暖かさの性能は数値だけで大丈夫?
地球環境のことを考えれば、私たちの行動の全てが省エネルギー化されることは望ましいですよね。
住宅業界でも、要求される性能はどんどん上がっていますし、何なら競い合うように数値だけを追い求めあっているようですので、資材高騰とは関係なく、建築費用も上がり続けていくでしょう。
でも、せっかくお金を掛けているのに、数値通りの効果が発揮されていないとガッカリですよね。
■分かっていない人ほど、数字を気にする
1、暖かい家は体感すれば分かる
何らかの数字が高かろうが、低かろうが、
その家を体感した際に暖かいか、寒いか、どちらに感じるかが重要ではないでしょうか?
最近は、数字もそうですが、パッと見の見栄えばかりが整えられ、
本質から目をそらされているような気がします。
触れてみて、体感してみて、
と言うのはそれほど労力を必要とするでしょうか?
一生に一度の大きな買い物と言いつつ、
見栄えの良い数字、聞こえの良い情報、ネットの不確かな口コミ、
だけで判断していませんか?
それで後悔が無ければ全く構いませんが・・・、
家を建てた後になって、色々とご相談(愚痴?)してくる方が時々いらっしゃるので・・・。
2、数字は絶対に大事ですが、最も大事ではない
何らかの基準をクリアするには、数字が大事です。
ZEHと呼ばれる住宅は、住宅で使用するエネルギーをゼロにするために、性能の数値と太陽光発電などで発電する数値を計算しなければなりません。
しかし、どこの世界でもそうですが、計算通りいかないことが良くあります。
例えば、
太陽光発電で言えば、天候次第で計算値よりも著しく低い発電量になることもありますし、経年劣化では確実に発電量も落ちますので、思っていたのと違うということも十分あり得ることだと、理解した上での採用が望ましいと思っています。
数値を達成することはあくまでも目的のための手段であり、
大事なのは結果、
つまり、暖かい家を造る ということが最も大事だと私は考えています。
3、家は感覚ではなく、知識と技術で建てる
昔の大工さんのイメージと言うと、
職人たちの勘と経験で建てられているような印象かもしれませんが、
きちんと修行してきた職人たちは、先人たちから口伝などで知識を学び、先人たちの仕事ぶりを見ながら技術を学び、日々の仕事で更に腕を磨くことを繰り返していましたので、想像以上に高い知識と技術を駆使して家が建てられていました。
一方現代では、
「修行」と言う言葉自体が死語のようなものですし、
「職人」と呼ばれるような基礎から学んだ技術者が激減していますので、
建築業界でもマニュアル的な仕事が一般化しています。
それは、マニュアルさえ守られれば、誰が造っても一定以上の水準の家が建つということになりますので、決して悪いことではありませんが、マニュアル以上でも以下でもないので、マニュアルを造った方次第になります。
4、窓=低性能?
省エネルギーの数値を追求する場合、窓は天敵になります。
どんなに性能の高いサッシを入れたとしても、外壁には数値は適いませんので、サッシは性能上げるだけ、コストアップにもつながりますので、
性能を追い求めていくと、窓は無くなるか、小さくなります。
つまり、
自然の光や風が入りづらい家 になります。
分かりやすく言えば、暗くて、息苦しい家、です。
照明器具と換気システムで明るさと換気はするからいい・・・、
それって、心地いいですかね?
数値を大事にしつつも、もっと重視すべき事ともバランスを取れる設計を心掛けたいと私は考えています。
5、ちょっと言い過ぎです
と言うように過激な感じて書いてきましたが、
要は、家を建てる前に、体感してすることをオススメしたい、
ということです。
ネットの普及による体感機会の減少、
営業マニュアルの充実による引込むトーク力保持者の増加、
実際の経験者の言葉ではなく、口コミ・SNSを重要視する傾向、
それらが悪いとは言いませんが、表面的な事だけ、自分の得たい情報だけで知識武装して家づくりに臨むのはなかなか難易度が高いのではないかと言うのが造り手の私の実感です。
色々と今回も言い過ぎですね。
昭和の人間、昭和生まれの一級建築士の戯言です。