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古代ギリシャの叙事詩『イリアス』

『イリアス』は古代ギリシャの叙事詩で、トロイア戦争の一部を描いた物語です。ホメロスという詩人によって書かれたとされていますが、その正確な時代や人物像は不明です。『イリアス』は口承文学として受け継がれてきたと考えられており、古代ギリシャ語の韻律や抑揚を持って朗読されていました。

日本語に訳す際には、その詩的な特徴をどのように表現するかが難しい問題です。松平千秋氏の訳は散文訳であり、物語の筋や登場人物の感情を分かりやすく伝えていますが、韻律やリズムは失われてしまっています。呉茂一氏の訳は詩訳であり、日本語の韻律に合わせて創作されていますが、原文との乖離が大きくなってしまっています。

どちらの訳も一長一短がありますが、現存する最古の文学作品としての『イリアス』の価値は変わりません。古代人のロマンや神々の介入が織りなす壮大な物語は、今もなお多くの人々に感動や影響を与えています。『イリアス』に関連する他の叙事詩や神話も併せて読むと、より深くギリシャ文化に触れることができるでしょう。

「怒りを歌え、女神よ」で始まる『イリアス』は、ホメロスによってまとめられたとされる一大叙事詩です。この物語は、以前から伝承詩として語り継がれていたと言われています。

その韻律を味わい、語り手の自在に変化する抑揚を想像するには、日本語の散文訳ではどうしても限界があります。YouTubeで古代ギリシャ語の朗読を部分的に聴くことができますが、その磨き上げられた原文の美しさと語りとしての表現の可能性に驚かされます。

こうした語り芸が祭日などの機会に盛んに行われていた時代を振り返ってみると、興味深いでしょう。

YouTubeで古代ギリシャ語の朗読を聴くことは、『イリアス』の詩的な特徴を理解するのに役立つでしょう。私は、以下の動画と記事をおすすめします。

• 【古代ギリシア語で歌う】イーリアス第一歌1~7行:この動画では、『イリアス』の冒頭部分を古代ギリシア語の韻律と抑揚に沿って作曲して歌っています。日本語訳も併記されているので、比較してみると面白いかもしれません。

•  プラトーン『ソークラテースの弁明』第3章 古典ギリシア語朗読:この動画では、プラトーンの哲学的な対話篇の一つである『ソークラテースの弁明』の第3章を古典ギリシア語(紀元前5世紀アッティカ方言)で朗読しています。ソークラテースは、『イリアス』の登場人物の一人であるオデュッセウスになぞらえられることがあります。

•  ホメロス『イリアス』序文(第1巻1~7行)のギリシア語解説:この記事では、『イリアス』の序文のギリシア語の文法や語彙を詳しく解説しています。古代ギリシャ語の学習者にとっては、非常に参考になると思います。

皆さまに『イリアス』の魅力をより深く感じることができればと思います。


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