#16 「便利な鉄道」とはなんだろう

 近頃、転職したこともあり鉄道を利用する機会が格段に増えた。前職では自家用車を利用しなければいけないような場所であったが、今度は反対に鉄道でなければいけないような場所(=都会)に転職をしてしまった。
 その関係で、鉄道に対して思うことがある。「本当に楽だし、不便だな」と。

鉄道の功罪

 まず、自分で運転をしなくても目的地付近まで連れて行ってもらうことができるのは非常にありがたい。自家用車で移動することもパーソナルスペースで過ごせるから格段にストレスがあるわけではないが、移動に責任を持たなくても良いのは自家用車を運転する人間にとってはノンストレスであることは、他の人も同じ気持ちであるだろう。
 それに付随して交通違反など無駄なリスクを背負うことがないことも鉄道利用者にとっては大きなメリットとして挙げられる。自家用車を使用していると訪れる大きなリスクたちが鉄道を利用するだけで全て回避できるのは非常に大きいと言える。

 しかし、デメリットもある。時間をフレキシブルに操ることが不可能な点だ。車であれば、行きたいときに行きたいところへ行くことができるが、鉄道は必ずしもそうとはいかない。本数の多い都会の路線であれば全く問題はないが、田舎の路線であればそうはいかない。筆者は田舎の路線から都会の路線へ通勤しているため、帰りに途中駅で待たされたり、直通に乗りたいがために30分ホームで待たされることも少なくない。
 他にも、混雑していると体も心も休まらない。ストレス発散に大声を出すこともできないのだ。これができる点で、自家用車での通勤にもメリットが大きいことがわかるだろう。

東京・大阪・福岡・名古屋は便利、他は?

 表題の4地域は公共交通機関だけで生活することが可能な地方だと言える。本数も非常に多く、行き先も豊富で日常の足として使うには全く困らないものが多い。

 ただ、他の地域はどうだろうか?例えば首都圏から程近い埼玉県の西部では明らかに公共交通が充実していない地域が多い。八高線は両数も本数も少なく、秩父方面は観光路線ではあるが日常使用には不向きであると言わざるを得ない。

 このように不便な地域が日本には非常に多い。日常移動にもビジネス利用にも向いていない交通事情がある。そうすれば、自ずと利用者は減り、また使う用途が絞られ、また利用者が減り…と悪循環を引き起こしていると言わざるを得ない。

 この不便な状況、何とかして改善する方法はないのだろうか?

便利な公共交通を目指して

 この公共交通の現状を改善しようとする動きは各地で少なからず起こっている。

自動運転バスの運行

 例えば、2022年11月には神奈川県の湘南地域で自動運転レベル4の自動車を利用した自動運転のバスが試されている。

 レベル4のバスはハンドル・ペダルに加えなんと運転席すらないものになる。運転手は同乗せず、オペレーターと呼ばれる方が同情するのみである。そうすることで、わざわざ大型2種免許を持つ人を採用しなくてもよく、担い手不足の解消を叶えることができるのではないだろうか?また、レベル5が実用化されることとなれば、オペレーター(添乗員)すら必要ではなくなり、人材不足による減便は確実に防ぐことができる。

モノと人の効率的な棲み分け

 現状、モノを運ぶ際トラックがよく用いられており、ついで航空便や貨物列車という状況となっている。トラックは一台あたりの積載量が貨物列車等と比較して少ないため、物によっては余分にドライバーを使ってしまうことに繋がりかねない。

 そこで、貨物列車を効率よく使用することでドライバーの効率化を促すことができる。その余剰人員をバスのドライバーへと転換できる行政支援があれば地域の交通が少しずつ改善できるのではないだろうか。

 今日の交通の問題は「担い手不足」「交通の偏り」の二つが挙げられると考えられる。それを解決するための「自動化とそれによる資格の簡素化」「交通・物流の効率化」は官民を上げて取り組んでいかなければならない取り組みだと考える。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?