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子どもの虐待を考える2015 ~子どもにかかわる弁護士会の活動の紹介と子育て~

2015年に受講した『子どもの虐待防止センター』主催の講座の八回目のブログになります。
 
この回は児童を取りまく法律の環境になります。
日本は極めて親権が強いので、子どもの側に立って子どもの権利を守る存在というものが重要になります。
 
そして、本文中にも書いていますが、児童虐待問題というのは死亡者が出た時だけ大騒ぎして、その後は関心が薄れてしまいます。なので、それに関わろうとする政治家はどんどんいなくなってしまうのです。全ては子どもに投票権がないからです・・
実際にこの連続講義で政治家は一人も見かけませんでしたから・・
この現状をなんとかしたいというのが、私が政治を志した原点であります。
 
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子どもの虐待防止センター主催の講座に行ってまいりました。

弁護士会

今回は弁護士の木村真実さんを講師に迎えて・・
 
子どもに関する弁護士会の活動』がテーマであります。
 
名前を見てご本人もよく間違えられるとおっしゃってましたが、木村さんは男性であります。
 
実は・・
 
今回は参加者が少なくて3人しかいなかったのです。
 
ですので、自己紹介から始まって、意見交換が中心に行われました。
 
ちなみに他の参加者は、センターに所属している心理カウンセラーの方と、養護施設にかかわる職員の方でした。児童養護に直接関わっていないのは私だけでした。
 
で、内容ですが・・
 
弁護士が子どもの権利にかかわるわけ

 
1、子どもの付き添う人が必要(「基本的人権」)
⇒子どもは自分で立証できない!!通常は親だが、虐待問題ではそれができない
〇自己表現の不十分さを補う
〇知識の不十分さを補う
 
2、子どもに付き添わないと不正義だから(「正義」)
〇環境が違っていたらこんなことにならなかった
⇒実は私が児童虐待に関心があるのもこれが理由です。現政権は新自由主義を推し進め、自己責任論を展開していますが、児童に関してだけはそれは当てはまらないと思うのです。自分で親を選んできたわけではないですから・・しかし、子どもは票にならないので、政治家は高齢者福祉ばかりを充実させようとする。結果、子どもの虐待問題はなかなか関心が高まらず、改善しないのが現実です。私はこれをなんとかしたいと思っているのです。
〇少年の可能性を開花させる可能性を広げる
 
3、弁護士は基本的人権を守り、正義を実現する仕事だから
〇弁護士の本来的な業務であるはず
〇調整にも向いている仕事
⇒虐待に関わる仕事の中で、唯一税金からお金をもらっていない。
 
4、意識的努力は必要
〇子どもの世界
〇「後見的立場」「親が依頼者の場合」
 
弁護士の得意なこと
 
〇事件の現場から考える
⇒裁判官は現場にいかない
〇調整をする 親と、公と、学校と
〇事件から立法まで関わる
〇適当な立場 税金をもらっていない専門職
 
弁護士は不得意なこと
 
〇弁護士は裁判に必要なことしか聞こうとしない人が多いので、それ以外で依頼人が話したいことを遮って聞かない人が多い。
 
東京三弁護士会(東京弁護士会・東京第一弁護士会・東京第二弁護士会)の活動
 
〇少年事件の弁護士派遣・研修
〇相談(東弁の子ども110番、二弁の子ども悩み相談)
〇弁護士会への人権救済申し立てのうち子どもに関するものを調査し警告勧告などを出す
〇いじめの授業(三会)
〇その他の法教育(裁判傍聴、刑事模擬裁判、多文化共生)
〇もがれた翼(東弁)⇒弁護士が演じる舞台
 
弁護士会多摩支部の活動
 
〇少年事件の当番、国選弁護士の派遣、研修
〇弁護士子どもの悩みごと相談 (毎週水曜日14時から19時 電話代のみ)
⇒東弁 毎月100件 年1200件ほど(電話の上必要なら面談も(1回目無料))
〇いじめの授業 2015年度70校(公立・私立両方実施)
〇法教育 裁判傍聴、刑事模擬裁判、憲法、弁護士の仕事、卒業パック
 
悩み事相談
(弁護士は月6万円支給される)
 
かけてくる人の特徴
〇子ども(高年齢が多い)
〇親(子どもの意思と合致しない例も)
〇公的機関(児童相談所)
⇒児童相談所などから特定の弁護士につなぎにくいので相談を通す
 
