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地方の暮らしを包括的に支える拠点としてのデイサービスの可能性

2040年には、現在の1799自治体のうち、896の自治体が消滅可能性があるらしい。2014年の日本創生会議で報告された、いわゆる増田レポートの内容だ。

また、京都大学の広井良典教授は、人口減少社会のデザインという著書の中で、2050年日本は持続可能か?という大きな問いに対して、AIを用いた分析を行い、地本の持続可能性に関するシナリオについて報告している。シナリオは大きく二つに分かれ、都市集中型か、地方分散型か。

これらの報告の有無に関わらず、多くの方が日本の持続可能性について感じ、考えていると思われる。

都市は都市で大きな課題があるが、今回は主に地方の持続可能性についてデイサービスという資源の意義や価値について考える。

デイサービスは郵便局より多く、コンビニより少ない

デイサービスは、小学校より2.2倍多く、郵便局より1.8倍多く、コンビニのの約0.8倍の数、日本に存在している。

高齢化が進む日本において、コンビニは商業施設の最後の砦となり、郵便局は、地方の金融、配送を面で支える最後の砦であり、デイサービスは地方の暮らし支える最後の砦となるかもしれない。

介護保険には、さまざまなサービスが存在するが、在宅生活を支えるサービス数の上位5位がこちらである。

詳細は省くが、デイサービスは通所介護施設と呼ばれ、居宅サービス事業所と地域密着型サービス事業所を合わせると、43,754となり、全サービスで最多となる。

地方での在宅生活を続けるという意味において、場があることの意味や価値は非常に大きく、訪問型サービスと大きく異なる点でもある。

私たちは、2022年4月より、まず石巻の拠点の進化に取り組んでいる。デイサービスという機能を超え、地域の持続可能性に関わる取り組みであり、理念の具現化である。

当法人は、子供から高齢者まで病気や障がいの有無にかかわらず、地域で健康的に 生活し続ける事ができる社会を創造することを目的とする。

りぷらすの定款第3条目的より

地方こそ、包括的な場や機能が必要とされる

都市部では、市場規模に合わせて、さまざまなサービスが生まれ、また個別最適化していく。その結果、量も種類も多様化していく。人口規模がある程度あれば、サービス自体の持続性は保たれる。個人に最適化された、効率化された機能ばかり使うと、自由度は高まるが、その一方で孤独化、孤立化が進んでいく。都市部において、「公共スペース」や、「共有スペース」の価値が高まってきているのは、その表れではないだろうか。

地方ではどうだろうか。
そもそも、人口の流出に合わせて、サービスの持続可能性が失われていく。その結果、例えば塾やスーパーが撤退する。また商業施設や、公共施設の撤退も生じてくる。そのエリアに住み続ける人の利便性は、さらに失われていき、場としての余白が広がってくる。一方で、そのような地方の中でも、余白という価値に気づき、またそのエリアの人や自然が好きで、移住したり、新たな場を開発する人も出てくる。

都市、地方とも、共通しているのは資源やサービスが、地域に合わせて変化していくことである。都市部は、より個別のニーズに適応していき(個別最適)、地方は減少していく中で、残った資源やサービスが、他の機能を包括していく(全体最適/地域最適)。

地方の余白と利便性

地方では、生活力のある人は利便性の高いエリアに住まいを移す傾向が高く、結果として生活の選択肢が少ない世帯が地方に住み続ける傾向にある。もちろん、他の理由もある。例えば、自然環境や人の多様性、そして地方の余白や寛容性に惹かれ、住み続けたり移住してくる人もいる。

いずれにせよ、日本において人口減少自体は避けることができず、地方での暮らしを支える資源も減少、消失していき、生活の選択肢は減る。移動手段が少ない方など、そのような方々の暮らしにくさは増大していく。

そして、日本において生活の選択肢(時間、お金、人手)が少ない、生活の自由度が少ない人は増えてきており、それはマイノリティーではなく、すでにマジョリティーだと思われる。
例えば、子育て世帯、障害を有するがいる世帯、高齢者のケアをしている世帯、離れて親のケアをしている世帯、独居高齢者世帯、仕事と治療の両立をしている世帯など。

家族は、ただでさえ忙しい日常で、相談できる機関や生活のサポートを受けられる機関が分からなかったり、そもそもそのような場がない可能性もある。そうなると、現在の困りごとの対応は後回しとなり、結果的に事態は深刻化、複雑化していく。

物理的な「場」の大切さ

現在、最も多い世帯構成は一人暮らし世帯である。全ての世代が、望まない孤独や孤立のリスクに直面している。

共働き世帯数の推移
共働き世帯数の推移1世帯あたり平均総所得金額の年次推移

例えば現役の子育て世代は、女性の社会参加により仕事との両立をしている人の方が、そうでない人より増えている一方で、世帯所得は減少傾向にある。可処分時間や可処分所得が減少傾向にもある。

このような現代において、地域の居場所はこれまでよりも重要になる。気軽に立ち寄れる場所が増えていくことはとても大切だ。そこに、実は医療や福祉の専門家がいる / いた 。デイサービス及び福祉的な場は、これから先、そのような機能を担っていくのではないか。単なる介護保険の通いの施設ではなく、地域の誰もが気軽に立ち寄れ、お茶したり、一息ついたり、本を読んだり、地域に住む方の日常に登場する一部になっていく。

デイサービスに限らず、違う資源が、この機能を担っても良いし、そのような場が広がり、増えていくことが、地方に限らず都市部でも必要とされている。

コミュニティーナースのような取り組みは、これからの日本にとって極めて重要だと思っている。

また、長野県にある「みよたの広場」は、このように人の交流が生まれる場所として、とても楽しみ。

このような「場」は、「福祉」や「公」との相性がとても良い。

繰り返しになるが、年代、性別に関わらず、望まない孤独や、社会的孤立である。さらに人口が減少する地方において、その深刻さは増大していく可能性がある。

これからの日本は、新しい景色が必要とされている。

そのような時代において、デイサービスの役割及び、可能性はとても大きいと思うのです。

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