積み上げていく怖さ
高くそびえるブロック塀、
斜めに積まれた間知石、
高低差がある土地では、建築物以外の工作物によって土地を維持されていますが、これらも当然寿命があります。
■手入れが難しい工作物たち
1 ブロック塀
古くなったブロック塀、
敷地と道路、敷地と隣地の境界に建てられているコンクリートブロック製の塀であれば、お隣などの了解を取れば、壊して新しく造り替えることも出来るかもしれません。
しかし、敷地に高低差があって、土の流出を抑える役割りを担っているブロック塀(土留め)はそう簡単にはやり替えることが出来ません。
なぜなら、
既存のブロック塀を壊してしまったら、土が崩れてくるからです。
壊すには一度周辺の土を取り除き、土が流れないような措置を取った上で作業しなければなりませんので、付近に建物などが建っている場合には難易度がさらに上がります。
2 間知石
間知石とは斜めに石を積んだ土留めのことですが、
これもブロック積の土留めと同様に、やり替えは大ごとになります。
年数の経った間知石は水抜き穴が詰まることがありますが、そうなると地中の水が排出されにくくなるので、間知石の劣化を早めることにつながる危険性があります。
3 擁壁
鉄筋コンクリートで造られた土留めは、上記の土留めよりも頑強であることが多いですが、これもいづれ劣化します。
また、擁壁は垂直に立ち上がる部分と同じくらい地中に水平方向のベース部分が埋設されていることがありますので、土地の高低差によっては掘削範囲がかなり広くなることがあります。
4 地下車庫・地下室
完全に地面に埋設されている地下車庫、地下室が一般的ですが、
道路と敷地に高低差がある土地では、
道路からとフラットの高さに地下車庫を設けているケースがあります。
建物+土の重量が掛かりますので、
鉄筋コンクリートで造られていたとしても、
常にかなりの荷重が掛かっていることに加え、
常に地面に接している(湿っている)状態が続くので、
劣化には気を配っておくのが望ましいですが、
土留めよりも、改修は困難になると思います。
■他にも積み上げています
1 建物の増築
平屋だった建物を2階建てに増築することをお神楽(おかぐら)と呼んでいるのですが、現代では耐震性の関係でおそらく許可が出ないと思います。
しかし、昔はそれほど珍しくない事だったようで、現存するお神楽住宅もまだ数多く存在していると思います。
初めから、2階建てにするような構造躯体で建てているケースもあれば、想定せずに家族の変化などでやむなくお神楽してしまったケースもあるようです。
もちろん、前者の方がまだましですが、
基本的には、構造計算による検討や建築基準法などの基準を満たしていなければ、どちらも耐震性には不安があるのは間違いありません。
2 壁面収納
天井までびっしりと物を収納することが出来る壁面収納ですが、
地震などの揺れで物が飛び出してしまったら、一気に凶器となって住人に襲い掛かってくることがあります。
上の方にはなるべく扉付き(揺れの際に扉が開かない措置があると更に良い)、そして、なるべく重い物・割れる物などは下の方に収納するのが望ましいです。
既存食器棚も扉にストッパーを後付けするだけでも、食器などの飛散を抑制してくれます。
ガラス扉には飛散防止フィルムを張るのも効果的です。
3 置き収納
壁面収納でも危険がありますので、
置き型のタンスなどの家具も災害時にはかなりの危険となることがあります。
特に怖いのが、何の固定もしていないタンスの上にガラス製のケースが積まれている(お人形など)は見ていて怖いです。
タンスの固定は防災グッズ売り場などで販売していますのですぐに実施していただきたいのと、出来れば、寝室にはタンスなどの置き家具は置かないようにしていただくのが望ましいです。