家については大は小を兼ねるというのは勘違い
「大は小を兼ねる」という言葉がありますが、
簡単に言えば、大きい方が使い道が多くて便利、というような意味です。
しかし、住宅においては、必ずしも「大」は良いことばかりではありません。
本来は、なるべく家のあれこれを大きくしていただいた方が売り上げは増えるはずの工務店側から異を唱えたいと思います。
■大きい方が良いとは限らないもの
1 家の大きさ
これが最も重要ですが、
「家を建てるなら、なるべく大きく建てたい」
とお考えの方、ちょっとお待ちください!
家が大きいことのメリットは誰でも分かりますが、
家づくりハイになっている方には、家が大きいことのデメリットが見えづらくなっていることがあります。
家は面積が大きいほど建設費が高くなる
家は面積が大きいほど固定資産税が高くなる
家は面積が大きいほどメンテナンス費用が高くなる
家は面積が大きいほど掃除が大変になる
分かりやすい所でもこうしたデメリットがあり、かつ、核家族化、少子化が進む現代にそんなに大きい家が必要ですか?
家にお金を掛けられるだけ掛けたいのであれば構いませんが、家の大きさ以外にもご自身やご家族にとって大切な物が他にもありますよね。
それに、新築住宅に費用を投じすぎて、ギリギリの返済計画となってしまい、将来のメンテナンス・リフォーム費用を貯蓄出来なくなってしまえば、結局は1回限りのお取引きになってしまいますので、工務店としても、長い目で見ればデメリットになり得るということです。
2 お風呂の大きさ
この先は段々ピンポイントの話題になっていきますが、まずはお風呂です。
銭湯や温泉施設の大浴場のような広々としたお風呂とは行きませんが、お風呂を広くしたいというご要望はまあまああります。
しかし、ご家庭内での入浴は複数人で同時に入ることはあまりないのではないでしょうか?
小さいお子さんや介護の必要な場合は除きますが、それらの場合も広さよりも別の要素が重要であることが多いと思います。
それなのに浴槽も洗い場も広くしても、誤解を恐れずに言えば、あまり効果が薄いと感じています。
また、広くなれば暖房の電気代、浴槽に張るお湯の水道・ガス代も上がります。
それを踏まえた上で大きさを検討してみてはいかがでしょうか?
3 収納の大きさ
押入やクローゼットは半畳か一畳ほど、
ウォークインクローゼットや納戸は二畳か三畳ほど、
の大きさが一般的です。
半畳や一畳ほどであれば、棚やパイプを組み合わせて効率的に利用しやすいですが、室内で歩ける納戸やWICなどの収納は収納効率が下がり、広さの割に収納できないか、または、詰め込み過ぎて使いづらいか、という状況になりやすいです。
それ以上の広さの小屋裏収納や階間収納などについては、更に、効率が悪化し、思っていたよりもはるかにうまく収納できないケースが多いと思います。
SNSなどに掲載されているオシャレなウォークインタイプの収納は誰にでも使いやすいとは限りません。それが私の実感です。
ちなみに、収納はいくら作っても余るということはなく、ほぼ埋まってしまいますので、造れば作るほど家を大きくするだけです。
4 設備機器の大きさ
システムキッチンの食洗機、エコキュート、ガス給湯器、エアコン、床暖房、その他、住宅には家電製品の他にも設備機器がたくさんあります。
それぞれ、製造メーカー、商品が多数ありますが、
これらで注目すべきは、容量です。
容量=大きさ でもありますが、
必要な容量と言うものはあるものの、つい大は小を兼ねようとしがちです。
しかし、当然、容量が大きい方が価格も高くなりますので、
新築当社は住宅ローンに含めてしまっているので見逃しがちですが、
買い替えの際に、同等の製品を購入する時にビックリすることがあります。
■段々と上げていきませんか
最初にMAXかそれ以上の物を入れてしまうと、後は、段々とダウンさせていくだけになってしまいます。
逆に、新築当初は必要に応じて選択し、暮らしながら段々とアップさせていく方がご家庭にあった大きさが見えてくると考えられます。
尚、家の大きさについては、
昔のように簡単に増築は出来ませんので、小さめに造って後で増やせばいいとは安易にお考えにならないようご注意ください。