反響御礼・ご質問への回答 ~転職にあたっての嫁への説得方法等
バンコクの成年後見需要を探る取材旅行から帰国しました!
当地ではネット環境が整っており、スマホを十二分に活用できたので助かりました。(私は超方向オンチなので、Google Maps先生と繋がっていない場所では生きていけません)
先日退職エントリーを書いたのですが、LINEにも「記事読んだよ~」とか「なんで成年後見に興味持ったか教えて!」というメッセージを沢山頂きました。
そしてなんと今朝、「あの岡口裁判官が加藤君の記事を紹介してたよ!」というメッセージを弁護士の先輩から頂いて震えました。
(きゃーっ、業界のみならずの超有名人やんけ。)
https://twitter.com/okaguchikii/status/1110898717521899520
帰りの機内で、多かった質問についての回答を書いてみました。
【その1】給料下がるのに、嫁がよく転職許したね。実家が金持ちなの?
金持ちじゃ無いです(涙)
しかも、嫁は専業主婦。未就学児の子供二人。
本当に、良く許してくれたな~、と今さらながら感心してます。
いやいや、さすがに最初っから快諾してもらったわけではありませんでしたよ。
昨年末のある日の夕食時に、嫁に退職の決意を私が伝えたときの様子を再現しましょう。
嫁「え?転職先の『社協』って…なんなの?」
私「社会福祉協議会っていう、どの自治体にもある法人だよ(実は「成年後見センター」以外に何をやってるかよく知らないのは黙っておこう(汗)」
嫁「転職すると、収入あがるの?」
私「えっと…。あがらないです。今より20%ダウンかな(小声)」。
嫁「じゃあNPOの役員やるとかいってるけど、そこから報酬でるよね?」
私「最初はでないし…えっと、むしろ持ち出しもありえ…ます(汗)」
嫁「ちょっと何言ってるかよく分からない。NPOはいつ軌道にのるの?年収は戻りそうなの?」
私「自治体と協同したいんだけど、どのくらい時間がかかるか読めない、…です。長い目でみて…頂けると嬉しいです。収入は、2年後くらいには現状に戻ると計画…してます…(事業計画書を見せながら)(シドロモドロ)」
嫁「ねぇ、そもそも辞める必要あるの?裁判所で勤めながらNPOの兼業すればいいじゃん」
私「私もですね、えっと、それを希望していましたが、人事課から否定的な回答を貰いました(冷汗)」
嫁「…。もうちょっと裁判所の中で修行してからでいいんじゃないの?」
私「私もそう思いますが、次の異動で家庭裁判所に行けるか不明だし、それに、今各自治体が『成年後見制度利用促進の基本計画』を立てているところなので、この機を逃したくないのです(滝汗)」
張りつめた雰囲気の中での質疑応答は、株価暴落した会社の株主総会を想起させるものでありました。
両親の重苦しい雰囲気に耐えきれなかった心優しい長男(5歳)が、
「パパ、お話やめてLEGOで遊ぼーよ」
と助け舟を出してくれましたが、
「今ママと大事なお話をしてるからちょっと待ってね」
と正座しながら伝えたのを思い出しました。
(気を使わせてごめんね。)
何度も開かれた夕食時プレゼン大会を経て、ついに妻は、
「もぅ。どうせ止めてもやるんでしょ?二度とやりたいことを変えないって約束してくれるなら、転職、応援するよ」と言ってくれました。
そして、我が家にとっては結構な金額をNPOの持ち出し資金として使って良いとまで言ってくれました。女神か。
「弁護士になってバリバリ稼ぐ!」とか「裁判所で上を目指す!」とか今まで夢ばかり語っては失敗してきた夫ですが、今度こそは最後までやり抜きますので、応援してね。超感謝してますm(_ _)m
【その2】なんで「成年後見」に興味もったの?
これは、非常に個人的な体験からです。
5年位まえに、富山の高齢者施設に住んでいた祖母が、軽度の認知症とアルコール依存症(毎晩ワインを1瓶開ける)により自覚なく暴れ、施設を追い出されるということがありました。
名古屋に住む両親が「次の受け入れ先が決まるまではなんとか居させて下さい」と交渉しても、すぐに退所させたい施設側との溝は深まるばかり。
両親から頼まれて、私が富山在住の弁護士や行政機関に相談の電話をしても、あまり親身には対応してくれなかったのに驚きました。
(「約款上の要件満たすから、退所止めるの難しいかもなー」とか「電話で相談されても、対応は難しい」などなど)
両親が毎週のように陳情のため名古屋から富山に車で向かい、疲弊しているのを目の当たりにし、「おいおい誰も助けてくれへんのかいっ」と絶望しました。
そんな折り、裁判所書記官の仲間から、「身上監護に重きを置いた『市民後見人』(※)の利用を検討したら?」と提案されました。
恥ずかしながら、当時法律の勉強を初めて10年以上が経過していましたが、「市民後見人」なる言葉を知りませんでした。
(※)専門職(弁護士・司法書士・社会福祉士)以外の第三者成年後見人(親族以外の後見人)
結局祖母については、両親宅に一旦引き取り、名古屋で適切な施設に入居することで、認知症とアルコール依存症の症状が収まったため、成年後見制度の利用は今のところしておりません。
(今考えても、認知症の高齢者がアルコールを買うのを制限しない福祉施設ってどうなの?と思っています)
ただ、上記のエピソードが、自分にとって「成年後見」に「自分ゴト」としての興味をもつきっかけになったことは確かです。
【その3 なんで裁判所はNPOでの兼業に否定的だったの?】
これについては、完全に予想と違っていました。
前の記事でも書いたとおり、政府は昨年「国家公務員にも民間感覚をもってもらうため、公務に差し障らない範囲で非営利活動を許可する」との衝撃の指針を出しました。
(参考)国家公務員のNPO兼業後押し 政府、許可基準を明確化(共同通信)
この方針を前提に、昨年末に裁判所の人事課にメールして、
「成年後見制度の広報活動をやりたいので、社協かNPOで兼業する許可はでますか?」と問合せしました。
空気が読めないことで定評がある私は、
「裁判所の成年後見制度についての広報はまだまだ不甲斐ないとこあるからなぁ~、よろしく頼むわ!」と応援されると思っていました(マジで)。
しかし、予想に反し、人事担当者から2ヶ月超にわたる事情聴取があり、
結論としては、「正式な兼業許可申請があったとしても、不許可となる見込み」との回答でした。
理由を聞いても、
「裁判所は成年後見人の選任機関であり、成年後見の実施機関で兼務することは、国民からの信頼を害するおそれがある。」←社協のこと
「たとえ、後見制度の広報活動のみを目的とする組織の役員であっても、同じく不許可見込みは変わらない。」←NPOのこと
とのこと。
(私の当時の本音としては、
・「裁判所の独立」の建前からは、民事部所属の書記官が、休日に法人後見の担当者やって、国民の信頼を害するのかな?
・成年後見制度利用の広報って、どのへんが国民の信頼を害するのかな?
との疑問はありましたが、まぁ仕方がありません)
本日も、ご清聴ありがとうございました!
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長く公務員やっていたので、FacebookやTwitter等のSNSを活用しておらずごめんなさい!(「人事当局が常時監視しているんだって~」との噂が職員間にまことしやかにあったので、先週まで萎縮してました(笑))
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