何でも出来る訳ではない
劇的なリフォームや見たことも無い斬新な新築住宅を雑誌やメディアで見ていると、建築って何でも出来るのではないかとプロでも錯覚してしまいそうになります。
もちろん、そんなことはないですよね。
■「出来ない」と言うことは恥ずかしいことではない
●新築は自由に建てられる?
新築住宅は更地に家を建築しますので、法規制、各種性能基準などさえ満たせば、何でも出来そうな印象がありますが、ただ建てるだけならそうでしょう。
建ててから10年前後であちこちに不具合が生じる
しょっちゅう手入れが必要になる
建替えサイクルが極端に短い
なども許容されるのならば、それはそれは自由に建てられるでしょう!
●リフォームは新築を越える?
リフォームな増改築、改装、改修、などの工事のことを指しますが、必ず、既存は残した状態での工事となります。
耐久性、耐震性、省エネルギー性能、バリアフリー、等々、各種性能について、設計や施工の内容によってはかなり向上させることも出来ますし、現代のローコスト新築住宅よりも高い性能を目指すことも出来ると思います。
一方で、既存との兼ね合いが必ずありますので、本来であれば新築以上の制限があるのですが、リノベーションなどのオシャレなワードの登場によって、何かとても自由なことが出来るような印象すら感じられるようになっています。
●出来るか出来ないかの判断は軽いものでは無い
リフォームをご検討中のお客様から
「この壁を撤去して広い空間にしたい」
とよく言われます。
だいたいの建築士は一瞬止まって考えてから、
または、構造計算をしてから回答すると思いますが、
瞬時に「出来ます」「出来ません」と発言している方は注意が必要かもしれません。
なぜ出来るのか?
なぜ出来ないのか?
と言うことをセットでご説明するように私はしています。
ちなみに、壁を撤去するのはその家の耐震性を下げることにしかならないので、そのまま撤去するだけではダメなことが多いです。
時々、リフォームのご要望に対して「出来ない」と言うことにひどく抵抗のある方がいらっしゃるようですが、理由があって「出来ない」ことについてはきちんとご説明してご理解いただけるよう努めるのプロの役割だと思います。
お客様の要望だからと言って、「出来ない」ことを「出来る」ことにしてしまうのは、セミプロやアマチュアだったとしても、何が起こるか分かりませんので気を付けていただきたいものです。
自分の所有物を自己責任で判断するのであれば構いませんが、建築の場合、それでも周辺に被害が及ぶ可能性があるので注意が必要だと思います。
●誰かが出来ないと言っても出来る人もいるかもしれない
どれ程、難しいことであっても、世の中にはそれを実現できる方はいらっしゃるかもしれません。
その方に巡り合えば実現出来る可能性が高まりますが、口だけで「出来る」と言っている方かどうかは見極めねばなりません。
普段から、ざっくばらんに相談できる相手を見つけておくのがお勧めです。