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SDGs考察集 vol.01 | 2020.04.15

SDGsに関する商品・サービスを勝手に考察するSDGs考察集。
第1回の目次はこちら。

洋服のタグからブランドのサステナビリティを評価
「Clear Fashion」

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http://en.clear-fashion.com/


商品サービス概要

去年フランスでリリースされた、服のタグを写真に撮るだけで、ブランドがどの程度環境や社会貢献しているか採点できるアプリ。人間、健康、環境、動物という4つの項目において、それぞれ100点満点で点数を表示。ブランドがどういう取り組みをしているのか、詳細な情報も得ることもできます。


視点「見える化こそSDGsの功績」

SDGsの功績の1つとして挙げられるのが、これまで漠然と語られていた「世界平和」や「環境問題」といった社会課題について、非常に具体的なカテゴリ分けと目標設定がなされたということ。これにより、企業活動や商品サービスを第三者がSDGsの指標に沿って「数値化」「格付け」することが可能になりました。

その数字は、生活者の購買行動だけでなく、ESG投資や人材の獲得、サプライチェーンの見直しなど、企業活動の根幹に大きな影響を及ぼすことになります。SDGsのカテゴリや指標そのものは完璧なものではないかもしれませんが、これまで漠然としていたものをとにかく一旦「見える化」し、議論やアクションを起こしやすくしたということが重要。

このアプリはファッションに関するものですが、食品、工業製品など、幅広い分野に応用が効きますし、実際こうしたトレーサブルな取り組みを独自で進めているブランドも増えてきています。


SDGsに取り組むクリエイターや作品と触れ合える
「The Canvas」

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https://thecanvas.nyc/pages/about-us


商品サービス概要

SDGsについて学ぶというと、学校やセミナー、カンファレンスなどで座学を通して知識を身につけるイメージが大きいですが、このコラボレーションハブ「The Canvas」では、インフルエンサーや専門家を起用したトークイベントやワークショップ、アートやライブ、ダンス、ファッションなどを通してSDGsについて学ぶことができるのが特徴。もちろん販売している商品にはSDGsタグが付けられており、買い物を通してどの目標に貢献をしているのかが一目でわかる仕組みとなっています。
 

視点「ニワカをいかに獲得するかが肝心」

SDGs的思想を世の中に広げるためには、「意識高い系のもの」から「クールでカッコいいもの」への変容が重要。日本ではまだまだ、どこかの大学やお役所、コンサルファームの偉いさんがスーツを着て、大企業幹部を相手に講演している「堅苦しく、真面目な雰囲気」が多い印象ですが、これからはそういった「ダサい」コミュニケーションをどうアップデートしていくかが重要で、まさにクリエイティブ業界が担う役割でもあります。

そうした意味では、いかに「ニワカ」を獲得できるかが重要。例えばサーフィン業界は、めったに海には入らず、ファッションだけを楽しんでいるニワカサーファー、通称「丘サーファー」がいるからこそ、経済が成り立っています。先日のラグビーW杯の際にも「ニワカ」という言葉が注目を浴びましたが、ニワカを広げる、つまり裾野が広がるようなデザインを施し、ライトな層を数多く取り込むことがエコシステム構築には重要です。

SDGsにおいてその大きな鍵となるのが、人の感性に訴えかける「クールでカッコいいもの」であるかどうか。SDGsに真正面から取り組んでいるような活動家は、そうしたコミュニケーションにはやや疎い情熱的で真面目な人が多いので、そこをしっかりサポートし、アップデートしてあげることが、ムーブメント拡大には必要ですね。


食材在庫から世帯の消費傾向まで測れる食品トラッカー
「Bubble」

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https://www.altinoalex.com/bubble


商品サービス概要

カプセルの中に入れた食材の情報を自動で読み取り、スマホに伝達してくれるフードトラッカー。食品名を手動で入力する必要はありません。外出先でも自宅にある食材の在庫を確認することができるので、買い物のたびに冷蔵庫の中身を思い出そうと奮闘しなくて済みます。普段多く消費する食材やあまりがちな食材を計測し、食材の消費傾向を分析する機能も。食材の買いすぎを防ぎ、食品ロス軽減を目指すプロダクトです。


視点「マクロで影響を及ぼせるなら、ミクロで完璧を求める必要はない」

正直かなり眉唾モノというか、どこまでちゃんとできるの?というプロトタイプ感は否めないプロダクト。なぜ取り上げたかというと、そのアプローチがポイントです。

こういう食材の在庫管理機能はスマート冷蔵庫などで検討されることが多いですが、各社実用化にはなかなか至れていません。理由は完璧を求めるあまり、冷蔵庫内での読み取り精度の技術ハードルに悩まされているから。しかも、食材を何から何まで冷蔵庫に入れるわけではないので、完璧を求めたところで「漏れ」も出てきます。

であればいっそのこと、この商品のようなアプローチ、つまり、冷蔵庫に入れるという行動の一歩手前に着目し、買ってきた食材をとにかくラクにスキャンしまくれる技術のほうが早いのではないか。冷蔵庫の中身の減少具合は読み取れないですが、消費ペース予測は実利用データと機械学習である程度最適化できるので、食材の在庫や買い足しのタイミングなどは「ざっくり」知ることが可能になります。

「まったくできない」という現状をベースに、「ざっくりならできる」「ほぼ完璧にできる」のどこを狙いに行くかが重要で、各家庭単体では「ざっくり」レベルでも、世界規模で見れば大きな改善につながるのがSDGs。「プラごみゼロ」なども同様で、完璧なゼロを目指すのは大変ですが、少し減らすことくらいなら、日々の心がけ程度でできますよね。そうしたざっくりアプローチが、救急を要する地球の応急処置として、まず求められている気がします。

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