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生きる楽しみ 1

藤林邦夫の3分メッセージ(『生きる楽しみ』1991年版、pp.3-4。)

現代の若者たちの行動を解く、1つのキーワードは、「楽(ラク)」であります。何をするにも、それは楽なことであるかどうか、というのが判断の基準になっています。

例えばアルバイトを見つける。楽な仕事で、しかも収入の良いもの、となります。
楽して、楽して、面白くて、お金になって、とは、はなはだ身勝手なようですが、これが現代の若者の気質です。

従って、就職も結婚も、その延長線上にありますから、苦しくて、辛くて、縛られて、というのは、話になりませんので、中小企業などは、人集めに苦労しますし、一人息子で、両親と同居というようなケースは、結婚相手を見つけるのが大変という訳です。

宗教も同じで、人格の向上や修業するといった傾向でなく、歌って、話して、交わって、というサークルのような所が好まれます。
しかし、人生、果たして「楽」に一生を過ごせるでしょうか?

きっと、思うに任せぬ事や心痛む出来事に出会って、意気消沈することもあるでしょう。
その時「楽」でないなぁ、生きることは……と、しみじみ思うでしょう。

そこで、この「楽(ラク)」を「楽しみ」と読み替えてみます。
つまり、「楽(ラク)」な生き方ではなく、生きる楽しみを持つのです。すると、どんな困難な時でも、乗り越えて行くことができます。

聖書には、

「心の楽しみは良い薬である。魂の憂いは骨を枯らす」

(日本聖書協会口語訳聖書、箴言17.22)

とあります。

日本でも、お神楽(かぐら)と言って、神を讃える歌や踊りを、神の楽しみと書いたのは、意味のないことではありませんでした。

心の楽しみとは、神と共に生きることです。
神と共に生きる人は、いつも心の楽しみを持っているのです。
それが、真に楽な生き方です。

<著者紹介>
藤林邦夫 1935年(昭和10年)生まれ。日本純信聖書学院自主退学、京都福音教会で、35年牧師として従事。ホザナ園園長も務めた。1992年2月召天。
この一連のエッセイは、亡くなる直前の4年間に書き溜めたもの。


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