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クラクフの思い出
クラクフまでの道のり
旅を始めて19日目。オーストリアを出発し、ポーランドのクラクフに向かう。6時に起床。
静かに支度して宿を出る。地下鉄を乗り過ごしたが、早めに出ていたのでリカバーできた。
電車は、6人掛けの半個室に8人分の予約がとられており、2人分の席が存在しないという謎仕様。これでは何のために金を払って席を予約したのかわからない。途中のカトヴィツェまで座り、そこからは乗ってきたカップルに席を譲る。私のような1人者より、カップルなら一緒に座った方が楽しいだろう。でもあんまりありがたくなさそう。どうでもいいのだけれど。
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ふと気がついたが、最近は不愛想な対応にも大して動揺しなくなっている。私はよそ者で、アジア人で、勝手のわからない旅行者だ。だから目立って当然なのである。私は何も悪いことはしていないのだから、悲しむ必要はどこにもないのである。
そんなことを考えながらうとうとしていると、ついにクラクフ中央駅に到着。
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クラクフの駅には、イオンモールのようにでかいショッピングセンターがあり、全体的に清潔な印象。歩いて宿に向かうことに。
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個室という祝福
今回の旅で、初めて個室をとった。「ポレラ」というホテルで、中に入るとカーペットが敷いてあったり、ステンドグラスがあったりと、ホステルとは大違いである。
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しかし、多分ホステルに泊まり続けるという経験がなければ、これほど内装に感動することもなかったろう。フロントの対応も、やっぱりホステルとは違う。すぐに無料でプリント対応してくれたり、日本のパスポートを見せると日本語を美しい言語だとさらっと言ってくれたり、常に笑顔で対応してくれたり…。ホステルを長く経験したことで、この先「ホスピタリティ」というもののありがたさや価値がより分かるようになった気がする。
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部屋は天井が高く、きれいで、何よりプライベートである。しばらくソファーに座ってぼーっとしてしまう。久しぶりに、完全に1人になることができた。ああ、なんと心地いいことか!祝福された気分になる。
旧市街散歩
17時ごろ、クラクフ旧市街に出てみる。美しい町並みに、馬車が花を添える。時間がゆっくりと流れている。
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中央広場にハンドクラフトお土産の店を見つけた。とてもきれいなポーランド伝統衣装の生地を見つけ、それを使ったしおりやノートをお土産に買う。
ヨーロッパ最大級というクラクフ中央広場では、ウクライナ反戦パフォーマンスが盛んにおこなわれていた。ポーランドはがっつりウクライナと国境を接しており、難民も多いのでは。ベラルーシとの摩擦もある。ポーランド自身がこれまで歩んできた戦争の歴史も悲惨なものだ。彼らにとって今起きている戦争は、日本人が感じているよりもはるかに身近なものなのだろう。
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たくさんお土産屋を見て回りながら、ヴァヴェル城へ。
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元はポーランド王の居所だったらしいが、ハプスブルグ家の支配下になってから、防衛のための城に改築されたそうだ。
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ビスワ川を見下ろせる展望台からは、灰色の空に飛び交うカラスと、ウィーンよりもさらに東欧的、旧ソ連的な街並みが見える。
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城には庭園などもあって、きれいなところだった。
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ポーランド料理
一人旅YouTuberしげ旅が紹介していたポーランド料理の店に行くことに。店員さんは、これまた笑顔でやさしい。
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ポーランドの餃子、ピエロギを注文。伝統的な豚のカツレツとクラクフの地ビールも頼んだ。ピエロギの前にお通しが来た。「ラード」という、肉と油のペーストのようなものと、クリームチーズ、パン。このラードがめちゃくちゃおいしかった。ビールが進んでしまう。
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ピエロギは薄味だが、だし(?)がきいていて、付け合わせのオニオンソースと一緒に食べるととんでもなくうまかった。中身はツナのような触感の肉だった。
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カツレツはほとんどオーストリアで食べたシュニッツェルと同じだが、ザウアークラウトと一緒に食べると安定のうまさ。
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大満足の夕食であった。
ユダヤ人街
翌日の夕方にはカジミエシュのユダヤ人街に行ってみた。バケツをひっくり返したような雨の中、旧市街を縦断し南に抜けると、一気にグラフィティが増えて違った雰囲気に。
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ところどころにシナゴーグがある。「シンドラーのリスト」のロケ地にも行ってみたが、どのシーンか覚えていなかったので、見直したい。
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Hamsaというユダヤ料理屋に入ってみる。
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ファラフェルが本当においしかった。これはレシピを調べて作れるようになりたい。2皿頼んだが、どちらにもフムスがついていて多かったので、とてもおいしかったが最後の方は少し飽きた。
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ポーランドのビールは、昨日といい今日といいなかなかおいしい。店員さんも感じがよかった。
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店を出ると、小雨になっている。良かった。宿まで歩き、個室最後の夜を楽しむ。ベッドに横たわり、天井を見つめながらショパンのノクターンを聴く。なぜだか涙がこぼれた。しばらくそうして、私はクラクフの夜を閉じることにした。
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