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人のしりぬぐいは容易ではありません

弊社では年々、リフォームの割合が増えてきています。
自社で新築させていただいた住宅のリフォームはもちろん、
他社で新築した住宅のリフォームも増えております。

改めて、他社の家づくりに触れる機会が増え、新たな気づき、学びなど刺激を受けています。
そんな中で、ちょっと苦労した事例をご紹介いたします。


■こんな家がありました

1、図面と全く異なる家

ご自宅の耐震補強のご相談をいただいた事例なのですが、市町村の耐震補強関連の補助金を活用したいとのご要望がございました。

早速、現地を調査し、耐震診断を行いましたが、昭和56年6月以前の建物でしたので、補強が必要との結果となりました。

補強計画を元に市町村に相談に伺ったところ、市町村へ確認申請の許可の際に提出した図面と既存の家があまりに差異があることが判明しました。

全くの別の家の図面でした。
おそらくは、確認申請は許可を受けたが、変更申請はしておらず、また、完了検査も受けていないのだと思います。

結果として、
市町村としては、許可を出していない住宅に対して、補助金(税金)を交付することは出来ないので、申請は受け付けない
ということになってしまいました。

近年では、完了検査を受けないということはあり得ませんが、過去には多く見られたようです。しかし、それにしても、図面とあまりに異なってしまっているため、どうしようもなく、補助金は断念しました。

2、継ぎ足し継ぎ足しの家

DK、洗面所、浴室、トイレなど比較的規模の大きなリフォーム工事をした現場で既存を解体して見たら継ぎはぎだらけだったという事例です。

本来であれば、一本の木材で支える梁が途中で切られていて、そこに無理矢理継ぎ足すように木材をくっつけて何とか支えていたり、梁まで届いていない柱を細い材料で固定していたり、と目を疑う光景が広がっていました。

どこから直していったらよいのか?
どこまで直せるのか?

現場で大工職人と頭を捻りながら、
不要な木材を撤去し、必要な部材を追加し、釘やビス・金物なども追加して、可能な限り補強しましたが、あくまでも部分的な補強に留まるため、
その時の施工範囲以外についても同様だと考えますと、耐震性などにかなりの不安を感じました。

元々の施工も良くなかったのかもしれませんが、おそらくは、何度も増改築を重ねていく中で、構造などの整合性を無視して施工してしまったのではないかと推測しました。

増改築工事について、お客様のご要望は色々とあろうかと思いますが、構造を弱化させてまで叶えなければならないご要望など無いと私は考えています。

3、設備の入れ替えが出来ない家

家具や家電製品を交換する際に、
ドアや掃き出し窓などの開口寸法を確認すると思いますが、キッチンや浴室、洗面台も同様です。

浴室のリフォームのご相談をいただいた現場で、あまりに洗面所の開口幅が狭く、浴槽などが通ることが出来ないという事例がありました。

新築時には先に浴室などを仕上げてから、ドアや引戸を設置すれば問題なかったのかもしれませんが、その後のことなどまるで考慮されていないようでした。

結果的には、リフォームをするには浴室・洗面所を含めて、その周辺まで解体しなければならない状況でしたので、費用面で断念することになりました。

4、次のことを考えた設計施工しているかどうかが大事

上記の3例は施工会社の独断による問題だけではなく、お施主様からの強いご要望があったのかもしれませんが、将来のことを考慮して、その時に立ち止まれたのではないか、とは思ってしまいます。後の祭りですが。

かなり大きなお祭りになるかもしれません。

■最後までお読みいただきありがとうございます