修理は決して安くない
「壊れたら直して使う」
物を大切にする心が大切だと教わってきた方も多いと思いますが、
低価格商品の普及により、大量に購入して、すぐに壊れたら捨てて、また買い替える、というサイクルへと変わってきたことを憂う声も聞こえてきます。
しかし、昔と違うのは人の気持ちだけではありません。
■修理は気軽ではなくなってきている
1 修理の対応期間が短くなっています
購入した商品が故障した場合、
取り扱い説明書などに記載されている商品を製造したメーカーのお客様サポートなどへと連絡して修理依頼をします。
この手続きは今も昔も変わらないのですが、
一昔、二昔前であれば、
購入してから10年以上たった商品であっても、修理の対応してくれていましたが、現代では、そうでなくなりつつあります。
住宅に関する物であれば、概ね7~10年、というのが私の実感です。
10年以上経過している物については、
例え、対応出来たとしても、簡単な修理になることはほぼないと思います。
2 修理費用が上がっています
修理の対応期間が短くなってきていることに合わせて、
修理費用が格段に上がってきています。
一昔、二昔前の感覚で考えていると、
場合によっては「0」が一つ違うなんてこともザラです。
まず、メーカーが現地を確認に来るだけでも費用が掛かります。
それが例え修理が出来なかったとしても費用が掛かりますし、再度、来ることになれば、来るたびに費用が掛かります。
冷静に考えれば、
人が動いているので費用が発生するは当然のことですが、
これまでの建築業界では、サービスの一環か何か知りませんが、メンテナンスに関する費用は極端に低く抑えられていたのだと考えられます。
逆に言えば、適正価格とも考えられますが、
ともかく、昔の感覚はそろそろ捨てた方が良さそうです。
こうしたこともあって、延長保証制度があったり、電力会社などによる修理サービスプランなどがあったり、するのですが、故障するまでは見向きもされないことが多いのが現実です。
3 修理を対応出来る人材が不足している
対応期間が短い、修理費用が高くなっている、に続き、修理を行う人材が不足していることも加わります。
そのため、依頼してから実際に修理が行われるまでの時間が以前よりも掛かることが増えています。
特に、海外製品については、採用するにあたって、メンテナンス対応をどこまで期待するかは考えておいた方が良いかもしれません。
4 修理に必要な部品がありません
一昔、二昔前であれば、製造メーカーは部品をたくさん在庫していましたので、修理依頼を受けてからすぐに修理することが出来ていましたが、現在では在庫していることが少なくなりました。
そのため、部品を発注してから納品されるまでも時間が掛かり、実際に修理に来てくれるまでの時間が大幅に延びました。
5 修理の流れ
修理依頼→現地調査(→ 見積り)→ご注文→部品発注→修理
という流れに人材の確保が加わりますので、依頼してから実際の修理が完了するまでに1ヵ月以上掛かることは珍しくなくなりました。
当然ですが、
修理の見積りを取ってから依頼しようと思うと、もっと時間は掛かります。
■住宅の中で壊れやすいものの特徴
修理が大変になってきたということは認識していただけたと思いますが、
次は、家の中で壊れやすいものの特徴をご紹介します。
1 水・電気・ガスを使うもの
家電製品が時々故障するように、
住宅でも電気関係の製品は比較的故障しやすい部類に入ります。
特に、電気と水、電気とガス、など組合せて使う製品は故障しやすい傾向があります。
電気と水・・・温水洗浄便座、エコキュート、自動水栓 など
電気とガス・・・給湯器、床暖房 など
2 精密なもの
自動機能、センサー機能、オンライン制御、遠隔操作、タイマー機能、
など昔は無かった便利な機能が付いた製品はシンプルな製品と比べると故障が発生しやすいです。
しかも、取付けをした水道業者や電気業者、工務店などでは修理できず、ほぼ製造メーカー修理となります。
■この時代の物との向き合い方
壊れにくいシンプルな製品ばかりを選ぶの一つの手ですが、せっかく色々な便利機能が付いた製品があるのですから選びたいですよね。
また、シンプルな物であったとしても壊れる時は壊れます。
ですから、考えておきたいことは、
壊れた際に、修理や交換までの間をどうやってしのぐか
壊れる前に、点検、交換をするか
ということです。
だいたい10年経てば壊れる可能性が高まっているので、壊れるまで使うか、ちょっとでも異常が見られた時点で決断するか、ということも意識しておくのが良いと考えます。