575との出会い(またまた回想)
俳句の鑑賞に目覚める
リーマンショックの年に失恋と同僚の大量リストラに遭い、俳句や川柳を詠みまくったものの、時とともにしんどさは潮が引くようにすうーーと消え、創作意欲が薄れてしまいました。私の脳は、強いストレスが引き金となって防衛反応としての575を自動生産するようにできているみたいです。
とはいえ、俳句や川柳への興味は細々と続き、日曜の朝にEテレで放映される「NHK俳句」は見ていました。たまに投稿はしましたが、この番組はいわばアマチュア俳人がその腕を競い合う国体みたいなもの。我流で時々詠むだけの私には佳作さえも手の届かないフィールドです。投稿は途絶え、もっぱら鑑賞が習慣になりました。
美容院には「NHK俳句」を連れていく
私はずっとショートヘアで、表参道の某美容院に毎月通っています。その時に必ず「NHK俳句」の最新号を持っていくようになりました。「NHK俳句」はTV番組のテキストとして売られていますが、番組とは直接関係のない連載も多く、何より「巻頭名句」がいいんです。古今東西の名句を俳人の片山由美子さんが毎月選び、それに合った写真をプロの写真家が撮り下ろして巻頭の数ページを割いています。春は桜、夏は緑陰、秋は紅葉、冬は雪景色。そして新年には餅花や羽子板、初日の出。日本の四季折々を切り取った写真集のようで、眺めているだけで心が和みます。
「おーいお茶俳句大賞」の佳作に選ばれる
自分ではめったに俳句を詠まず、もっぱら鑑賞、という年月が長く続いていたある日、ふと思い立って伊藤園の「おーいお茶俳句大賞」に投稿してみました。投稿2年目で佳作に選ばれ、ペットボトルには掲載されなかったものの、入選者に贈られる句集「自由語り」に載せていただきました。
投稿を始めた頃は妹と海外旅行に行ったりと、ネタはあったので、旅の句も読みました。1回につき、計7句を投稿できるのですが「たぶんこれは選ばれないだろうな」と思った句が今回も選ばれる結果になりました。
「目と鼻を洗う季節を春と呼び」
杉花粉症に悩む自分の状況をアイロニーを込めて詠んだ句です。過去、何らかの形で採用された句の共通点は「ぽろっと出てきた本音」「自分としては何ともない、平凡な句だと思っていたもの」なのです。
一方、よくできた句のつもりで投稿した下記の句は、入選候補となり葉書での問い合わせが来たものの、結果は不採用となりました。
「夏帽子 アテネは坂の多い街」
半年間だけほんの数回カルチャー教室に通った以外、まじめに俳句の勉強をしたこともなく、俳句のノウハウ本も完読したことがない時期でした。「NHK俳句」は作句の勉強より鑑賞目的で見ていたので「よい句とは子供のような句だ」という原則を知らず、逆に「どうしてこんな句が選ばれるんだろう?」と不思議に思っていたものです。(続く)
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