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大人の修学旅行(2)

息子が大阪のボカロイベントに行きたいと言い出したため、付き添いでついてきたはものの、こちらは2日間まるごとやることがない。とりあえず思いつきで前から行ってみたかった太陽の塔に行ってみた。でかい!感動した。ところが予約をしていなかったために、肝心の塔の中には入れず。次の行き先は。。

(あらすじ)

 さて、次の行き先は神戸である。
 神戸の、湊川神社に行こうと思う。
 太陽の塔がある万博記念公園駅から神戸は、一度阪急電車に乗り換えて大阪に戻り、また阪急の別の路線に乗り換えて行くようだ。早速モノレールに乗り込む。

 湊川神社は、ぜひ一度行きたいと思っていた場所だ。湊川神社というのは、ご存知の通り南北朝期の武将楠木正成を祀った神社である。
 なぜかそこに行きたかったかというと、おばあちゃんから「楠木正成はうちの遠い先祖である」という話を聞いていたからだ。自分で家系図を見たりしたわけでもないし、どこまで正しい話なのかわからないが、確か母方のおばあちゃんの家は相当な名家だったはずなので、全く根拠がなくもないのだろう。いずれにしてもほんとかどうかはともかく、こちらは勝手に楠木正成には非常に親近感を持っている。
 その楠木正成の神社にはぜひ行ってみたいではないか。しかも、一人で自由に行動できる時なんて大人になってそうはないのだから、こんなの今を逃したらなかなか行く機会もないかもしれない。

 電車を乗り継ぎ、1時間程度で高速神戸駅に到着。駅を降りてすぐにあるのが湊川神社だ。

駅を降りるといきなり大きな門がある
門をくぐり、参道を進む

 深々と一礼をして鳥居をくぐる。
 いや、勝手に自分で感動的である。ついに、ついにこの地に来ることができたのだ。街の中だが、そこまで人は多くなく(写真ではたまたま映り込んでいるが、基本的には人は少なかった)、静かな境内である。

こちらが本社社殿

 万感の思いでお参りをする。ご先祖様だと思うと、それこそ「いつもお守りいただきありがとうございます」である。なんとなく、お願い事というのも違う気がしてしまう。今後も天から見守ってもらいたいと思う。
 社務所で御朱印をもらい、せっかくなのでお守りを買う。
 境内には、「楠本稲荷神社」も存在するが、ここがまたファンタジーな空間である。異世界への入り口のような、セーブポイントのような。。

 また、さらにこの神社で有名なのは、楠木正成のお墓である。

 このお墓は幕末の志士たち、坂本龍馬や西郷隆盛、吉田松陰や高杉晋作なども多数訪れていたという。なぜかというと、楠木正成は天皇(後醍醐天皇ですね)に忠義を尽くした士として知られているからである。特に倒幕派の志士に愛されたそうだ。
 このお墓の近くには水戸光圀の像もある。

水戸光圀はご存知水戸黄門のことである。彼は大変に楠木正成に傾倒していて、墓碑を建立したことで知られている。その墓碑に刻まれているのがこちら。
「嗚呼忠臣楠子之墓」と書いてあります。

 自分はもちろん太平記なども読んでいるが、なんというか先祖だと思うと複雑な物語である。やっぱりなんといってもあの場面、後醍醐天皇の取り巻きの公家があまりに無能すぎて、本当に読んでいてイライラする。足利軍に攻められ、もうピンチだというのに、献策しても献策しても、メンツばかりを気にしたあり得ない判断で却下され、さらに無理な指令を出されて、それでも正成は文句も言わず言われた通りに戦い、最終的にはこの湊川の地で戦死してしまう。

 楠木正成の何がすごいかって、上記のエピソードからも分かるように、嫌いな人がほとんどいないというか、まずもって誰からも悪く言われることがほとんどないことである。天才・最強・正義・忠義・悲劇と全部詰まっている。どこでどう描かれても絶対にかっこいい。大河ドラマの武田鉄矢もカッコよかった。本当に誇らしい。

 お墓は人も少なくて、ゆっくりと対話じゃないけれど、お参りできた気がする。いや満足である。来た甲斐があったというものだ。


 その後、隣の駅にある湊川公園にある楠木正成の銅像を見に行こうと思い、神社を後にする。それにしても暑いので、湊川公園の近くの新開地で喫茶店に入った。昔ながらの喫茶店、松岡珈琲店である。
 お昼も食べていなかったので、いわゆる喫茶店のミックスサンドを頼む。おいしかった。

目の前で卵焼きを作ってくれます

 外がとても暑かったので、店で汗を拭いていたら、隣に座っていた女性が「これ使います?」と言ってビオレの汗拭きシートを1枚くれた。なんと親切な方だろうか。旅先で心が温まる。

湊川公園の楠木正成像

 湊川公園で楠木正成像を見て、その後は近くにある「もっこす」という神戸ラーメンの店に行く。これは、この日行き当たりばったりで関西をうろついていることをSNSで報告していたら、「ぜひ行ってみてほしい」と勧められたところだ。

 これは、はっきり言ってとてもおいしかった。写真では分かりにくいが、麺は博多ラーメンのような細麺で、スープは醤油ベースの中華そばである。ただ、普通のしょうゆよりも明らかに旨味が濃い。それでいて、見た目ほどはこってりしすぎず、すっと食べれてしまう。これはスタンダード中華そばだが、チャーシューメンにすると、下が見えないくらいのチャーシューで埋め尽くされる。後から知ったのだが、ライスを頼んで、席に無料で置いてあるたくあんをこれでもかとごはんにかけ、ラーメンと一緒に食べるのが通であるのだそうだ。


 この後、日本一速い電車と言われている新快速に乗って大阪に戻り(実際めちゃめちゃ速かった)、夜は、たまたまこの日大阪に来ていた友人のトランペッター松木理三郎のライブを見にいった。これは本当にたまたまで、大阪のそれほど観光地というわけでもない場所のライブハウスで会うのはなんだか不思議な感じがする。ライブハウスではキーマカレーを食べる。

ピアノとトランペットのライブでした

 お土産でたこ焼きを買い、ライブイベントが終わった息子と合流してホテルに帰る。いや濃い1日だった。24,158歩歩いた。
 明日は滞在2日目、息子は朝早くからまたライブ会場に向かってしまう。さて、どこに行こうか。。

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