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介護や医療や福祉のこと

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医療や介護についての記事をまとめています。
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記事一覧

理学療法士協会の組織運営において重要だと思う4つのKPI

PT協会の存在目的や理念を達成するのに、どのような指標が良いだろうか? 自分が運営を担うと仮定した場合に、どのような指標が重要か考えた。 入会率 全体:会員数/資格取得者数 単年:会員数/資格取得者数 入会率について重要な指標は、上記の2点ではないだろうか。 定着率 全体:会員数/継続期間 年間継続率:1年後の継続している会員数(3月)/1年間に入会した会員数(4月) 定着率について重要な指標は、上記の2点ではないだろうか。 複会数 1年間に復会した会員

介護のプロに確実に出会う3つの方法

ビジネスケアラーが介護離職を防ぐために必要なことは、仕事と介護の両立に必要な介護休業などの制度の理解と、介護保険制度の活用です。介護休業などは、介護保険制度が前提となっています。 介護休業等に関しては、2025年の育児介護休業法によって大きく前進していきます。 育児・介護休業法 改正ポイントのご案内(2025年4月1日より段階的に施行) しかし、その介護保険制度を支える人材は減少しています。、必要とする介護サービスに繋がるためには、”業界内にネットワークを持つこと”が重

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地方の暮らしを包括的に支える拠点としてのデイサービスの可能性

2040年には、現在の1799自治体のうち、896の自治体が消滅可能性があるらしい。2014年の日本創生会議で報告された、いわゆる増田レポートの内容だ。 また、京都大学の広井良典教授は、人口減少社会のデザインという著書の中で、2050年日本は持続可能か?という大きな問いに対して、AIを用いた分析を行い、地本の持続可能性に関するシナリオについて報告している。シナリオは大きく二つに分かれ、都市集中型か、地方分散型か。 これらの報告の有無に関わらず、多くの方が日本の持続可能性に

介護休業制度だけでは、介護離職を防げない時代へ

ビジネスケアラーの離職予防に、国も本格的に動き出してきました。2025年、団塊の世代が後期高齢者になり、ここから介護が必要なフェーズになってきます。 この施策は、会議保険制度が基礎となっており、その上に育児介護休業法において介護休業や介護休暇、職場内での介護相談などが積み重なっています。介護離職予防の文脈で取り組まれていることは、この基礎の上の部分です。 では、この基礎となる介護保険制度はどうなっているのかですが、実はここの崩壊が始まりました。そして、それは今後加速していく

空振りOKの防災の考え方〜この3年くらいでデイサービスの経営者・事業責任者になった方へ〜

災害の予見可能性は程度がある。 例えば、地震については30年以内に70%など、いつ起こるかは極めてわかりにくい。 一方で、線状降水帯や台風などによる大雨、洪水については、1時間単位で予測がされるなど精度が高くなってきている。 今回の記事では、この後者について考えていきたい。 責任者の方は、大雨、洪水によって事業実施の判断について迷ったことがあるのではないだろうか。休業した場合、その経済損失よりも、実際には大した雨じゃなかったという結果に対する判断の過ちを恐れる傾向があるよ

リハビリテーション

砂原茂一著、岩波新書1980 日本におけるリハビリテーションの流れや世界での障害者に対する社会の変遷から、人権や社会のあり方について考えさせられる良書です。 本書の発行は、1980年と現代におけるリハビリテーションの実際や法体系とは異なる部分も存在します。 しかし、リハビリテーション自体の理念やリハビリテーションの分野においては、その始まりがより理解出来るでしょう。 また、40年以上前にもかかわらず、治療の限界を問い、リハビリテーションは今後の医学に普遍的な目標とされな

CCRCは介護難民問題のソリューションの一つになるか。

超高齢社会+少子化+円安+物価高+地方自治を考えると、今更ながら、CCRCの考え方がとても大事なフェーズになってきたと感じます。 というより、これからが本番ではないかと。 すでに日本で主要な産業(この5年で産業別で労働人口が最も増えたのが医療福祉人材)である医療福祉産業及び、その担い手を維持することが、地方の人口や少子化対策の一つとなります。ちなみに、産業別労働人人口では医療介護は第3位となります(2022年就業構造基本調査) しかし、2025問題の大きな要素の一つは、都

【個人情報の壁を考える】支援が必要な人を見つけた私たちはどのような対応の選択肢があるのだろうか?

