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グリッドマン ユニバース感想・アニメの美味しさ全部乗せの衝撃

すでに各所で絶賛の嵐、「グリッドマン ユニバース」を5回観たので改めて感想を書きたいと思います。
Filmarksの方は初見での感想を早めに綴る事が目的なので、しっかり咀嚼した後での感想と分ける事に意義があると思っています。

アニメ版「七人の侍」といっても過言ではない

皆さんは昭和29年の映画「七人の侍」をご存じでしょうか。「世界のクロサワ」と呼ばれる黒澤明監督の代表作で、スピルバーグ監督やジョージ・ルーカス監督にも影響を与えた、世界的にも最上級の評価を得ている屈指の名作です。これがなんと200分越え、三時間半にも及ぶ超大作です。実際の上映では途中休憩を挟み、DVDは二枚組になっている程です。
簡単にあらすじを紹介すると戦国時代、荒くれ者に虐げられていた百姓達が七人の侍を雇って、村を守るために一緒に戦うという話です。侍たちが集結するまで、戦の準備、合戦とそれぞれが一時間ずつという物語ですが
・百姓と侍の身分の差による軋轢
・敵を迎え撃つ戦略面の描写
・大迫力の合戦シーン、倒れていく味方の悲壮感
と、様々な描写が絡み合い、どこをとっても見応えがあります。世界にその名が轟く傑作なのも頷ける作品です。
黒澤監督はこの映画を「ハンバーグの上にビフテキを乗せて、さらにカレーをかけてやろう」と思って作ったそうです。つまり人間ドラマにアクションに、と面白い要素てんこ盛りにしてお客を喜ばせようとした訳です。ハンバーグビフテキカレーをいっぺんに食べると美味いのかどうかはさておき。

で、このグリッドマンユニバースですが、七人の侍に似ているなと思ったのが
・青春ラブコメ
・セカイ系、転生もの
・テレビの続編
・怪獣もの、ロボットアクション

これだけの要素が入っていて、雑多になっていません。二時間で全てを描き切り、いずれも高水準です。ヒットしたTVアニメという下地があったにせよ、この欲張りっぷりと完成度には目を見張るものがあります。

第一の衝撃・感動と一緒に笑わせるシークエンス


主にクリアファイルですが、パンフ以外で色々買ったのは珍しいです

ガウマと姫の再会、最終決戦時の二代目巨大化など、真面目なシーンに笑いが共存しているのが新鮮でした。無論他の作品にもそういうのはありますが、心底その笑いが笑えたのはこれが初です。

ガウマは姫との再会が生きる目的だったと言ってもいいでしょう。TV最終回で「あなたには会えなかったが…」と遺したこともあります。そんなガウマが今回ようやく姫と再会を果たした訳です。悲願ですから、当然ドラマチックな場面になるはずですが、それがデパートの食品売り場。売り子をやってる姫に「あら、ガウマじゃない」くらいのテンションで再会してしまうんですね。これには面食らいました。そしてここで、TVのダイナゼノンで結局最後まで明かされなかった「人として守るべきもの」3つ、「約束」「愛」に続く三つ目が姫の口から語られます。
なんと、「賞味期限」です。
いやいや、5000年前にそんな概念なかっただろとツッコミたくなりますが、考えてみれば
・「約束」…他人に対して
・「愛」…自分の心に対して
・「賞味期限」…自分の身体に対して

なので、理にかなってはいるんですよね。
「えぇっ!?」と思わせつつ、それでも納得してしまう実に妙な運命の再会でした。

二代目の巨大化も、子供バージョンの時から巨大化してみせているので解ってはいるのですが、最終決戦でハイテンションな場面でシュールなギャグ描写、ロボの中に入っている様子はパイロット版マグマ大使を思い出してしまい笑わざるを得ませんでした。劇中の内海と同じく「もう、何が何やら」な状態です。