内容
〇訴えれるか?
〇子どもから親への請求(アルバイト代取り上げるのをやめろ)
〇親権者変更など

対処
〇相談で終了
〇面接から相談へ
〇受任して法的手続き
 
日弁連の活動
 
〇日弁連にも子どもの権利委員会
・少年の裁判員裁判における調査・研究・提言
・少年事件に対する付き添い人活動の拡充・強化
・いじめ・体罰・校則・懲戒処分などにおける子どもの人権問題(人権救済申し立ての調査)
・家庭での児童虐待や福祉施設における子どもの人権問題に関する調査・研究・提言
・子どもの権利条約の国内実施に関する問題
・少年院・児童自立支援施設内での人権侵害に関する再発防止、少年法改正問題など
 
個々の弁護士の活動(公的)

 
〇東京都の児童福祉審議会委員
34人中5人が弁護士(残りは教育関係者)
 
〇要保護児童対策協議会委員
 
〇いじめ防止対策審議会委員、調査のための第三者委員会
 
〇鑑別書や少年院の視察委員(平成26年法改正)
 
〇児童相談所の非常勤弁護士、協力弁護士
⇒28条審判や親権喪失・停止も
 
〇子ども家庭支援センター 相談
 
個々の弁護士の活動(民間)
 
〇虐待防止協会、CCAPの理事、監事
 
〇子どものシェルターの理事長など
⇒一時保護所などもあるが、そこに入れられない子を一時的な預かる場所として弁護士が設立。だが、最初は「誘拐じゃないか!!」と批判され・・最近やっと全国的に普及・認知されるようになった。
 
〇チャイルドラインの理事・監事
 
個々の弁護士の活動(事件活動)
 
〇少年事件
・鑑別所に収容された子(全国で年間 11200人)の16%、審判を受ける子(49000人)の72%に付き添い人
・事実の確認(冤罪から守る)、意見を伝える、環境調整
 
〇家事事件の中の子ども
・離婚(離婚自体、親権者の決定、面会交流、養育費)
・親権者変更
・子の氏の変更
⇒これらのことは父と母の立場のみで、子どもの意見が反映されない
 
〇学校交渉
退学を争う
 
〇子どもの福祉関連
一時保護や施設入所を争う
 
個々の弁護士の活動(子どもの手続代理人)
 
家事事件手続法(2013年1月施工、以下家事法)は、子どもの意思を反映させるための条文が整備されていること、その一環として、子どもに手続行為能力があれば、自ら手続行為(審判、調停)をすること、利害関係参加人として参加することが認められた
 
〇家事事件で、自分の言い分を的確に反映させるために、大人だって手続代理人が必要になる 子どもならなおさら!!
⇒子どもが自ら手続行為をし、あるいは参加している審判・調停事件で、子どもは自ら手続代理人を選任するか、必要な場合には裁判長が選任(法23条)
子どもの代理人は、子どもに対し、①手続の現状に関する情報を与える、②調停・審判の経過、見通しを踏まえた対応、③父母に子どもの意向を伝え、調整するなどができる。
 
〇調査官もいるけど中立的。葛藤の強い父母に遠慮している子どもが調査官に自分の意思や希望を積極的に表明することは難しいことも自分の立場を父母ないし裁判所に伝えてくれる手続代理人を介してなら、少し安心して、自分の意思や希望を述べることができるかも
 
〇家事法施工後、各地で熱心な子どもの手続代理人活動が行われている。事案としては親権喪失、停止、離婚にあたっての親権者指定、親権者変更など。各事案の子どもの手続代理人は、何度も子ども、親族、関係者と面談し調整活動を行っている。費用は父母が折半または子どもに関する法律援助事業
 
個々の弁護士による活動(費用について)

〇法テラスの援助(個人負担なし)
・法政手続代理など
児童虐待もしくは学校又は保護施設における体罰、いじめその他の事由により、人権救済を必要としている子どもについての行政機関(主に児童相談所)との交渉代理や、虐待を行う親との交渉代理、児童虐待についての刑事告訴手続の代理などの弁護士費用などを助成する。
 
・訴訟代理など
虐待する養親との離縁訴訟、扶養を求める調停や審判手続の法定代理の弁護士費用を助成する。
 
㊟両方とも、貧困、遺棄、無関心、敵対その他の理由により、親権者及び親族からの協力が得られない場合に限られる。学校などによる体罰やいじめ、虐待する養親との離縁訴訟については、親権者などに解決の意思がある場合は民事扶助助成制度を利用する。

 
まとめ・・

 
今回は雑談も交えて、いろいろ話ができたので楽しい時間でした。
やはり、実際に子どものために戦うのは弁護士などしっかりした資格と知識を持った人が一番頼りになるなと思います。
でもね・・それでも法律や行政の枠組みの中でいろいろな制限が設けられる中での戦いですから・・やはり、行政が大きく変わっていくことが最も重要なことなのだと改めて感じました。

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