見出し画像

雨を漏らせにいっている?

日本の家づくりの歴史は、自然との闘いの歴史でもあると言えます。

地震、水害、土砂災害、などの自然災害はもちろん、
日々の日射や雨、風との闘いも決して楽なものではありませんでした。

しかし、最近、何やら、そうした闘いの歴史を忘れたかのような逆行現象が起きているような気がします。


■雨は高い所から低い所へ流れる

1、なぜ日本の屋根の勾配があるのか

雨が降らないのであれば、平らな屋根であっても良いので、
わざわざ、屋根に勾配を付けているのは、
屋根に降り注ぐ雨をより早く地面へ流したいから です。

陸屋根(ろくやね)と呼ばれる平らな屋根やバルコニーなどでも、
多少は勾配が取られているのも、雨水がたまらないようにするためです。

2、最近は雨水が上っていく

水が高い所から低い所へと流れていくのは自然の摂理ですが、
最近では、強風などにより、逆に上がっていくことがあります。

そのため、普段は発生しない雨漏りが生じているケースがあり、
それらのケースでは、原因の究明や対処方法が非常に難しくなります。

3、屋根と共に大事な下葺き

瓦、トタン、などの屋根材が雨から家を守っている重要な部材であることはお子さんたちでも想像が付くと思いますので、
雨の多い日本の風土を考えれば、

「屋根材は耐久性の高い素材を使いたい」

とお考えになる方は多いと思います。

しかし、プロの間では、屋根材はもちろん大事である前提ですが、
屋根の下に葺く下葺き材(ルーフィングなどと呼ばれるシート状の防水材)が非常に大事であることが共通認識としてあります。

万が一、屋根材に何か不具合が生じても、下葺き材が雨の浸入を防いでくれるからです。

4、軒の出が家を雨から守っている

軒(のき)は壁から飛び出している屋根の部分のことで、
雨の日には、雨が外壁や窓など、屋根以外の部分に掛かりづらくする役割があります。
晴れの日には、直射日光が室内に入る量を減らす役割もあります。

■逆行する現実

1、耐久性の低い屋根材

最近、新築している住宅の中には雨の少ない外国から輸入されたシングル葺きと呼ばれる屋根材を使っているのが見られます。

軽くて、施工しやすくて、とにかく安い、
という良いことづくめのような屋根材ですが、
デメリットとしては、耐用年数が短い
のが特徴で、塗装などのメンテナンスではなく、定期的な葺き替え前提の屋根材です。

平屋建てのように、屋根の葺き替えが容易な建築物であればまだしも、2階建て以上となると、毎回、足場の設置が必須となりますので、葺き替えは簡単な工事とはなりません。

2、雨が流れにくい屋根

屋根に降った雨をスムーズに地面へと流していくのが理想ですが、
複雑な形状、緩い勾配、などで見ていても雨が流れにくそうな屋根があります。

真新しい新築時では問題が無いのでしょうが、年数が経過していく中で、ちょっとしたきっかけで雨漏りを誘発してしまうのではないかという懸念があります。

昔の日本家屋でも、複雑な形状の屋根は多かったですが、立派な瓦屋根と質の高い施工によって長年雨漏りを防いできました。それでも、経年劣化により雨漏りが発生しているケースもあります。

しかし、最近見られる複雑な造りの屋根は、そうした質の高い施工などをセットすることが難しいので、当然のようにリスクが高まります。

3、軒の無い家

近い将来、軒と言う言葉が無くなってしまうのではないかと思うほど、軒の無い家が多くなりました。

隣地との距離、高さ制限、など軒を短くする理由は色々とありますが、
そうした理由が考えられなそうな住宅でも、軒が気持ち程度に出ているのを見ていると、「なぜ?」と疑問に思います。

4、屋根に載せている

例え、屋根がシンプルな形状であったとしても、
屋根材も耐用年数が長いものであったとしても、
屋根の上に重い物を載せ、長年放置していれば雨漏りのリスクは高まります。

なぜ、わざわざ、雨水の浸入の点では最も重要な屋根に対して、
メンテナンスがしづらくなったり、
重量で負担をかけ続けたり、

しなければならないのかは、
家を守る立場からすれば甚だ疑問です。

■屋根は下から見えません

最後に、屋根について、再三お伝えしている通り、
怪しげな訪販などによる被害が多発しています。

屋根は地上からは良く見えません。
それを、さもプロだから分かるような事を言ってきてもスルー、
近くの現場からやってきたというのもスルー、
してください。

■最後までお読みいただきありがとうございます