理学療法学生

 

理学療法を勉強している学生の皆さん。学生生活はいかがお過ごしでしょうか? 長い人生を考えると学生でいられる時間はわずかしかありません。今回は学生として過ごす時間について考えていきましょ

学生から理学療法士へ

 理学療法の試験を受けるためには厚生労働省が定めた授業や実習を実施する必要があります。そこで定められている量が多いため、養成校では毎日びっしりの授業が予定されます。国家試験は最終学年の2月末に行われ3月末に合格発表、4月に就職しているという流れになります。(内定は試験に不合格だった場合取り消しになることも。特殊な状況ですよね。)

 このように養成校入学~就職までのスケジュールがタイトなので『流れに身をまかせていると気づいたら理学療法士として働いていた』人も多いのではないでしょうか?私自身がそうでした💦私のように流れに身を任せていると”養成校入学後は理学療法士について深く考えることなく理学療法士になっていた””学生気分のまま社会人になっていた”という事態になりかねません。

 しかし、これはとてももったいないことだったと感じます。今になって学生の間に”理学療法”にとらわれず、社会全般をみてもっと自由に考えることができていたらなと思います。極端に言うと「養成校では理学療法士の資格を取るための知識を勉強するが、必ずしも理学療法士になるために勉強するわけではない」のかなと思います。


 養成校ではスケジュールが詰まっており大変だと思います。しかし、何も考えず決められたスケジュールをただ過ごしていては中身の薄い学生時代になってしまいます。では『学生時代を有意義に時間を過ごす』ためにはどのようにしたらよいでしょうか?


①自分の立場を理解する

 

学生時代を有意義に過ごすためには自分の立場を理解することが重要だと思います。私が考える『立場を理解する』というのは自分の置かれている役割や背景を客観的に捉えメリット・デメリットを知るということです。これを知ることで同じ時間をより有意義に過ごせると思います。 

 この「自分を客観的にみる」作業は意識的に行わないと難しいです。人はもともと物事を自分の都合がいいように見よう・考えようとしてしまい、「主観」が入ってしまいます。「メリット・デメリットを知る」ことはとても重要です。世の中に”正解”なんてありません。それぞれに”メリット”と”デメリット”があり、どちらを選ぶかです。

 

余談ですが理学療法学生の臨床実習でよく『学生らしく』という表現が使われます。「学生らしく大きな声で」「学生らしく元気に」などです。私自身、声が小さく静かなタイプだったのでとても苦労しました...当時から「学生らしくってどういうこと??」と疑問に思っていました。大きい声で話をしたり元気に過ごすことはスキルとして大事だとは思いますが「学生」とは関係ありませんよね?客観的に物事を考えられるようになるとこのような主観やバイアスに気づくことができます。


学生の立場

 学生はお金を払い(親に払ってもらい)資格取得のため勉強をしています。養成校はその見返りとして学生の国家試験に合格するための勉強を助けます。具体的に言うと、学費として年間数十万円払う対価として・授業のカリキュラムを組んでもらい、・教員の指導を受け・勉強しやすい環境などを得ているということです。

 就職後は勉強をするように言われることはあっても、教えてくれる人も勉強できる環境も整備されていません。『もっとしっかり授業を受けていれば良かった』『もう一度○○の授業を受けたい』というのは就職後よく聞く話です。金銭面で考えると研修会は数千円~1万円、参考書は数千円かかります。時間の面で考えると休日や帰宅後の時間を勉強にあてることになります。

 学生のように”お金”と”時間”を就職後も自己投資することが出来ますか?これを客観的にとらえると、「勉強する」ことにはどうやら価値がありそうですね。

メリット・デメリット

 そのように考えると「教員による指導や勉強しやすい環境」などが学生時代に得られる最大のメリットだと思います。これらは決して当たり前に活用できるものではないことを知ったうえで学生時代に最大限利用してください。学生の間に学生のメリットは感じにくいものですけどね…

 学生によるデメリットはほとんど無いように感じます。その一番の理由は「お金を払っている立場だから」だと思います。養成校からしてみると学生が勉強しようがしまいが、お金は貰えるのです。学生は”信用が無いためお金が借りられない”などはデメリットといえるかもしれません。


②初心に返る

 学生時代を有意義に過ごすためには”なぜ理学療法士になるための養成校を選んだのか”初心を思い出してみましょう。 

 養成校を選んだ目的が本当に理学療法士の資格をとるためだけであれば養成校がたてたスケジュールに従っていれば良いと思います。しかし、本当に資格を取ることが目標だったのでしょうか?『○○のような人を助けたい』『○○のような理学療法士になりたい』と思って養成校への入学を選んだのではないでしょうか?

 養成校は「資格を取ってもらう事」を目標に学生に関わっています。その流れに飲み込まれてしまうと初心を忘れがちになります。流れにのまれ「資格を取ること」が自分の目標に置き換えられてしまうと日々の勉強を”面白くなくい”・”やらされている”と感じるようになるでしょう。

 迷ったときは初心に返りましょう。あなたがやりたい事のためにその勉強が、その資格が必要なのです。初心に返った時、日々の勉強が面白いもの、やりたいことに変わると思います。

 


*属するグループを意識する(番外編)


 学生時代は様々なグループに属します。クラス、サークル、バイト、友達などがあげられます。また、”実習”という特殊な状況にも直面します。友達やサークル活動を行っている場合は純粋に楽しい時間を過ごすと良いと思いますが、「バイト」「実習」においてはその中でなにを学ぶと良いかを意識するとより有意義な時間を過ごせると思います。

バイト

 バイトは社会勉強にもなります。病院やクリニックでの仕事は関わる人や世界がとても限定的です。学生時代のバイトは医療・介護以外の社会と触れ合える貴重な時間であるといえます。現在の養成校教育や卒後教育では専門知識以外を学ぶ機会がとても少ないです。バイトを通してコミュニケーションや社会的なマナー、経済構造などが学べると良いと思います。

 注意してもらいたいのがバイトが中心となり”授業がおろそかになる””生活習慣が乱れる”などバイトによる不利益が生じる事です。先ほどお話した通り学生はお金を払って勉強している立場です。『自分の時間をバイト(時給とその時間から得られるもの)に費やすことが本当に有益か』という視点でも考えてみてください。実際高い授業料を払うためにバイトが必要な方もいると思いますが、その時はバイトの種類を選ぶ時にこのような視点を持てると良いかと思います。

実習

 実習を「合格すること」を目的にしないように注意してください。「何を学ぶか」「何を感じるか」が重要になります。

”授業の一環として単位の取得””これまで勉強してきたことがうまくできるか確認”など現状の目的ももちろん大事ですが、『今後働く職種・職場としてどう感じるか』といった将来を見据えた視点も持てるとよいでしょう。実習に取り組むうえでで大切なことについては次回に詳しく述べたいと思います。


まとめ

 

学生としての自分について考えるきっかけになりましたか?「学生だから○○しなさい」というわけではあありません「学生としての立場を考え、メリットを最大限いかすにはどうしたらよいか」を意識して貴重な時間を過ごしてください。

貴重な学生の時間を有意義に、楽しんでください。