投球動作における『膝の縦割れ』は肘関節にかかる負担が増加し、球速が低下する可能性がある。

こんばんは。
今回が初めての投稿になります。


野球に関する研究論文の紹介です。
野球の指導をする立場の方、コンディショニングで関わる方、お子さんが野球をしているという親御さんなどに役立つ内容かと思います。

野球における投球動作では肘関節のケガが非常に多いのはご存じでしょうか?
特に発育期の小中学生では肘を痛めやすかったり、よくプロ野球選手やメジャーリーガーなどが肘の手術をしたというニュースも目にすることが多いかと思います。
中でも試合中に投球動作をひたすら繰り返す投手は特に肘関節にかかる負担が大きくなります。

投球動作の指導において重要なポイントは大きく2つあります。

①パフォーマンスの向上(球速、コントロール、  
 変化球のキレ等)
②ケガの予防

今回の論文ではある1つの投球動作におけるクセを直すだけでパフォーマンスの向上とケガの予防のどちらにも効果が期待できるというものです。

そのクセとは

膝の縦割れ

聞いたことはありますか?
通常の投球動作では、
投げるときに踏み出した側の足が地面に接地した後、重心がかかっていったときに踏み出した側の膝関節は少し曲がっていきます。
しかし、ある一定のところで伸びる方向に関節の動きが逆転し、地面を蹴ることで体の推進力となり、それがボールに伝わり速いボールが投げられるというわけです。
しかし、

膝の縦割れという現象は
踏み出した側の膝関節が伸びる方向にうまく切り換えることができずに、通常よりも膝関節がグググっと曲がってしまうことを言います。

論文では、


膝の縦割れがみられる投手は膝の縦割れがない投手と比較すると、統計学的に有意に
①肘関節にかかる負担が大きくなる
②球速が低下する

ことが報告されています。
もし、あなたの身近に『膝の縦割れ』がみられる選手がいたら修正することで肘のケガのリスクを軽減できたり、球速アップに繋がるかもしれません。

最後までお読みいただきありがとうございました。

本日の文献は以下の通りです。
興味がある方は読んで見てください。

理学療法 第47巻2号 105~112貢(2020 年)
投球動作中のステップ側膝関節動作と肘関節外反トルクの関係性
内田智也ら