第四話 ~情報の波に揺れるかおる~
このお話は、一人の女性が投資を理解しながら、ウォーレンバフェットの考えに触れ、自分なりの投資スタンスを確立していく物語(フィクション)です。
投稿4:情報の波に揺れるかおる
かおるは、家事と仕事に追われる日々の中で、ますます心の中に違和感を抱いていた。朝は早くから子供たちを送り出し、会社では忙しく仕事をこなし、帰宅後は家族のために夕食を準備する。すべては効率よく進んでいるはずなのに、どこかで心が揺れていた。
「このままで本当にいいのだろうか?」
週末、かおるはソファに座りながら、スマホでまた新しい投資の動画を見ていた。YouTubeやインスタで簡単に情報が手に入る時代。今も画面の中では、若いインフルエンサーが「今がチャンス!米国株を買いましょう!」と勢いよく話している。
「米国株か…最近よく耳にするけど、本当に大丈夫なのかな?」
かおるは自問自答しながら、次の動画へと進んだ。彼女はNISAを活用し、S&P500に連動したインデックス投資を長期で行っている。しかし、最近は米国株や債券、さらには仮想通貨など、新しい投資手法が次々と目に飛び込んでくる。
「これも良さそうだし、あれも試してみたい。でも、結局どれが自分に合っているのか、わからない…」
かおるは、次々と流れてくる情報に頭が混乱し始めていた。
「ねえ、かおる?」
真司がリビングに入ってきた。
彼も仕事帰りで少し疲れている様子だったが、かおるがいつものように投資の動画を見ていることに気づき、声をかけた。
「また新しい投資の情報を見てるのか?」
真司はかおるのスマホを覗き込みながら言った。
「そうなの。なんだか最近、いろんな情報があふれていて、どれが正しいのかよくわからなくなってきたのよ。米国株がいいって言う人もいれば、債券や金が安全だって言う人もいるし…。」
かおるは少し戸惑った表情で答えた。
「まあ、YouTubeやインスタでいろんな意見があるのは当たり前さ。でも、僕たちのやり方は間違ってない。手数料が安くて、効率よく増やせるインデックス投資を続けていけば、問題ないと思うよ。」
真司は軽く肩をすくめながら、効率の良い運用を続けていけば大丈夫だという態度を崩さなかった。
「それはそうなんだけど…。」
かおるは少し言葉を詰まらせた。彼女はインデックス投資が間違っているとは思っていない。しかし、自分の投資判断が本当に正しいのか、いつしか疑念が生まれていた。
「最近、お母さんの話を聞いたからかもしれないけど、もっと自分の考えを持って投資をした方がいいんじゃないかって思い始めたの。効率だけじゃなくて、何かもっと大事なことがあるんじゃないかって…。」
かおるは、母・節子がお団子を買う理由を思い出しながら話を続けた。
「お母さんか…。」
真司は少し考え込んだが、やはり彼には効率性を優先する考えが強かった。
「まあ、確かにお母さんは独自の考えを持っているけど、投資は感情じゃなくて理論で進めるべきだと思うよ。手数料を抑えて、効率よく運用すれば、最終的には資産が増えるんだからさ。」
真司の言葉は合理的で、かおるもそれに反論する余地はなかった。しかし、彼女の心にはまだ不安の影が残っていた。
「私は本当に、ただ効率的な投資を続けているだけでいいのかしら?」
かおるはスマホを置き、深くため息をついた。
「なんだか、もう少し別のやり方を考えた方がいいのかもしれない。」
かおるは母の話や流れてくる情報を思い浮かべながら、次の一歩をどう踏み出せばいいのか悩んでいた。
「次回予告:かおるの中で膨らむ違和感と迷い。その感情が、次第に彼女を新たな道へと導き始める。次はどんな選択が待っているのか?」
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