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最高に優しい物語『レイジングループ』ネタバレ感想

オススメ度★★★★★

狂気の因習にまみれた集落で、殺人儀式「黄泉忌みの宴」に「死に戻り」の男が挑む!対戦テーブルゲーム「人狼」の世界観を和風伝奇ホラーへと巧みに再構成し、「ループ要素」によって新機軸のミステリを提示、さらにサスペンス、民俗学、コメディなどあらゆるエンターテインメントを盛り込んだ大長編ノベルアドベンチャーゲーム。

既にゲームプレイしている前提向けで書き殴っています。
ネタバレ注意。

良かったところ

・不要な文章がない

シナリオの良さは言うまでもないので、その良さの要因を考えてみる。
40時間プレイした中で全体を通して質を上げていると思うのが、無駄な文章のなさだと思う。
ストーリーが進展しない、キャラクターの親密度に関わらない会話などの無駄な文章がほとんどない。

基本的に主人公の行動原理が、集落の謎の解明のための見解や気になったことを村人にふんわり聞いたり、仲を深めるために行動をする。
この時点で、状況が常に変わるようになっていて新鮮で飽きないものになっているが、それだけでなく主人公と村の人々との関係性がよりそれを強めていると思う。

村人は外から来た主人公に対してかなり警戒心が強く、打ち解けようともせず、すぐに村から出ていかせようとする。
最低の関係値の状態からスタートしていることになるため、たった1回ラリーの会話だとしても、凄く価値が高いものになる。
コミュニケーションの重要性が高いため、会話をすることに対して無駄な文章だと感じにくいんだと思う。
言うなれば我々が普段友達と話すようなたわいもない会話がゲーム内で繰り広げられたとしても、関係値が十分でないとその会話はそもそも発生しないため、しょうもないことを言える状態にあることを知れる面白さがある。
無駄な文章があると感じにくいのは、意義のある文章のみで構成されているわけではなく、意味がないと直感で思いそうな会話にも価値があるからだと思う。

たまにゲーム内でギャグや変なノリの会話があるため気になる人も結構いそうだけど、個人的には張り詰めた雰囲気のある世界観において、安らぎを与えてくれるので。
ギャグパートすらキャラ同士の信頼度に関わってくるので、そこで没入感が薄らぐことはなかった

・常識キャラがいる

全員が全員主人公とかけ離れた常識を持っていると、不安を感じてしまうので、割かしではあるが主人公と同じ精神を持っている芹沢千枝美がいるのはありがたかった。途中で千枝美の精神が既に崩壊していることがわかったが、主人公の寛容さでなんとかしてくれたので安心した。
基本的に序盤において分かり合えそうな人が千枝美ちゃんしかいないのでプレイヤー全員が仲間意識を感じざる負えなかったんじゃないだろうか。

・察しの悪いキャラがいない

シナリオの都合上、察しの悪いキャラがいるゲームは多いが、このゲームは察しが悪いキャラがいない。
こうしたほうが謎の解明に早く近づくのでは?と思うこともあったが、ストレスになることなく楽しめる。
主人公の頭が良いゲームに外れはない。
プレイヤーが何となく感じていたことを主人公がしっかり言語化してくれるのでかなり有難かった。

・暴露モードの存在

一般にゲームをクリアした後、謎が解明されないまま「結局あれはなんだったんだ?」と思うことがあるが、そのもやもやを解消してくれるモードがある。
クリア後に解放される暴露モードによって主人公以外のキャラの頭の中を覗くことができ、本編で説明されない謎がわかる。
これが凄く良く、後腐れがなくなるため最終的な評価が上がっている。
「この設定は矛盾では?」となったところも、「ここはちょっと無理があった」のような(ニュアンス)ことを説明していたので、作者と自分の考えが合ったことがわかって嬉しく感じた。
序盤の謎は忘れがちなので、そこの解説も聞けるのは新鮮だった

・キャラが可愛い

芹沢 千枝美、回末 李花子、巻島 春がこのゲームにおけるヒロイン。
3人ともかわいい。巻島 春(神モード)が特に好き。
特に良いと思ったのが、死に戻りというシステム上、主人公が死んだときに他のキャラの記憶が消えてしまい主人公が一人虚しく孤独になってしまいそうだが、ヒロイン3人とも主人公と歩んだ記憶を持ったままエンディングを迎える。(ここ重要)
このおかげで頑張ってよかった、頑張りが報われて良かったと感じる。
特に3人とも会話シーンが多く親密になるので、その記憶がなくならないことに安堵する。


気になったところ

・操作性

PCでやる場合において少しつらさがある。
スマホや他プラットフォームは問題ないと思う。
特にチャート画面で死に戻り地点を選択する際の操作が煩わしい。
チャートが長いため、スライドでささっとスクロールできたらありがたいのに、マウスをドラッグしてスクロールすると離した地点でピタっと止まって何度もスクロールをしないといけないので、死に戻るたびにめんどくさくなった。

・狼じじいが強すぎる

90歳超えたじじいが普通に体格が良い相手や銃持ってる相手に勝てるの?
銃で犬殺しまくってる相手の前にじじい来たら撃ち殺されるだろ。
最初に主人公が狼じじい役の人狼の描写がでかすぎる。
もうこの時点で主人公はこの空間に取り込まれていたんだっけ?
家の屋根を越えるくらいの大きさになって明らかに異界の物だと初め見たときに思ったが、ヨボヨボのくそじじいが正体だと知ったときは頭がデッドロックを起こした。

・車のエンジン音のBGMがうるさい

中盤に房石陽明が自殺志願者として休水にくることになるが、藤良から休水に車で移動するBGMがうるさすぎて頭が狂ってしまった。
BGMをOFFにして乗り切りました。

まとめ

結果として現時点で2周目なども含めて100時間ほどプレイしてしまいました。
こんなに没頭してしまったのは久しぶり。
何かゲームを紹介してほしいと言われたらこのゲームを紹介したくなる。
いつの間にか隠し要素まで全部コンプリートしていた。
どこかで主人公の房石 陽明がまた活躍するゲームをやってみたい
それほど好きなキャラだらけだった。
一応世界観続きで、デスマッチラブコメ!というゲームがあるが、またの機会にやりたい。

おわり




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