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BCPに犯罪、ハラスメントも入れるべきか?

事業継続計画であるBCP(Business continue Plan)は、医療、介護、福祉の分野では、東日本大震災の後に防災として急速に整備が始まり、そしてcovid-19を機に感染対策もその範囲を広げていった。

今回の問いに関しては、「犯罪、そしてその予兆にもなり得るハラスメントを、BCPに入れるべき」だと考えます。

3.11が医療・介護・福祉施設に防災やBCPの整備を義務化してきたのと同様、昨年から続く事件を機に、防犯をBCPに入れる社会に変化していくと感じています。

大坂の放火殺人と、埼玉の立てこもり事件は、この分水嶺となる事件だと感じています。
まさに、時代が変わる事件と。

なぜ、そのように思うに至ったか、そして、何ができるか、考えました。

①技術で解決できる範囲を超えている

医療や、介護、福祉サービスの担い手と、その利用者の対立は、今も昔も変わらずに生じています。そして、その結果としての犯罪も、双方でそれぞれ発生しています。
それらを解決しようと、制度的にも例えば「ハラスメント対策」や「説明と同意というプロセス」、「地域連携や患者支援」が強化されて来ています。
しかし、その限界もあります。
対話が成り立たない人、サイコパス、サイコキラーに対して、現時点では技術では(僕には)解決出来ません。
それを踏まえた対策を、組織としては考え、実践していかなくては、スタッフを守れません。予見可能性がある以上、結果回避について行動に移していくしかありません。

②需要と供給のバランス、医療・介護・福祉という限界のある資源への過剰な依存

担い手と、ユーザー(患者・利用者)間で、情報の非対称性があるのは、ある程度は仕方がないことです。
しかし、それももはや限界に来ていると感じます。

  • 些細なことで、いつでもどこでも受診できる医療システム

  • 早く利用を始めたことで、権力を振りかざすようになる患者や利用者

  • 自分の理屈で、医療・福祉・介護を使えないと納得しない患者や利用者

  • 高齢者に偏った、社会保障システムなど

もはや、その制度が成り立つ前提が理解されておらず、かつ持続可能性に限界が見えている、現状ではまずは、自衛が重要です。

③災害より犯罪の方が発生リスクは高くないか?

皆さん自身、被災と犯罪に巻き込まれた経験、どのくらいありますか?
これは、一概にはなかなか難しいですし、個人差が大きいと思います。

犯罪とした場合、スタッフも患者・利用者の両面あります。
本記事では、医療・介護・福祉系の施設を対象に記載しており、例えばクリニックや病院、特別養護老人ホームや訪問看護、生活介護事業所や就労支援サービスなどで、窃盗や横領、虐待、交通事故、過失による事故などが組織内としては考えられます。
患者・利用者側とすると、ハラスメント、暴力、そして本件のような殺人など。暴力や殺人は、あまりないと思いますが、ハラスメントはどうでしょうか?

ハラスメントが、患者や利用者だけの責任ではない部分があるかも知れません。社会の側や、制度の複雑さ、また社会経済的な状況にもあるかも知れません。しかし、だからと言って、スタッフを危険に晒して良いわけではありません。

本件のようなスタッフの危険に繋がる犯罪の予期因子としては、「ハラスメント」があるのではないかと、認識しています。

④提供拒否の禁止という「制約」にどう向き合うか?

医療では、「応招義務」、そして介護や福祉サービスでは「提供拒否の禁止」というルールがあります。
基本的には、患者、利用者を選んではいけないというルールです。

https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000581246.pdf

そして、これらについても悪質なケースや定員の関係から利用を断ることができるように、変化して来ています。

公的な財源である以上、開かれた資源として活用されるべきである一方、だからこそ持続可能な形で有意義に活用されるべき資源だと思います。

とはいえ、自分のことより、患者・利用者のために自分が犠牲になることを厭わない人が多いのが、医療・介護・福祉系(他の対人支援職の方も同様)の人だと思います。

だからこそ、経営者や管理職が、責任を持って対策を考えていくことが重要です。

⑤今できることは何か?

まずは、現場の患者利用者で、危険性のある方がいるかなどの、現状把握が出来ることだと思います。
例えば、

・これまでに、患者や利用者及び家族から、ハラスメントや暴力、暴言
を受けたことはあるか?
・これまでに、職員からハラスメントや暴力、暴言を受けたことはあるか?
・現在、患者や利用者及び家族から、ハラスメントや暴力を受けているか?など
・現在、職員からハラスメントや暴力、暴言を受けたことはあるか?など

このようなアンケートや聞き取りをスタッフに行いながら、実態を明らかにして、具体的な対策を考えることができるかも知れません。

また、それと並行して、段階に対応した選択肢をシミュレートしておくことも重要だと思います。

防犯を考える上では、その危険がある時どうするかと、危険な状況を作らないためにどうするかの、2つが特に重要だと感じます。

目指すべきは、危険な状況を作らないための、事前の備えをチームとしてどのように準備していくのか。

そのための、準備、計画、シミュレーションなどは、まずは組織のトップである経営者の責任ではないでしょうか?

⑥これらを実行することは、残念ながら根本的な解決には繋がらない

色々と、経営者の立場で考えて来ました。
組織を守るためには、必要なことだと思います。
しかし、これらの事件の背景やこの方々の状況を知らずして、行う対策はあくまでも対処療法に過ぎません。
だからこそ、出来る対策をしながら、明らかになる事実に注目して、原因となる背景を改善していくような、取り組みや働きかけも、並行してい行なっていくことが大切ではないでしょうか?

皆さんは、BCPに犯罪、ハラスメントも入れるべきか?否か?どう思いますか?

作成日:2022年2月1日

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