見出し画像

メンタリストDaiGoの件を通じて思うこと①

メンタリストDaiGoさんによる、生活保護受給者及びホームレス状態の人に対して発言した動画が大問題となりました。
動画の内容自体は既に多くの方が知っていると思うので、ここでは割愛します。

この件は、2つの点で僕に触れる出来事。

一つは名前被ってること。
いや、だからなんやねんって話なんですが、自分の名前気に入ってるだけに、なんか変に他人事じゃなく感じる。
どうでもいい話なんですが、こういう細やかな共通点って大事やと思いますし、今まで触れたことない領域がふと「自分ごと」に近づく感じ。

二つめは僕の活動の領域に触れていること。
僕は、「生活保護」「ホームレス」に関する仕事をしています。
今回の問題となったことに対してモロに専門分野にいます。
なので、自分自身は「当事者」ではないのですが、おそらく知識や経験は他の方々と比べて多い方だと思います。
その分いろんな思いがこの出来事で沸き起こりました。

この2点において、まずは自分に触れることとなりましたが、そこからいろんなことに派生して、いろんな自分の当事者性が揺れて、感情がどんどん絡まってきています。

Twitterでも呟きましたが、
僕個人として、
「当該動画の発言は受け入れたくない」その上で、「なぜその発言、行動に至ったか」が気になります。

既にさまざまな方がいろんな意見、指摘などを表明しています。僕と同業の人もたくさん発信してます。
その方向性等についても思うことがありますが、それはまた今度書きたいと思います。(みたいなこと過去にも何度も言って書いてないことだらけですが)

「なぜその発言、行動に至ったか」がとにかく気になるんです。

僕はいわゆる「ホームレス支援団体」で働いています。
が、その前は民間企業で営業職に就いていました。
もともと学生時代から大阪市西成区釜ヶ崎でボランティア活動をしていたという背景はありますが、2014年に「認定NPO法人Homedoor」と出会い、理事長の川口さんと事務局長の松本さんに「一緒に働かないか」と誘われて、民間企業の仕事を辞めてNPOで働くことを決断しました。
(今はもう退職してNPO法人釜ヶ崎支援機構で働いてます)

当時、東京で暮らし、働いていて、僕自身にとっても大きな決断ではありましたが、家族・親族にとってはこの僕の「ホームレス支援団体への転職」は許容しがたい出来事だったようです。
理解が得られないであろうことは予想していましたが、予想以上のもので、親族から「もう、帰ってこないでいい」と、事実上の絶縁宣言をされました。
淀川の河川敷で昼回りをしていた時にひっきり無しに親族から「ホームレスと関わるな」という説得の電話がかかってきたことを今でも思い出します。
Homedoorでの入社を決めてから、退職&引越(東京→大阪)までに半年くらいの期間があったのですが、その間は帰る場所を失い、大阪に帰ってきたのに西成の簡易宿所(ドヤ)に宿泊したりもしました。
また、所得が下がるので実家に帰る気マンマンだったけど、帰れる状況になかたっため、賃貸アパートを契約する必要があったのですが、契約希望の場所が「三親等以内の連帯保証人」が必要で困ったのも覚えています。

僕の親族は西成で生まれ育ちました。なので、ホームレス状態の人との距離はかなり近いところで生活をしていました。
そんな親族がなぜ、ホームレス支援団体で働く僕を絶縁したか。

僕より上の世代の親族は激しい貧困と差別の中で生活をしてきました。

祖母は小学校で同級生から差別を受け、3年生で通学をやめて、行商をしはじめました。その後も革製品の加工などの仕事を行い、文字通り、寝る間も惜しみ働き続けました。命を削りながら努力を重ねました。
その甲斐あって、独立し事業が大成功し、貧困状態からいわゆる富裕層というカテゴリーで生活ができるようになりました。

差別を受けた経験があるからなのか、「お金がないと馬鹿にされる」という考えを強く持っていました。
お金を得るためには「努力をしなければならない」という考えで、働き続けました。
自分と家族の尊厳、命を守るためにお金が必要だったんだろうと思います。

そんな親族から見る「ホームレス」は、
・仕事をしていない人
・努力をしていない人
に見えたのだろうと思います。
それは、混沌とした時代の中で形成された自身のアイデンティを否定する存在に感じ、許容できなかったのだろうと思います。
だから、ホームレス支援団体で働こうとする僕のことも受け入れられなかったんだと思っています。

当時、親族からの事実上の絶縁宣言は僕にとって、すごく辛い出来事でしたが、その考えに至る背景=自分と家族を守るためにそうならざるをえない闘いの結果だと理解していたから、否定することはできませんでした。
時代の犠牲者であると思いました。
決してそうなりたくてなったわけではなく、誰も悪くない。

だから、自分のこの体験と重ねて、
今回のメンタリストDaiGoさんの件、
なぜ彼がわざわざそこまで「生活保護」「ホームレス」の存在を否定するのだろうか。と言うことがとても気になりました。

いいなと思ったら応援しよう!

小林大悟@釜ヶ崎
釜ヶ崎で稼ぎ、釜ヶ崎でほぼお金を使い切るライフスタイル。余ったお金は基本的に釜ヶ崎の支援団体に寄付してます。なので、応援していただくと、結果的に地域内の飲食店か支援団体にだいたい届くことになります( ^ω^ )