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子どもは叱られると強くなるのか


子どもの教育において、怒ること(怒ることは感情が先行しているため)は良くないと思っていましたが、叱ることもまた自分の基準(私の言っていることは正しいという前提に立っている)で子どもの行動を評価してしまっているので、一概に良いとは言えないですよね。人を傷つけたり、死に直結するようなこと以外、叱る必要はない気がしています。

スポーツ指導の現場でも、“子供は叱られることで強くなる“というようなことをよく耳にしますが、本当にそうなのか私は疑問です。子どもは何か始める動機として「〜したい」という強い欲望から入ると思いますが、叱られたことで「〜しなければならない」という義務感に変わってしまうと思ういます。


叱られることへの耐性があれば話は別ですが、大半はそうではないと考えるべきです。基本的に人間は過去の体験から物事を判断する生き物ですから、叱られた子は、過去に叱られた体験を失敗と捉え、次の機会に挑戦することを放棄してしまうでしょう。これを損失回避と言います。


叱るということは、そのコーチの中に明確な判断基準がありますから、その枠から外れてしまうと叱られる。叱られた子供は、勝負所で失敗することに恐怖を感じてしまい力を発揮できなくなる、というのが私の考えです。上記にも書いた通り、大人の判断基準の中での評価ですから正しいとは限りません。


小学生の頃、サッカーのパスの練習中にコーチが「真っ直ぐ走って真っ直ぐ蹴れ!なんで横から蹴るんだ!だから強くて正確なパスができないだ」と怒鳴ってきました。しかし身体の構造上、ボールを蹴る際に脚は真っ直ぐ振り出しにくいので、少し斜めから入りスムーズな脚の振り出しを利用して強く正確にボールを蹴ることができます。その当時のコーチが言ってることは、私たちの感覚とは違うにもかかわらず、それでもその枠からはみ出すと叱られるのですから子供はたまったものではありません。


本田選手や長友選手のような鋼のメンタルを幼い頃から持ち合わせていれば叱りもパワーに変えて前へ進んでいけるのでしょうが、そうではない子だっています。「叱れば強くなる」という盲信は捨て、特にジュニアスポーツ指導では基本的には触らない、修正しないことがいいのではないかと思っています。

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