臭い
皆、腐っているよ。
腐っているんだ。
どうしようもなく皆、腐っていて、
どうしようもなく皆、臭い。
臭気に鼻がおかしくなりそうだ。
頭がクラクラする。
今にも倒れてしまいそう。
だから僕は必死に走って逃げた。
逃げた。
どこまでも走った。
もう走れなくなった頃、
周りには誰もいなくって、
それで僕は安心して思いっきり息を吸った。
臭い。
たまらなく臭くって僕は倒れかけた体を必死に ボロボロの足で支えた。
ああ、そうか、僕も臭かったんだ。
いや、もしかして、本当は、臭かったのは、
僕だけだったのかもしれない。
気付いた頃には手遅れ。それが人生だ。
いや、気付いていても、どうにもならなかったのかもしれない。
本当は気付いていたのかもしれないな。そういえば皆、僕に変な目で接していたな。気付いていて、そうか、僕が逃げてきたのは、自分の事実だ。気付いていても、気付かない振りをして、周りに自分の責任を押し付けて、逃げた……
走り疲れた僕の足が長い間、体を支えることができるはずもなく、意識と共に僕の体はパタッと倒れた。
サポートしてくれたら赤くなっちゃうかも