私は普段は介護保険事業をしています。その中で、個人情報の取り扱いに関する署名をもらうので、その範囲内での第三者への情報提供について悩むことはほとんどありません。 しかし、保険事業外で出会う方で悩むことがあります。出会った方の生活がちょっと心配だな〜とか、2週間後どうなってしまうだろうというように、生活の不安や困窮が予見されるような方と出会うことがあります。その場合、どのように対応するのかを悩みます。 例えば 行政や、包括に情報提供した方が良いのか? 個人情報保護につい

臨床と宗教〜死に臨む患者へのスピリチュアルケア〜

死に向き合う医療者の苦悩や恐れに対する医療では解決できないヒトの根源に触れる1冊。 誰もが死を迎えることを考えると、全ての医療、福祉関係者にも大切な内容。 本書は主に、著者の孫大輔氏と5名の医師や宗教家との対談をベースに、各識者の専門性や実践、またその領域における歴史的な変遷と共に、孫氏の臨床上の経験や苦悩、教育や普及について幅広く纏められています。 特に、日本における宗教の立ち位置や人々の認識はとても重要で、歴史や現在地を知る上で非常に参考になります。 グリーフケア、

患者はこう考える〜入院や入院継続は医学的リスクだけで判断しない〜

改めて、病気ではなく、「医療における入院」の基準や定義について調べてみたのですが、残念ながら見つけられません。では、何を根拠に「入院」を判断するのか。 一般的に医学的なリスクが高い場合に検討されるのではないでしょうか。例えば、命の危険があることや、後遺障害の可能性があること、治療に伴う重篤な副作用が伴うことなど。 そして、それを科学的根拠をもとに判断するのが、診療ガイドラインです。 このサイトをご覧頂くと、さまざまなガイドラインが検索できるので、皆さんや周りの方でご病気

腸と脳〜体内の会話はいかにあなたの気分や選択や健康を左右するか〜

本書を読んでの7つの気づきを。 ①人間の腸内には100超個を超える微生物がある。  人間の細胞は60超あり、私たちは微生物と共生している。 ②「脳ー腸ーマイクロバイオーター」相関  腸内微生物の多様性と脳、神経疾患の関連性がある ③新生児の腸内マイクロバイオーター  母親の膣内微生物と出産の関係  妊娠中及び授乳期間の母親の食事 ④内臓感覚 ストレスは、脳だけでなく、腸でも感じている。 腹が立つ、腹が痛い、腹が座るなど。 脳で言語化されるより早く反応するので、体の声を

天疱瘡という難病の体験記_第0話入院まで

これは、2023年7月18日に天疱瘡という国指定の難病との診断を受け、7/21に入院した私の体験を記録したものです。 私自身は、理学療法士という医療資格を有し、パートナーと3人の子供と長野県で暮らしています。 体験記を書こうと思った背景この数日で、さまざまな情報を調べました。医学的情報例えば天疱瘡の病状や治療ガイドラインはすぐ見つかります。 それに比べ、福祉制度は難解で様々な種類があるものの、情報はその所管官庁がバラバラに出しており、いつ、誰に、何を、どのように準備すれ

現代医療の限界は安心を担保できない診療システムでは無いだろうか~ステロイドをやめて気づいたこと〜

昨年9月から続く、皮膚症状が改善しない。 そんな中、思い立って、ステロイド(製品名サレックス軟膏0.05%)をやめました。 皮膚症状の経過いつからか、皮膚科で初めてのステロイドを試そうと思い、処方され塗布することが始まりました。 その時の症状は、一時的に緩和したものの長期的に見てみると、一進一退であり、大きな改善も、大きな悪化も無くなりました。 とは言っても、症状が継続してあることには変わらず、湿疹が出来ては治っての繰り返しです。 そのような状況において、5月末にジビル

僕たちはどの程度リハビリテーションのことを知っているのだろう?

リハビリテーションとは、"してもらう事"や"訓練をすること"を指すのではなく、reとhabilisに分かれ、〇〇に適する、〇〇に適した状態になることである。それはつまり、"自分らしく生きる権利の回復"であり、"全人間的復権である"。このようにリハビリテーションについて学んできた。 つまり、権利や尊厳の回復でもあり、ジャンヌダルクやガリレオ・ガリレイの復権裁判にまで遡ると。 去年までは、これを全く疑うこともなく、とても大事な考え方であり、いかにこの概念を伝えていくかが大事だ