父親になるということ
男親にとって、初めて自分の子供と対面した瞬間というのは、自分の価値観がぐるりとなる感覚をはっきり体感できる一瞬ではないだろうか。
正直言って、たいていの父親になる前の若い男性はそんなに子供が得意ではない。どう接していいかわからない。
子供が生まれるということは、父になるという責任を負うということ。その束縛。口に出して言ってはいけない風潮だから言わないが、周りの人を見ていると、子供を持つというのは何かと大変そうだ。このまま気ままに暮している方がよかったかもしれない。これで父親になれるんだろうか。
と、そんなことを考えていた人も多いと思う。
何しろ、決定的に、男性は自分のお腹に子供がいるわけではないので、やはり産まれるまでの間は、女性とは多少意識の差はある。
いくら妊婦の研修みたいのをしたところで、知識としてはわかっても感覚的にはわからない。わかったふりをしているだけだ。
ところがどうだ。
実際に生まれてきた我が子を見た瞬間、全てが覆るじゃないか。
オレはこの子のためなら死んでもいい。心の底からそう思うと思う。そんな対象が今まで存在しただろうか。自分の自由な時間がどうとか、全くもってどうでもいいの極みだ。
今まで周りを見ていると、子供のために自分を犠牲にしているように見えていたが、あれは犠牲じゃないんだ。やりたくてやっているんだ。
そして親になればわかる。
そんな子供への愛情を、「自分の頑張りエピソード」に変換し、子供をもつというのはさも大変なことであるように、まだこれから父親になるであろう人に話して聞かせたくなるものだということを。
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