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2022/08/09【米中の軍事緊張】ペロシ米下院議長の訪台で軍事危機が高まる、日本はどうすべきか【世界情勢】#84

今回は、アメリカのペロシ下院議長の訪台が大きな話題となっていますが、これによって米中の軍事緊張が大きく高まっています。この局面において、日本がこの危機をどの様に逆に利用していくべきかについてお話をしたいと思います。

ペロシ下院議長の台湾訪問

今回のナンシー・ペロシ下院議長の台湾訪問ですが、タイミングが最悪です。中国ではこの秋に5年に一度の共産党大会が開かれ、台湾統一は悲願である、自分の任期中に必ず実現させる、と言っている習近平主席自身の3期目、長期政権実現を目指すときであり、国民に絶対に弱みを見せられないというタイミングで行われた訪問でした。
このペロシさんという方、5月にもウクライナのゼレンスキー大統領訪問していますが、2007年に女性初のイタリア系アメリカ人として初の下院議長となって以来、民主党重鎮として活躍されてきましたが、強いリベラル派で且つタカ派と言うことで、元々中国の人権抑圧政策には強く反対してきた方です。今回も、ある意味ご本人の強い意志で、一部ではレガシー作りとも言われていますが、この最悪のタイミングで、たとえバイデン大統領が反対しても、そして実は台湾蔡英文総統も裏では制止していたそうですが、それでも意思を貫いての訪台と言うことで、裏に戦略的意義があるかどうか私も関係筋に探ってみたのですが本当に無い様で、少なくとも見えている範囲では、対中国に於いて過去最悪の軍事的緊張を生み出す結果になりました。
中国はこれを機会とばかりに軍事演習と言いながら台湾の海上封鎖のシミュレーションをしっかりと行い、そして日本の排他的経済水域、EEZに5発も弾道ミサイルを撃ち込んでかつこれを常態化させる、というきっかけ/口実を得ましたので、今後も日本のEEZを大きく超える軍事演習を行ってくることになると思います。

アメリカの対応

そこで今後ですが、アメリカは、軍事的緊張が高まる中で、今まで台湾に於いては現状のウクライナと同様中国を大きく刺激しない様に武器供与を行ってきた背景がありますが、今後はより直接的に対中国を想定した最新鋭の武器を大量に供給していくことで、抑止力を最大限にあげていく、という方向に転換をしていくと思いますが、曖昧戦略は継続して、アメリカ軍が直接関与することをコミットするまでは行かないと思われます。

日本が行うべき対応

問題は日本です。申し上げた通り、日本の海域にミサイルや戦闘機、艦船を送り込むことが今後常態化する懸念が大きく、沖縄諸島の安全が現実的に脅かされる状況になる可能性が大いにあります。ここで、如何にこのピンチをチャンスに変えていくかが重要で、侵略はひとたび始まれば必ず犠牲が出ますので、如何に事前に抑止出来るかどうか、抑止力の強化が最重要です。現実論として日本だけで抑止するのは限度がありますので、今回のペロシ議長の事象を利用して、同盟国であるアメリカのコミットメントをより強力に引き出していくことが出来るかが大きな鍵と思います。今回もアメリカはロナルドレーガンを中心とした空母打撃群をフィリピン海に待機させましたが、この様な動きをより活発化させて、横須賀の第7艦隊に加えて、沖縄エリアでもう一つ空母打撃群を常駐化させるなど、具体的なアメリカ軍の戦力強化を引き出していけるかどうかが非常に重要と思います。
勿論、自国防衛力の強化は非常に重要ですし、敵基地攻撃能力保有の議論や憲法改正議論も重要ですけれども、いくら憲法を改正してもそこから準備していては抑止という意味では到底間に合いません。
今回の件で唯一プラスがあるとすれば、他人事と思っていたことが実はいつ身近に起こってもおかしくない、と多くの日本国民が実感されたことではないかと思います。その声を高めて政府に届けること、そして日本には優秀な政治家の方がたくさんいらっしゃいますので、今後の日本政府の尽力に期待したいと思います。

今回の内容を動画で見たい方はこちら↓


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