ネット世界の可能性

細田守監督のアニメーション映画「竜とそばかすの姫」。主人公は母が川で事故死したことを受け止められず、大好きだった歌うこともできなくなる。そんな中、世界中から50億人が集う仮想世界「U(ユー)」にベルと名乗り参加。歌姫として人々を魅了するようになったベルはUを荒らす竜と出会う。

最近インターネットや SNS といえば差別や誹謗中傷フェイクニュースと負の側面が強調されがち。しかし細田監督はネット空間に希望を見出す。リアル世界でうまく自分を表現できない人もネットの世界なら。これは決して逃げではなくネットという空間を使った自己表現だ。

私の好きなソードアートオンラインという作品では、フルダイブ型のバーチャルリアリティゲームが終末医療に用いられる可能性を描いていた。難病を抱え思うように体を動かすことが出来ない人でもゲームの世界なら武器を持ってモンスターと戦ったり未知の世界を探検したりできる。

ネット空間の可能性。細田監督の作品では今までの自分をリセットして自己表現できるメリットが。ソードアートオンラインでは肉体的な制約から解放されるメリットが描かれていると思う。ネット空間は現実社会の不適合者が逃げ込む場所ではなく、現実世界と対等な、私たちがいくつもの人生を生きられる場所なのだろう。ウイルスにより人々の物理的な接触が制限されていること、技術の発達によりネット空間へのアクセスが容易になってきたこと。こうした背景も、ネット世界の可能性をより身近に感じさせる。

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