見出し画像

フランス南西部の街(12)Portbou(ポールボー)

さて、ここまできたら一気にスペインまで行ってしまいましょう。

今回ご紹介するポールボーは、スペインの街です。
この街はいわゆる「国境の街」で、地中海沿岸のフランスとスペインのちょうど国境、スペインの一番東の外れにあります。なお、国境を越えたフランス側にはセルベールという街があります。

フランス方面から、これまでにご紹介したコリウールやバニュルスを過ぎて、例の眼下に海を見下ろす崖の上のくねくね道をさらにスペイン側に行きますと、フランス最後の街・セルベールが小さな入り江に面して現れます。
セルベールを過ぎて、一つ小さな峠を越すとすぐに国境がありまして、スペインに入ります。国境の峠から岬を回って下ると、そこがもうポールボーです。ほんとうにすぐに着きます。
なお、「ポールボー」はフランス語読みの読み方です。スペイン語はわからないので、このつづりでなんと発音するのか、正確にはわかりません。とりあえず、フランス人はこう呼んでいました。

--

ポールボーには大きな駅があります。
確かフランスとスペインでは鉄道のレールの幅が違うらしく、フランスとスペインを列車を行き来する場合、このポールボーで列車を乗り換えることになるそうです。
(一部、自分で車輪の幅を切り替えられる特別な列車があり、これだけは乗り換えずにそのまま行けるんだったと思いました)
ですので、ここを鉄道で通る人は、必ずこのポールボーでいったん下車するということになるわけです。
意外と、ポールボーの街自体は訪れたことのある人は多いかもしれませんね。

--

さて、母親がバニュルスやサンタンドレに住んでいたときは、なにかというと「ちょっとスペインに買い物に行こう」といっていましたが、その「スペイン」は大概の場合このポールボーでした。
スペインと言ったってバニュルスからなら山越えて二つとなりの街ですから、車でほんの10-15分くらいです。近いです。

何でスペインに買い物に行くかというと、場所が近いのもあるんですが、それより何より、物価がスペインの方が安いんですね。
特にワイン、サングリアのたぐいは、フランスだって日本より相当安いですが、それよりもはるかにスペインの方が安いです。
かつて、ユーロ施行前は、家の中にスペイン・ペセタがいっぱいあり、スペインに行くときはそれを握りしめて行っていました。
もちろん、国境の街ですからフランだって使えたわけですが、微妙におつりが面倒になるのと、あとは気分的なものもあり、ペセタで払うことの方が多かったと思います。

もちろん、言葉だって大概の場合はフランス語でOKです。お店の方はみなさん上手にフランス語を話します。
もっとも、このあたりはもともとカタルーニャで同じだったでしょうから、スペインもフランスもないかもしれないですけれど・・。

そんなこともあるのかわかりませんが、一歩スペインに入ったからといって、何かが変わるかというとまったくそんなことはなく、風景といい、人といい、なんらフランス側と変わるところはありません。言葉でさえフランス語OKですからね。
前にどこかで書きましたが、若干道が悪くなるのと、村の家々のカラーリングがやや不均衡になるくらいです。

国境自体はどういったものかというと、要するに高速の料金所のようなものがあります。ありますが、何かをしていたりチェックをしたりするということはなく、ただ単にゲートがあるだけで、基本スルーです。
ぼくらは見た目からして旅行者ですし何があるかわからないので一応パスポートは持っていましたが、使ったことは一度もありませんでした。
もっとも、2000年近辺の話ですので、今はどうかわかりません。

--

駅を起点に広がるポールボーの街は、おみやげ屋などを中心として成り立っており、それなりににぎわっています。プロヴァンス柄の陶器などもあり、フランスよりも安く買うことができてお得です(笑)。
街の方々もみなさん陽気でいい方が多く、歩いているだけで「オラ!(怒られているわけではなく、こんにちは、の意味です)」と声をかけてもらえます。

さて、この街も他の国境付近の地中海岸の街と同様、小さな入り江に面しています。
街を過ぎてちょっといきますと岬があり、その突端は高台になっていてポールボー湾と地中海を一望できるビューポイントになっています。

入り江の写真です
入江の海側
こちらは岬から地中海を臨んだところ
きれいな青ですね・・
スペイン方面です。
岬の岸壁
展望台の様子です。向こうに、国境から降りてくる道が見えますね。
港に降りてきました。フランス側より山の風景がちょっと荒々しいように見えるのは、気のせいでしょうか。
湾は港になっていて、船がいっぱい泊まっています。

--

この街は、自分にとってはほんとうにまぶしいくらい、美しくゆっくりとした時間とともにある想い出があります。
ここを訪れたときはいずれも、この地中海沿岸の美しさにとっぷりとつかっているときですし、まだこれから無尽蔵に美しく楽しい場所があるに違いないというような、ふくらむ感じを持っているときでした。
もちろん、今だってそうなわけですが、少なくとも、自分の母が病気に倒れてしまうとは、このときは夢にも思っていませんでしたので、自分の母親がこんな素晴らしい場所でずっと過ごしていけることに、心から満足していたことは確かです。

--

さて、ポールボーから車でちょっと行ったところには、「コスタ・ブラーバ」というような名前の海岸があります(うろ覚えなので名前違ってるかもしれません)。
ここに海水浴にも行きました。

海岸にある海の家風のレストランでパエリア食べました。おいしかったですね・・。
ここの商店街は、きちんとシエスタをとるので、午後はみんなしまってしまいます。

--

たしか、ダリの美術館か何かがこの近くにあるのじゃなかったかな?

--

※この文章は2009年に書かれたものをリライトしたもので、現在では状況が違っている場合があります。ご了承ください。でも多分たいして変わっていないと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?