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『ファタモルガーナの館』ネタバレ感想 不満多めな作品

オススメ度 ?????

前置き

自分の言葉を代弁してくれるレビューが見当たらなかったので書こうと思います。
賛同的な感想は多くの人が行っているためわざわざ書いても仕方ないので省略します。
そのため批判的な感想ばかりとなっているので、それを踏まえた上でこの先をスクロールすることを推奨します。
ストーリーが面白くなるまでの導入部がかなり長く、そこまで不満たらたらでやっていました。

序章

まずプレイして感じたことは、序盤から置いてけぼりの展開になっていて全く文章が頭の中に入ってこない。
①過去に何かしら事件が起こって、
②それが原因で今のよくわからん空間の中にいて、
③これから過去を知ろうという流れだとは理解できますが、
まだこのゲームの目的が何か全く知らない状況でいきなり主人公の過去を振り返ろうと言われてもどう興味を持てというんだろう。

人となりを知らない状況でこれから主人公に何が振りかかろうとしても、
全くの他人に感情移入することなんて出来ない。

どこかの国の大統領が暗殺されても、どこかで一家殺人事件が起ころうが、人となりを知らなければ一々心を震わすほど悲しんだりはしないし……
このゲームを今後楽しむことができるのか?と早い段階で訝しげに思ってしまった。

一章

妹ネリーと兄メルの物語。
最初は兄妹仲良く過ごしていたが、ある人物を境に段々と不穏が漂い始めるという話だけど、兄のメルに終始イライラしてしまった。

ネリーが何か話そうとしても、青年になってからのメルはネリーの話を全て受け流すようになってしまい、全く関係がよろしくない。
ネリーの交友関係は兄以外に親しくしている人物は確かいなかったはずで、つまりメルしか頼れる人物がいない状況。
このことにメルは全く気付かず、白い髪の娘にうつつを抜かしており、結果不和が発生してしまうのだが、

ここで疑問なのがメルは何故ネリーの気持ちに気付かなかったのか。

メルは神父の元で勉強していて頭が良いため、ある程度人の気持ちを推し量ることができそうなものだけど、全く気付く様子が見られない。
自分からネリーにコミュニケーションを取ろうせず話しかけられても厄介払いという状態、かと思えば髪飾りをプレゼントするなど、一貫性に欠けた行動をとる。
ネリーのことを振り返るタイミングはいくらでもあったがすることはなかった。

メルはもう16,17歳くらいの成熟した青年であり、様々な人と交流をしてきたことも想像に難くなく、頭も良いときた人間が、このような行動を取るだろうか?
メルがネリーの気持ちに気付かない理由がいまいち提示されていないように思う。

人間はその場の判断で生きていく生物なので上記で上げたことが必ずしもそうでないといけないとは思わないが、行動と設定が異なるキャラの崩壊を人間性があると表現するのはなんか違うと思った_(:3 」∠ )_
メルは作者の都合で動いていて、ネリーの気持ちに意図的に気づかないようにしているだけなんだなと感じた。

二章

どういった悲劇が起こるかということは既に一章で学習済みであったため、二章の物語も大体想像がつく。
内容に関しては特に語ることはない。

気になるところは最後のネタバラシで獣が実は人間であったことが明かされるが、
この話の語り部は存在せず、なぜ初めに人間が獣の姿で語られたのかよくわからない。
誰かの視点の話であれば、獣の姿は勘違い、嘘、認識の齟齬という理由で片づけられるが、今回の話は最初から人間の姿であっても物語が成立する。
作者の都合であえて序盤で隠して、終盤にネタバラシしたんだなあ、と状況を理解する気持ちしか湧かなかった。

三章

仕事と家庭どっちが大事なの?で、仕事を選択した男の物語。

まずもうこれで本当は妻を愛していたという結末は無理がある
ゴリ押し感が強い。
展開はシンプルだが、話が長い。

多少の粗は普段気にならないんだけど、ここまで話が長すぎて退屈を感じるせいで余計なことまで考えてしまう。

四章

ようやく最後の話(おおうそ!)
館の中の絵画がミシェルに向かって今までの章は
「他人の悲劇だから耐えてこられた」と話しかけてきたが、ミシェルは自分自身が何者かもわからない状況で言われましても。
耐えるというより他人事にしか思えないのでは?ともやもや。

