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2021年夏・応募作「挟まれて、僕は裏返る」

一年前に応募した、一時間ものです。

混沌の執筆

…などと厨二臭い表現をしますが、要はモチベーションが危機的状況で、恒例のコンクール時期なので書くか…な作品、「張り」が無いのですね。
ですが、個人的にはこれはとても大事な一本でもありました。
それは継続、立て直しといった執筆姿勢のリセットの意味合いがあったからです。
これの一つ前に、「お支祓い」という金にがめつい巫女の話を書いたのですが、過去最低の結果に終わりかなり打ちのめされました。振り返れば「そりゃそうだよな」というクオリティだったので落ち込むほどでもないのですが、この有様で続ける意義があるのか、という思考が巡り、そうこうしているうちにやって来た次の締め切り…さぁどうする、な中で書いた作品です。もちろん毎回、「次こそは受賞!」と意気込んでいるのですがこの時だけは、何か「やり直し」感を抱いていました。

妥協の60ページ

初応募作「アタシが、A!」を除き、毎回必ず2時間もので応募してきましたが、先述の理由からこの時は1時間ものにしました。
知らない間に「絶対二時間」というマイルールに縛られていた事から、作品の出来も悪くなっていたのかな、と思い軽く書いてまず初心に還ることを目指しました。これは課題で書いた作品を原案としてアレンジを加えたものであり、オセロを巡り想い人と再会するラブコメを構想していました。

またも起こった、ヒロイン逆転劇

主人公小野賢太郎と、ヒロイン河村雫のラブコメディ…だったのですが、二人の間のお邪魔役と考えていたサブヒロイン中津玲香がグイグイ来て、小野をブン取ってしまいました。これはこれで良いのですが、問題は小野の気持ちをハッキリと描けなかった事です。「元々どちらが好きで、どう揺れるのか」これは恋愛ものに必須の要素なのですがここを明確にしなかったため、芯の無い主人公になってしまいました。
「お支祓い」よりは先に進んだものの、初期の応募作と同様の凡庸な結果に終わりました。
良かった点は、中津玲香がお気に入りな所くらいです(笑)。

それでも、キャラが生きている

創作をやっていると、「不満はあるけど好き」という自作品がチラホラあります。
この「挟まれて~」もそんな作品で、オセロを題材にした点など素材的にもっと活かせたであろうという後悔が大きい中で、玲香というキャラが躍動したのは(当初はオセロの腕前を磨くようなキャラではなかった)キャラ造りの醍醐味でもあったな、と回顧出来るものになりました。
これ、続きが描けるなら雫と折原の話も掘り下げてみたいんですよね。
コンクール応募作は、出してしまえば終わり、なのですがその後が脳内で描かれるような作品は得てしてお気に入りなのです。

個人的には、そんな作品を増やしていきたいと思ってます。

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