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雑記「続・シナリオS1グランプリ経験談」…NEXT STAGEへ

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今月20日、授賞式が控えている訳ですがすぐに次回の締め切りもやってきます。次回第44回は2月20日の夜必着ですね。
で、私は次も応募するのかと言うと、しません。
「入選」が目的だったので、ここで応募を続けるとなると脱線になるからです。
佳作なので、まだ上の賞が二つあります。準グランプリ、グランプリですね。そこを目指さないのか、佳作で満足なのか?という問いに対しては、佳作の知らせがあった9月末から色々考えました。

コンクールとは何か

私は元々、声優を目指し養成所に通っていました。見切りをつけ脚本家志望に方向転換した訳ですが勿論、プロのシナリオライターが目標でありその為に知名度の高かったシナリオセンターに入ったんですね。
そして最初に目に入ったコンクールがS1グランプリであり、そこで「何か賞を!とにもかくにも入選を!」とやってきた訳です。
この挑戦をしてきた4年間、コロナ渦もあり色々と変化がありました。基本的にマイナス面の変化が目立ち、正直世の中は悪い方向に流れていますよね。自身もそうですが外的要因で、脚本家を目指すという意志が揺らいだ事が何度もありました。それでも諦めずにやってきて今回受賞に漕ぎつけたので、やはりこれからもプロの書き手を目指していくつもりです。

シナリオコンクールというのは、一見すると新人発掘だとか、受賞作は映像化だとか、上に行けばプロの世界と直結しているように思えます。それはその通りではありますが、では99%以上の落選者には意味のないものでしょうか。たった一人のチャンピオンになるまで数百、数千の人達と戦い続けるものなのでしょうか。
年間通して、様々なコンクールがありますが何故これだけあるのか、考えてみて自分なりに感じているコンクールの意義があります。
それは、「書く理由」です。
プロを目指す人ばかりでなく、コンクールそのものを楽しんでいる人もいます。ですが、ある講師の方に聞いた話、プロでさえ締め切りが迫らないと書けない人がいるとの事。
創作は楽しいですし、どんな人もその種を持っています。
それを形にしたい、と思う事はとても生産的で意義のあることですが実際にきちんと作品として仕上げるのは大変です。というかほとんどの人が途中で投げ出します。脳内で終わりアウトプットゼロの場合もあるでしょう。
それでは勿体ないので、モチベーションの手助けをしよう、という意図から「締め切り」を設け、実施されているのが公募、コンクールなのではないでしょうか。

賞を獲ることだけが、コンクールの目的ではありません。
応募の為に作品を仕上げる、これが大切なのだと思います。

自分を売り込む事には、成功した

話を戻します。
今回、月刊シナリオ教室に最終審査講評が載っています。三人の審査員の方々がそれぞれ受賞作、候補作に次回へのアドバイスも込めてコメントされています。
私の「先に生まれただけの人達」について、

・教師たちのキャラクターが個性的、特に委員長
・主人公に共通性を持たせよう
・現在のドラマを描こう、主人公に葛藤を
・準主人公を主人公によって葛藤させるのもアリ

という講評が一人目の方。

・今の時代ならではの小道具が面白い
・教師たちは個性的でセリフに味がある
・主役の登場のさせ方に難あり。早い段階で提示しよう

が、二人目の方。

意外にも、自分的反省とは逆の受け取り方をされたりして面白いなと思った次第です。
そして三人目の方なのですが…

・主人公のキャラが群を抜いており、個人的に最高点
・「クイーンズ・ギャンビット」に通ずる作風で、痛快
・社会的なテーマを含んだエンターテイメント作品、とにかく面白かった

と、大絶賛してくださいました。これは本当に嬉しかったです。

「面白かった」という感想ほど喜べるものはありません。
審査員の先生に、しっかり響いた、刺さったという事実が何よりの報酬になりました。


このS1グランプリのキャッチコピーである「あなたを売り込め!」ですが、この講評を読んでそれは成し遂げられたな、と自負した次第です。自分の思いや趣向を存分に盛り込んだ作品でしたから。
この上で、更に上の賞を目指すとなると次はもう、前項で綴ったように審査員の方々の好みを意識しなければいけなくなってきます。点数が最高点であるなら、もうそれしかないのです。ですがそれは「自分を売り込む」という観点では離れていってしまう事もあるでしょう。
これは、おそらくプロの方も抱えるジレンマだと思います。クリエイターの永遠の課題ですね。

なら私は、佳作という結果とこの講評を以て、このコンクールを卒業しても良いな、と思った次第です。
目標はあくまでプロになる事であり、コンクールは手段だからです。

来たる授賞式では

一人三分ほどのスピーチをするそうです。
何を話すかは大方決めていますが、やはりこのS1グランプリへの「ありがとう」を伝えようかと思っています。
応募10回、様々な事がありましたが
「終わり良ければ全て良し」

で、締めたいと思います。
…とか言いつつ、気まぐれなのでしれっとまた出す可能性もありますが(笑)。


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