第二の衝撃・尊さから性癖へ


まぁこの二枚は必須でしょう

個人的に百合は好きですが、やはりノンケ男なのでBL、ホモには抵抗があります。エヴァヲタクですがシンジ×カヲルに萌えた事もありません。性描写までいかなければ可愛いな、くらいの気持ちはありますが。

ですが今回、蓬&ガウマにはハッキリと萌えました。
TVからの繋がりで、ガウマの生存に胸がいっぱいになった蓬と自分の気持ちがシンクロしたのでしょう。泣きそうになりました。
人前なので抱きつくのも憚られ、頭を付けるに留めましたがあのシーンの蓬、二人だけなら抱擁していたのではないでしょうか。そしてその後の深夜のシーン。予告だと裕太とのカットで流れていた「ガウマさんに言いたい事、一杯あった気がしたのに」が当人に向けてのものだったというのは、嬉しいミスリードでしたね。その後の優しいガウマの表情と言葉、こらえきれず笑顔で涙を零す蓬に、黙って頭を撫でるガウマ。

美しすぎる、男の友情だ…

これに尽きます。
蓬とガウマなら、からみ合ってる絵も抵抗なく見られそうです(笑)。それくらい「男同士は苦手」を、尊さが凌駕しましたね。思えば野上良太郎とモモタロスにも同様の感情を抱いていた気がしますね。ガラの悪い兄貴分とおとなしい弟分、というのがストライクゾーンなのかもしれません。
「ガウよも」、万歳です!

第三の衝撃・初めてロボットに興奮した


実写版&アニメの良いデータブック、
しかしちせちゃんの扱いだけ納得がいきません

Filmarksにも書きましたが、私は今までロボットアニメの戦闘シーンで高揚した事がありませんでした。かといってつまらなく思っている訳でもなく、場面の一つとして淡々と観ていた、という感じです。ガンダムでも、マクロスでも、エヴァでも。
ですが今回、本当に初めて、「ロボットバトル、メカアクションに燃えた」んですね。主に最終決戦ですが、インパーフェクトやUNION、uni-verseが絶好のタイミングで流れますしグリッドマン、アレクシス、グリッドナイト、ダイナゼノンがそれぞれこれでもか、と暴れまくります。そのテンションの高さとキャラ達の一体感、これぞ劇場版のお祭りだと言わんばかりの豪華絢爛な画作りに鳥肌が立ちっぱなし、5回観ましたが5回とも涙腺が緩みました。まさかアニメのロボットバトルで感動する日が来るとは。それこそ、アノシラス君の言った「虚構を信じる生き物」であることを満喫させてくれた映画だと言えますね。
脱帽です!

大好きな裕太達、蓬たちにありがとう

当然パンフレットも購入して、読み込んだ訳ですが。
映画の圧倒的完成度を考えると少し驚きな事など、こちらも実に興味深いことがいくつか書いてありました。

思ったのが、このシリーズはやはり等身大の高校生達を描いた作品で、その魅力的なデザインと共にキャラクターがとことん愛されているのが人気の理由じゃないかということです。
所詮虚構、たかがアニメ。だからこそ、キャラ達はみんな笑顔でいていいじゃないか。
そんな誰もが持っている願いを全て叶えきった作品がこのグリッドマンユニバースで、多くの感想に「見たいものが全て見られた」という言葉があるのでしょう。主題歌を先に聴いた時からハッピーエンドしか無い、と思っていましたがここまで見事なものとは思っていませんでした。
スタッフにお見事です、ありがとうと伝え更に、

裕太達に、蓬たちにもありがとうを伝えたい、そんな映画でした。
パンフレットについての所感は、創作に関わる部分があるので別記事にしようと思います。

とにかく、3月にして今年Nо.1映画が確定しましたね。
一点非の打ち所がない、衝撃まみれのウルトラムービーでした!


唯一の不満は、色紙が被り過ぎた事です(泣)
いずれ全種、手に入れます


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