オセロのような人生 : 物語の種 #03
落ち葉を踏みしめる。吐く息はまだ白くならないけれど、スカートの裾、マフラーの隙間から入る風は、冬が近いことを知らせてくれる。
この街に住んでもう4年になるのに、未だに知らない道やお店ばかりなのは、単に家がいちばん居心地がいいから。
モノトーンで飾ったあの家が、私の居場所なんだと電気をつけるたびに思う。
都市開発が進むこの街は見飽きることがなく、少し前まで空き地だった場所にマンションが建っているのを見ると、なんだかオセロの角を取られたような気持ちになってしまうのはなぜだろう。
そんな風に新しい建物、お店ができるたびに目を向けるけど、体は今日も同じ道を進んでいく。そんな私が唯一、居場所があると思えるのが、あると思えたのが、駅の反対側にある− - -
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