散文詩「常識供養」

 空は青い。
 なぜ青いのか。
 科学的には、太陽光が待機中の成分に反射し、その際の放射線濃度が人間の網膜には青に見えるからである。

 でもそれはどうでもいい。
 天気がいいと空が青い。
 悪いと黒い。
 夕方は黄色か赤。
 黄昏は青紫。
 夜は黒。
 そういうことである。
 これまでもそうやってやってきた。
 これからもそうだと安心する。

 たとえば明日、空が緑色だったらどうするか。
 それもおもしろい。
 みんなパニックになる。
 なんで緑か! とか。
 パニックになる。
 それもおもしろい。
 そのうち慣れるだろうし。
 緑の空の下で、真っ赤な草原の中で、大きな蚊に乗り、天高く登っていきながら、君にワインを振る舞おう。
 君だけのワインをね。

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