四章はミシェルと白い髪の娘が一緒に暮らす話で、ワンチャン助かったりするのかな?とかどんなファンタジー要素が出てくるのかな?とか展開が気になる話ではあったが、結局悲劇が起こってしまうこと、そもそも根本的にこの話を知ってどうするの?という考えがよぎり素直に楽しむことが出来なかった。

後は全体的に話し終わった時点で、話す前と何も状況が変わらないことが多くて、今のなんだったんだとなる。
「私は呪われています。」→「信じません。」→「・・・。」→「私は呪われています。」→「信じません。」→「・・・。」→「私は呪われています。」→「信じません。」→「・・・。」
キャラの内部パラメータ的なものの変化が感じられない。

バックログがところどころ伏字になってるのってなんだろう?
プレイ当時は気づかなかったけど、???視点の会話がいつの間にかバックログだけに追加されてたのか。ミシェルとモルガーナがこの四章の創られた物語について語ってたのね。

後この「あ  あ  ああああ」って表示は突然出てきたけど、結局何だったんだろう。

五章

ジゼル(ヒロイン?)が主体となり話が進んでいく章。

気に食わないポイント①

ミシェルが母の言葉信じた。
ジゼルがなぜこの館にやってきたのかという理由を問い詰めたが、ジゼルが何も語らなかったため、母(何年もこんな館に閉じ込めた元凶、かつジゼルを館に送ってきた)に質問を添えた手紙を送り、返ってきた手紙の内容を何故か素直に信じる。

気に食わないポイント②

ジゼルの行動。
館にやってきたジゼルは初めて出会うミシェルに戸惑いながらも意思疎通を取ろうとする。
意思疎通を取ろうとするのはいいけど、煩わしいほどに話しかけ、頼んでもないお節介を焼き、許可もなく私室に入ってきたりと、パーソナルな部分に土足で踏み込もうとしている部分が多い。(意図的?)
そしてうまく会話ができないと不機嫌になり落ち込む。情緒が不安定
エネルギッシュではあるが打たれ弱く、勝手に自滅していく印象。

気に食わないポイント③

ジゼルの過去。
章の終盤にミシェル家の従者となったジゼルが過去にミシェルの父に淫行を迫られていたことが明かされる。
それをジゼルはめちゃくちゃに気にしている

ジゼルは異常なほど気にしているが、自分はそうは思わなかったので以下に理由を挙げていく。
①しがない一般人だったジゼルが貴族であるミシェル家に従者になる時点で、実際にそうでなくとも何かやましい理由があるのは想像つく
②登場人物の一人であるマリーアが12歳で攫われて淫婦として働くなど、何が起こってもおかしくない時代であること。
③実際に淫行が行われるが、わりかし配慮された綺麗な空間、無理やりさを感じないやり取り、父一人を慰めるだけで家族が良い暮らしができるほどの好待遇が提示される。
④ミシェル母が気狂いになってしまい、寂しさからミシェル母に似た人物を探しているという、わざわざミシェル父を擁護できるような理由が用意されている。

以上、取り上げた理由からそんなに気にすることある?????????と、全く感情移入できなかった
もっと絶望感を抱きたいなら、結婚を約束していた幼馴染の前で暴漢に凌辱、監禁され数年間マワされ続けるが幼馴染は助けに来ないなどの展開が合ってもいいと思った。(自分はそんな展開は望んでいないです。)

気に食わないポイント④

ミシェルが魔女を演じたこと。その後の対応。
なんやかんやあって、ジゼルが館を離れ、近くの村で過ごすが魔女というレッテルを貼られて、ミシェルの元に返ってくるのだけど、
館の金品を奪おうとしてやってきた村人に対して、ミシェルが神々しく魔女を演じることで退散させていったというもの。

ミシェルが村人に対抗する力は実際にはないため、脅して帰らせたというのは納得はいくのだが、その後の対応がおかしかった。
とりあえず帰ってきたジゼルと再度やり取りを行い、もう一度共に暮らすことになるが、その間村の人に魔女の存在が知られてしまったことについて言及が一切ない。
バリケードを設置したり、逃げ道を確認するとか、館から逃げてしまおうなどというやり取りを期待したが一切なく、結局要請されてやってきた騎士によって処刑されてしまいましたとさ。

いつ面白くなるんだよォッ!

