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介護や医療や福祉のこと

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医療や介護についての記事をまとめています。
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#リハビリテーション

リハビリテーション

砂原茂一著、岩波新書1980 日本におけるリハビリテーションの流れや世界での障害者に対する社会の変遷から、人権や社会のあり方について考えさせられる良書です。 本書の発行は、1980年と現代におけるリハビリテーションの実際や法体系とは異なる部分も存在します。 しかし、リハビリテーション自体の理念やリハビリテーションの分野においては、その始まりがより理解出来るでしょう。 また、40年以上前にもかかわらず、治療の限界を問い、リハビリテーションは今後の医学に普遍的な目標とされな

僕たちはどの程度リハビリテーションのことを知っているのだろう?

リハビリテーションとは、"してもらう事"や"訓練をすること"を指すのではなく、reとhabilisに分かれ、〇〇に適する、〇〇に適した状態になることである。それはつまり、"自分らしく生きる権利の回復"であり、"全人間的復権である"。このようにリハビリテーションについて学んできた。 つまり、権利や尊厳の回復でもあり、ジャンヌダルクやガリレオ・ガリレイの復権裁判にまで遡ると。 去年までは、これを全く疑うこともなく、とても大事な考え方であり、いかにこの概念を伝えていくかが大事だ

地球環境とリハビリテーション

地球環境と人々の健康は決して切り離して考えることはできない。 大気汚染による呼吸器系疾患、水質汚染による神経疾患、気候変動による食糧危機など、地球環境の影響によってリハビリテーションに関わる当事者は今も昔も存在する。 これから最も深刻化するのは、地球温暖化による影響ではないだろうか。 また、日本においては首都直下型地震や南海トラフ地震も予想される。全ての事象に対して考える知識は持ち合わせていないが、この2点については考えていきたい。 ①地球温暖化による現在の影響梅雨から夏

健康格差の社会学社会的決定因と帰結

保健医療従事者及び、学生にとっても必須の書籍です。この知識があるか否かで、あなたのアプローチは180度変わる可能性があります。 ライフコース疫学はもちろん、職場の影響や、雇用状況における影響など、健康に影響するが個人では限界のある社会的な要因について学べます。 これを読めば、健康は自己責任ではなく、社会側の責任でもあることが理解出来ます! 医療従事者だけでなく、ビジネスマンや経営者、そして政治家にこそ読んで欲しい1冊!! さわりを知るには、こちらがオススメ。 なんと

消滅可能性地域では、介護事業だけ行ってたらダメ

その地域の持続可能性によって、取るべき戦略は変わる。 人口減少社会においても都市部のように持続する可能性の高い地域と、逆に消滅する可能性の高い地域では、どのように事業を営んでいくのか当然変わってくる。 現在の先進事例や華々しい活躍をしている事業所が、もし都市部である場合、過疎地域においては全く参考にならない可能性が高い。 自分の立地地域の将来性を見据え、どのような戦略を取っていくのか、しっかり考えていこう。 また同じような地域でも、劣化コピーにならないようにしていかなけれ

介護が必要な人”も”良くなることはあります。むしろ普通です。

私たちは、「卒業させるデイサービス」を運営している訳ではなく、良くなったら終了(卒業)したいと思う人に、そういう選択肢をありますよと提示しているデイサービス。 なので、「卒業"も"できるデイサービス」と良く言っている。 この、"も"がとても重要。 卒業するか、卒業しないかは最終的には、ご本人が決めるので、僕たちが卒業"させる”ことなんか出来ない。 決めるのは本人なのだ。 介護保険の基本理念である、「自己決定」。 ・本人がどんな暮らしをしたいか? ・そこに適切な選

人生観、仕事観を変えた1冊〜患者さんの生活習慣を改善し、医療者の技術を向上すれば、病気や障害は良くなると思っていた〜

りぷらすでは、当事者へのアプローチ、社会を作るアプローチ、同時に2つのアプローチを実践している。 この、「社会」について知る機会となった1冊との出会いについて記事にしています。 リハビリテーションってすごい理学療法、リハビリテーション、医学って凄い! こんなにやりがいのある仕事に出会えて幸せ! そう思って、理学療法士の学校に入ったのが23歳の時。 1つ目の実習先では、急性期病院でICUや心リハを、 2つ目の実習先では、大学病院の付属病院(亜急性期)で脳卒中のリハを経験。

リスク管理から考えるケアのセオリーオブチェンジ

再生

NHKあさイチ「介護からの卒業」

2015年7月22日NHKにて放送された内容です。 「りぷらす」のデイサービスを利用している方の、デイサービスからの卒業と卒業後の実際の場面を撮影されています。

参議院議員選この人に投票しました(2019.7.21)

なぜ、今回はこの選択をしたのか? いつか振り返る時にまとめておこうと思います。 今回の選挙で、 宮城小選挙区は「石垣のりこ」さんに、 比例代表は「れいわ新撰組」に投票しました。 今回の選挙で悩んだ要因は、どの政党にするか決め手がない事でした。 ただ、これは多様な意見や政策があるのが当たり前なので、当然かもしれません。 僕個人の中での争点は何だったか? ・選挙戦の序盤では消費税増税 ・中盤では社会保障政策 ・最終的には、自分らしく生きる権利(リハビリテーション)が担保され

理学療法士だから理学療法士に投票するって本気ですか?

2019年7月21日に投開票を迎える参議院議員選挙。 僕は今だに、誰に投票するか悩んでいる。 比例代表の候補者は数名おり、絞りきれていない。 皆さんはどうでしょうか? 悩むのは、「理想」と「現実」。 理想が大きくても、与党にならなければ実行力がない。 一方、現実の延長に、日本が暮らしが豊かになるとは思えない。 故に悩みます。 さて、本題です。 僕は理学療法士です。 当然、悩んでいる立候補者の一人が理学療法士です。 一方で、私たちの仕事は、病気や障害を抱えた人の全人間的復

リハ職の地域偏在と開業について

こんな記事が出ましたので、黙って見過ごす訳にはいきません。 理学療法士などリハビリテーション専門職による開業(例えば訪問リハビリステーションなど)を認めた場合、地域偏在が進行し、病院での質の高いリハビリ提供に支障が出る恐れがあることから、病院団体して反対である。 とはいえ、僕自身の今の考えも、リハビリテーション専門職の開業(医療保険事業の認可)には反対です。 ですが、上記のコメントはどう考えても、病院の既得権益を守りたいと、言っています。 ここも言いたい事たくさんありま

「再現性」を高めるための「個人」と「組織」のサイクル

個人に関する要素①知識・情報(knowledge)  良くなる、卒業できるという事実を知っているかどうか。 ②意識・想い(mind/will)  良くなってほしい、その人の生活をより良くしたいという想いがあるかどうか。 ③経験(experience)  良くなる、卒業できるという経験があるかどうか。 ④当事者性(needs)  自分や家族が使いたい「モノ・仕組み」を作りたいと思うかどうか。 組織に関する要素①理念・ビジョン・ミッション その組織は、なんのために存在するの

自立支援に最も大事な4つの視点はこれだ!と思う。

介護や医療の現場において、自立を支援する事を考えていない人はいないと思う。 そもそも、自立支援とはなんだろう。 僕の解釈では、その人がその人らしく生きることができるよう支援する事だと思う。では、それを実現するにはどうすれば良いのだろうか? 今は、全ての職種でイメージ出来るほどシンプルで、全体最適で本質的な、概念が必要とされていると思っている。 しかし、制度や加算の複雑化、専門職種による専門用語の乱発などにより、自立支援を実践するのに何をどのようにすれば良いのか。 もし、