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映画感想「劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)」(Filmarksより)

前作から4年ぶりの新作。

冴羽獠の元に今回は、動画撮影の為に日本を訪れたという美女・アンジーが猫を探して欲しいと持ちかけてくるが、それは真の依頼ではなく…。

獠の過去に繋がるキャラとその因縁が描かれる、実は新章の始まりになっている劇場版だった。

前作のドローンと同じように今回も現代的な要素は出てくるが、それが違和感にならないレベルで「いつものシティーハンター」だった。そもそも「最強系主人公」の代表格でもある作品なので、冴羽獠を窮地に追い込むにはただ強いだけの敵では足りない、というのを知らしめているかの様だった。アンジーはヒロインであり、宿敵である。

メインビジュアルにあるようにかなりの危機に陥るが、展開は前作より淡白だった印象。いつものメンツが強みを活かすシーンは薄めで、その分アンジーの苦悶の描写に力が入っていたと思う。ただのゲスト依頼者ではなく、ある意味獠の「妹」でもある彼女。決着の形としてここに持っていくにはこれだけの地獄が必要だったのかと、その悲しみが強いのは80年代と今の違いではないかと感じた。

アンジーと香が料理をしたりスイーツを楽しむシーン、スイーツ多すぎるだろうと思ったが素直に良い場面だと思った。

前作でドローンを処理する場面の様な、獠の技巧を見られなかったのとガンダムユニコーンやルパンがノイズでしか無かった点は不満だが、舞台挨拶で伊倉さんが仰っていたように「いつもと違う」Get Wildが聴けたのは映画体験として高得点だったと思う。

TV版の頃は新人だった堀内賢雄さんがラスボスとなった事への感慨など、舞台挨拶中継で聴けたお話のどれもが心に残ったので加点したいところ。

考えてもみればこんな稼業をしている作品で、生死が描かれていないのも不自然なのでその意味では前作より真摯なストーリーだったといえるのではないか。だからこそ、ラストの獠と香の台詞は胸にくるものがあった。

「俺は、死なない」
「知ってる」

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