「言語化に苦戦・諦めた?日本」

いつのことでしょうか?言語化しよう!言語化が大事だ!と言われていた時期がありましたね。あれから日本サッカー界で言語化が整理され、浸透してきていますか?、、、

今回は言語化の重要性と言語化の方法について整理していきたいと思います。

1、言語化の重要性

「言語化」というキーワードが出るようになってから、サッカー界、専用の言葉がたくさん出てきました。勉強熱心な方はSNSなどを駆使して世界のサッカー情報を取り入れて、自分の中にたくさんのサッカー言語が蓄積されていることと思います。
日本サッカー界で記憶に新しいのは、ザッケローニ監督時代の「インテンシティ」、ハリルホジッチ監督時代の「デュエル」、西野監督時代の「ポリバレント」といった言葉(サッカー言語)が多く使われていました。

では一体、言語化がどういうメリットがあるのか
①自分が他人に何かを説明した時に分かりやすくなる
②説明する際に時間がかからなくなる
③より多くの人が共通理解することが出来る
④言語を整理することで物事の理解に繋がる

例をあげてみましょう。最近ではサッカー言語として浸透してきた「ハーフスペース」という言葉があります。これを説明すると「サッカーコートを縦方向に5分割した際に出来たエリア(スペース)のうち、外から2つめのエリアを指している。これには右と左がある。」
図で示したように、図説などがあるとより分かりやすいですが文章だけでも、大方の人が理解できるかと思います。

ハーフスペース


ここでハーフスペースの意味を理解していただけたら、次回から「ハーフスペース」が何を指しているのかが理解できます。なので、次回からハーフスペースの説明に時間がかからなくなりますし、説明が不要になります。且つ、より多くの人が共通理解することが出来て、自分だけでなくこれを知っている人たちの間で会話がスムーズになります。そして「ハーフスペース」という言葉を定義したということは、その言葉自体が必要だということです。つまり、サッカーにおいて「ハーフスペース」という言語は重要だから、言語化されているのです。(必要でなければ言語化する必要がありません)サッカーをする上でハーフスペースは重要だと認識できれば、よりサッカーの理解に繋がります。(ハーフスペースの重要性についてはまた記事で取り上げていきます)
といったように上記にあるメリット①〜④に当てはまります。

このように言語化とは「抽象的な事象を言葉(単語)や文章にすること、言葉(単語)自体に明確な基準・意味を持たせること」と言えるでしょうか。例えば私どものクラブでは「ファー角」「ペナ角」などといったクラブ独自の言語を持ち、選手・スタッフ間のサッカー理解の助けとなっております。(最後の崩し・フィニッシュ時において重要なスペースです。)

2、言語化の方法

しかし、言語化の重要性をある程度理解しながらも、言語化の方法についてはあまり語られてきていません。そこでここから、一度言語化する方法について話を進めていきます。

まずは一つ目の「抽象的な事象を言葉(単語)や文章にすること」という観点からみていきましょう。
この観点から考えると、サッカーにおいて重要だと思うシーン、エリア、現象、プレーなどをを簡単に説明できる言葉や文章を作ることです。そしてその言葉は皆が分かりやすい言葉、意味が繋がる(連想される)言葉がいいでしょう。
例えば、上記にある「ファー角」はゴールエリア内にあり、且つゴールポストから垂直に線を引いた時にできる外側の四角いエリアのことです。
このエリアはクロスボールを狙う一つの重要なポイントであると、我々の中で認識・理解してそれを言語化しました。

ファー角

二つ目の「言葉(単語)自体に明確な基準・意味を持たせること」
これは一つ目の考え方の逆で現在、既に存在している言語をもう一度きちんと再定義することです。
例えば「サッカーとは一言で言うと、どんなスポーツですか?」と聞かれたら皆さんは何と答えますか?、、、意外と難しくありませんか?スムーズに答えれれる人は意外と多くないかもしれません。
オランダでは「1つのボール、2つのゴール、11人ずつの2チーム、制限されたスペース、2つのチームが相対してプレーする方向があり、ゲームを実行するためのルールを守ることによって成り立つゲーム」と定義されています。ちなみに私の定義は「サッカーとは人生である。そしてその人生(サッカー)は、戦いの中で相手を騙し合うスポーツである」としています。オランダで定義されている内容より、シンプルです。ではどのようにこの定義した文章を作ったのか?それは今回皆さんに伝えたかった「エクセル1」という作業です。

3、エクセル1

①緑色で枠を書く(フレームを書く)
②青色でキーワードを書く(文字を書く)
③赤色で最重要ベスト3を印する(印をする)
④考えを書き出す

といった4つの手順を踏みます。では実際の図で見てみましょう。

まずは図のようにフレームを緑色で記載し、青色でテーマ、日付を書きます。これで準備完了。制限時間を設けて(2,3分)その間にキーワードを出来るだけ多く書き出します。このキーワードを出す作業の間は考えて書かずに、思いついたキーワードをひたすら書き出しましょう。制限時間が来たら、そのキーワードの中から重要だと思うベスト3を直感で決めてください。そのキーワード3つを使って文章を作成したら「エクセル1」での言語化が完了です。

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これは言語化する時だけでなく、重要な物を整理する時や授業・講義・講習時にも役立ちます。例えば、ハーフタイムの指示で修正ポイントを伝えますが多すぎてもよくありません。その時に「エクセル1」を使って、伝える内容を絞るようにしています。また、講習時にはメモのような形で「エクセル1」を使用して、その日学んだことを整理します。
このように「エクセル1」というツールを使って言語化やまとめる作業にも使えることが出来ます。皆さんもトライしてみてください!

4、最後に

今回は言語化の重要性と言語化の方法についてお話ししました。言語化の精度をあげることで日本サッカー界がより発展していくと思っております。指導者が選手に何か伝える以上、言葉には大変な重みがあります。それをいい加減に扱っては、よりいい指導が出来ているとは言えません。
私自身、言葉の重みを感じながら、日々学んでいきたいと思っております。

記事閲覧、ありがとうございました。

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