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職業サッカーコーチの僕が子どもたちに伝えたいこと

1993年にJリーグが開幕し、創成期の華々しいプロサッカー選手たちを見て、僕たちは育った。

プロサッカー選手になりたかった。

サッカーは美しく夢があると思った。

約20年後、念願の夢が叶い幸せな気分だと言いたいところだが、その過程で見てきたものは、金、権力、政治、宗教、賭博、賄賂、決して美しいとは言い難いことばかりだった。

プロの世界に足を踏み入れた時点でそれは避けては通れぬことは重々承知しているんだけれど、それだけでは面白くない。(人それぞれ夢の定義、何を求めるかは違ってくるのだけれど)

サッカーを通して僕たちが得られることは果たしてそれだけなのだろうか?

ふとこれまでの自分のサッカー人生を振り返り、サッカーを続けてきたことで自分が得てきたものは、お金ではなく、ストーリーだなと思った。

サッカーというツールを使って、自分自身はストーリーを得てきたんだ。

ストーリーにはたくさんの登場人物(友人)がいて、たくさんの出来事(学び)があり、僕を成長させてくれた。

そう、僕たち大人が本当に教えなきゃいけないことは、サッカー選手になる方法ではなくて、サッカーの価値、サッカー選手を目指す過程でどんなことを得られるのかを教えてあげなきゃいけない。

サッカーは世界で2番目に競技人口が多いスポーツ。(一番はバスケットボール。女性プレーヤーが多いことが理由だそうだ。競技人口が2位だけれども、ボールさえあればできるシンプルなサッカーは、国際連盟に登録されていない国々の人々もプレーしているので、実際は世界で最もプレーされているスポーツだということができる。)

言葉が通じなくても、サッカーボール一つあれば、色々な国の人たちと繋がることができる。

一緒にボールを蹴った友達から、まだ行ったことのない友達の母国に、招待されるかもしれない。

行った先に、新たなビジネスチャンスが転がっているかもしれない。

僕がサッカーを始めた頃、サッカー選手になる方法を教えてくれた大人はいたが、サッカーの持つ価値を教えてくれる大人はいなかった。

サッカー選手になる方法を教えることは、僕の役目じゃない。

僕は自分の子供たちに、世界の人々とボール一つで繋がることができるサッカーの美しさを伝えていきたいと思う。

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