補助金でICTや遠隔授業は進めたのか?

2020年度は新型コロナウイルス感染拡大防止に伴い、急遽オンライン授業を試行錯誤した大学が殆どでしょう。オンライン授業を実施するにあたり、大学だけではなく、教員、学生のリソースまで使って何とかなったという状況もあったと思っています。また所属機関は来年度はさらにオンライン授業等に投資をする予定です。

国(ここでは文部科学省)もオンライン授業に対して何もしなかった訳ではなく、例えば「大学等における遠隔授業の環境構築の加速による学修機会の確保」として各大学は申請をすれば一定額までの補助が受けられることになっています。

しかし、補助金の制度があるからといて、それが十全に活用できる訳ではありません。そこで「大学等における遠隔授業の環境構築の加速による学修機会の確保」を例に弱小地方大学で働く立場として、考えをまとめておきます。(言うまでもなく、補助金の制度としてあるのはありがたい事ですし、税金のために大切に目的に合わせて執行することが必要です)

活用できる対象の制限

今回の遠隔授業の環境構築の補助金では、設備整備やネット回線接続のために使用するものです。そのため、設備等の申請がないとソフトウェア(ZOOM等含む)や人件費の申請は出来ません。

ただ、オンライン授業はソフトウェアも多いのと、オンライン授業をサポートする人材の確保も重要です。むしろ機材は一時期手に入りにくいこともあり、ソフトウェアの需要が前期は多かったように思います。

補助される金額

補助される上限は最初から決まっていますが、補助額は補助対象額の50%です。全額ではなく補助対象額です。そうすると大学内ではどこからか予算をかき集めてくるか、補正予算を出すとか、予備費を使うとかをする必要があります。また先述のことが出来ればいいほうで、その予算すら確保できない大学もあるでしょう。補助金を申請できるとは、ある程度予算の目途がついている大学です。

またソフトウェア等は該当年度(令和2年度)のみ補助対象ですので、10月から後期開始の場合は10月~3月が補助対象です。

補助金申請への理解と安全主義

これは学内側ですが、補助金を出すということは学内の調整やマネジメントをしっかりしないと中々難しいことがあります。

特に慎重派の人がいると「補助金を出して何かあったらどうするのか」「誰が責任とるのか」など、問題が起こる前提で話をされると何もチャレンジが出来なくなってしまいます。

補助金申請業務を誰がやるか

今回の遠隔授業の補助金は作文するものは数ページ程度なので、そこまで大変ではありませんが、それでも学内調整から全学の遠隔授業の計画策定など、様々なことをする必要があります。そのため、オンライン授業を最前線で支えている人にはそんな余裕がありません。人員がいないと補助金申請する余裕すらありません。

補助金はありがたいが、元々のリソースがないと辛い

見出しの通りです。もともと経済的余裕、人員といったリソースや、マネジメントがしっかり出来ないと補助金申請のハードルは高いのです。

ただ補助金を申請できない大学は撤退をやむを得ないというメッセージもあるのかもしれません。


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