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理性は空腹に勝てない

空腹は人を狂わせる。

幸運にも21世紀の先進国に暮らす我々は、食糧が欠乏するという危機に直面することはほとんどない。確かに、我が国にも貧困にあえぐ人々がいない訳ではないが、それはほとんど分配の問題、つまり「食糧は量としては十分だが、必要な人に適切に行き渡らない場合がある」という話である。つまり、食糧が本当に量的に不足していて飢餓に陥る訳ではない。グローバルに視野を広げれば、絶対的貧困と呼ばれる生存に必要な量の食糧に物理的にアクセスできない環境で暮らす人々は確かに存在するが、実際のところ地球の全人口の腹を満たすだけの食糧は生産されている。つまりこれも、その地球規模での食糧の配分に偏りがあるというのが問題の本質だったりするわけで、やはり分配の問題が大きい。

とはいえ、腹は減る。どんなに飽食の時代であっても、食うべき時に食わずにいれば、腹は減る。そして、空腹は人を狂わせるのだ。

今日はそんな空腹に狂った人の話をしよう。読み終わった暁に、読者はこんな感想を抱くはずだ。このくだらない話に費やしてるその理性を昼飯で使えよ、と。この約3,200文字に費やした理性はいかほどか。

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