することで、根本的な課題を直視しなければならなくなり、結果として本質的なイノベーションが起きやすい環境が生まれた。

つまり、1のように計測に用いることができるツールでありながら、2〜4のように、新規事業やイノベーションを生むためのツールとしても使える便利なもの、というのが僕なりの解釈であり、そう考えると、よく聞こえてくる「SDGsができてしまったから、弊社も何かしら対応 "しなければいけない"」という企業の姿勢には、どこかその本質とのズレがあるようにも感じられます。逆に "しなければいけない" ではなく、便利なツールとしてポジティブに捉え直すことができさえすれば、自ずと見える景色は変わり、隠れていた可能性が目の前に現れてくるのではないでしょうか。

日本は17位で後退傾向に
世界のSDGs達成度ランキング

スクリーンショット 2020-07-08 19.01.47

ではここで、先ほど挙げた1のメリットにも通じる記事をご紹介したいと思います。SDGsと向き合う上で気になってくるのが、世界のSDGs達成状況。つい先日、持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)などから、世界のSDGs達成度を示す最新のランキングが発表されました。記事によれば、北欧やそこに隣接する欧州諸国がランクの上位を占めており、日本は毎年、徐々にランクを下げていることがわかります。一方、それでもアジア圏では依然トップであることや、よくある「いい国」系のランキングで上位にいがちなスイスやニュージーランド、カナダと同等のレベルであることなどが見て取れます。

記事の中では日本における達成状況も示されており、社会課題として何かと取り上げられがちな環境関連のテーマ(目標13、14、15)が依然として大きな課題となっていることがわかります。また残念なのが、それら環境課題と同じくらいに、ジェンダーの課題が深刻であること。先進国の中で日本が大きく遅れを取っている領域でもあり、日本におけるジェンダー格差が一向に解消に向かっていないことが伺える結果となっています。

SDGs達成に向けた取り組みをAIでスコア化

画像2

さて、そうした中で、達成度をより簡易的にスコア化する仕組みづくりも並行して進んでおり、上記のようにAIを活用したものも出てきています。これはまだ、自治体のみを対象にしたもので、内容や機能もベータ版に近いものかとは思いますが、これに限らず、こうしたサポートツールが今後続々と生まれてくるのは明らかかと思います。

こうした流れの中では、やはりどうしても「対処しなければならない」という強迫観念のような受け取り方になりかねないですが、先ほど述べたように、ポイントは、SDGsをどうポジティブに捉え、前向きに活用していけるかどうかではないかと個人的には思っています。そのためにも冒頭にお伝えしたとおり、まずはSDGsに対する理解を深め、このツールをいかに「自分のもの」にするかが、SDGsと向き合う第一歩として重要なのではないでしょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?