ジゼルの正面顔。目と目が微妙に離れてて怖い。

六章

魔女の言葉に耳を貸したジゼルが館の女中として過ごす物語。
一章から三章の振り返りをしている。
白い髪の娘 = 生まれ変わったミシェルだと認識して喜ぶが、ジゼルと白い髪の娘が結ばれず絶望していたのだが…

記憶を取り戻したミシェルとジゼルはなんやかんやお互いの気持ちを再認識した。
今まで色々あったけど、愛があれば乗り越えられるんだね!

その後モルガーナが現れ、再びジゼルと離れ離れになります。

ここまで30時間。長かった序章がそろそろ終わりそうな雰囲気だな…?

奪還

絵画の中の人、一章から三章で出てきた人から伏線らしきものを得る。
モルガーナの過去を知ることもできた。(ここはモルガーナ視点の話のためミスリード注意。)
モルガーナは生前不幸なことがあって死にました。
一章から三章で出てきた人が死ぬ要因となった人物です。
要約するとこんな感じの話。

説明的な語り口で遠い過去の話をしているので、それほど絶望する実感がない。
予定調和だなあと思った章。

七章

ミシェルの過去が明かされる。
ミシェルの兄、次兄ジョルデュ、長兄ディディエが新登場。
ミシェルは元々女であったが、青年になるにつれ身体が男になっていくという特徴があった。
その結果呪いにかかったとされ、2年間実家の地下に幽閉され、8年間魔女の館で過ごすこととなる…

ミシェルと共に過ごした次兄ジョルデュ、長兄ディディエだけどよくキャラを読み取ることができなかった。

一見人柄のいいひとで、兄弟3人で仲良く過ごしていた描写があったにも関わらず、ミシェルが地下に幽閉されていた2年の間一度たりとも顔を出しに来なかったのは不自然すぎる。
ジョルデュの婚約者の女がミシェルを虐待していたとんでもないクズであったのに、それに気付かず結局そのまま結婚するなど、ミシェルに対して無関心なところが目立つ。
それから廃墟同然の魔女の館に連れ出された合計10年の間ですら一報すらなかった。

一見してこの矛盾。
仲の良かった兄弟間には連絡を取ることすらできないやむを得ない事情があったと推測できる。

先の解答編がどうなるのか気になっていたのだが……………………
特に何もなかった。え?

一応最終盤でミシェルにはすまないことをしたと思っていると明かされ、理由も「仕事が忙しかった」とかいうくそしょうもないことを言われる。

連絡すら来ない理由になってないが?

モルガーナよ、お得意の真実の扉はここにはないのか?

最終章

ようやくミシェルが自我を取り戻し、モルガーナとジゼルを救うという目的のため自ら果敢に進行していく様が見られる。

さらに唯一と言ってもいいほど人格がまともである人物が出てくる。マリーアとネリーとポーリーンとミシェルの4人の掛け合いは言いたくない話をはぐらかさないという安心感があった。

回帰

ハッピーエンドだわーい。
なついてくれるモルガーナが一番可愛いかも。

まとめ

終盤はひた隠しにされていたはっきりしない謎をテンポよく解決していくのは40時間プレイして報われたところだった。

毎回ビジュアルノベルをクリアするたびに、感想サイトを読み漁って共感したり、気になる箇所の考察を読んだりして気持ちを晴らす行動を取るんですが、
今回も同じように感想サイトを漁っていたところ同じ感想を持っている人が見当たらなかったため今回書いてみる運びになりました。
久々に書いた。

ネットにある好意的な感想をみていると、どうもそもそも自分はプレイヤーのターゲット層に含まれていないなと感じた。
内容は女性向けでは限らないのだが、全体の精神が女性的傾向にあるなと。
そのため今回は評価はつけないことにしました。

以上


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