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基礎のきそ:金融リテレシークイズ(7)投資の基礎を学ぼう(回答編)

こんにちは。日米の証券アナリスト資格を持つだいだいです。今回から「投資の基礎」を学びます。
「私は絶対もうかる方法を知りたいんだ!こんな言葉の定義みたいなことには興味がない!」と思う方へ。投資において「絶対もうかる」方法はありませんので、悪しからず。投資というのは、不確実性(絶対には絶対ならない)とどう付き合うか、です。怪しい情報に騙されず、自分に合った投資との付き合い方を一歩一歩、着実に見つけていきましょう。

問1 「投資ってやったことない」というあなたも知らずにしている投資があります。さて以下のどれでしょう?

(複数選択OK)

A. 銀行預金
B. 財形貯蓄
C. 持株会
D. 生命保険契約
E. 上記のすべて

答えは「E.上記のすべて」です。
「え?銀行預金は元本保証だし、生命保険は保険だし・・・」と思うでしょうか?
「お金(元本)を投じて、お金(元本+リターン)が返ってくる」ものは全部「投資」として考えましょう。そうすることで、異なる性質の金融商品を適切に組み合わせることができます。
リスク資産に投資せずに全部元本保証商品に振り向けるという決断もあなたの「投資判断」なのです。

問2 「儲かった」「儲からない」という投資成果(投資リターン)は通常、どのように測りますか?

A. ある期間(例:5年、10年)でどれだけ元本が増えたか(減ったか)
B. ある期間(例:5年、10年)でどれだけ利金・配当をもらえたか(利率)
C. ある期間(例:5年、10年)の元本の増減と、利金・配当を総合して年率の利回りに直したもの
D. ある期間(例:5年、10年)の間に利益を確定した額の合計額

答えはC. です。
Aは値上がり益(「キャピタル・ゲイン」)、Bは利息・配当収益(「インカム」ともいいます)と言われます。
投資成果はAとBを総合して年率の「複利」の利回りに直したものです。
「複利」の計算式については、当クイズの(6)をご覧ください。

D.は個人投資家が個別株式の投資においてよく行う「利確」ですが、これを繰り返し行った積み重ねを「リターン」とは呼びません。

問3 下記の中で、元本の長期的な成長が期待できる投資はなんでしょう?

(期待できる、なので期待外れの場合もあります。複数選択OK)

A. 株式(株式に投資する投資信託を含む)
B. 暗号資産
C. 外国の通貨
D. 国債などの債券
E. 原油・小麦などの商品

答えはA. 株式(株式に投資する投資信託を含む)です!
個人投資家は「値動きがある=成長性がある」と勘違いしがちです。ここにあげた資産のうちB、CとEは、買い手(需要)と売り手(供給)の出す注文のうち、買いと売りのどちらが多いかによって価格が変動します。つまり「受給によって価格変動が起きる」だけで「元本が成長する」わけではありません。
株式も、日々、需給による価格変動が起きます。しかしその需要は、発行体である企業が成長し、より多くの収益を生み出すことができるという期待が高まった際に特に大きく増え価格の上昇につながります。
暗号資産、通貨、商品に関してはこうした「発行体の収益成長期待」が価格に反映されることはなく、その資産に対する需要と供給の差が主な価格決定要因となります。(通貨については発行国のインフレ率、信用力や金利が価値に反映されますが、その国の経済成長を価格が反映するものではありません)
一方、株式は発行体が破綻すれば価値がゼロになります。その他の資産については、
B. 暗号資産:発行元の破綻と資産価値の関係は株式ほど明確ではありません。
C. 通貨:その国がデフォルトやハイパーインフレに陥れば当然通貨の価値は下落しますが、ゼロになることはありません。
D.債券の価格変動要因については、当クイズの(1)から(6)で学んだ通りです。間違ってしまった場合は戻って復習しましょう。
E. 商品 については発行体がないため、破綻もありません。

問4 個人や機関投資家などの持つ運用資産を総称して「ポートフォリオ」といいます。このポートフォリオの「儲かり度」をもっとも大きく左右するのは?

A. 成長性のある個別銘柄を選ぶこと
B. 金利や株価の見通しによって頻繁に売買すること
C. 株式・債券などの「資産クラス」を何%ずつ持つかの方針の決定
D. 成長性のある国に投資すること

正解はC. 株式・債券などの「資産クラス」を何%ずつ持つかの方針の決定です。これを「アセット・アロケーション」といい、投資の基本となる考え方なのでよく覚えておきましょう。例としてGPIFのアセット・アロケーションを紹介します。

アセット・アロケーションは投資期間を通して一定である必要はなく、投資期間の終わりが近づくにつれて株式など比較的リスクの高い資産の割合を減らしていくなどの変更を行うのが普通です。

問5 資産運用において「リスクとリターン」と言う時の「リスク」とは何ですか?(複数選択OK)

A. ポートフォリオのリターンのばらつき(分散)
B. ポートフォリオの最大損失額(見込み)
C. 市場とポートフォリオの乖離
D. ポートフォリオのうち保険やヘッジでカバーされていない部分の割合

答えはA. ポートフォリオのリターンのばらつき(分散)です。証券投資においては、ポートフォリオのリスクを表すのに、分散の平方根である標準偏差(SD)を使うことがほとんどです。

しかし、A以外の答えを選んだ人も、あながち間違いとは言えません。
Bの考え方は資産運用においてよく使われますし、Cも同様です。Cの考え方は、特に株式運用においてはよく出てきますので、この後説明していきます。

さて、いかがでしたか?投資の基礎を学ぶ上では、言葉の定義を正確に理解することが大事です。特に「リターン」と「リスク」の概念については、誤解したままでいると、投資判断を大きく間違うことになります。(続く)

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