見出し画像

背中

 毎朝駅へと向かう際、いつも見る誰かの背中

 何を想い、何を背負って、どこに向かっているのだろうか

 眺めながら時々思考する時がある

 生きる為なのだろうが、何か違う

 ぼんやりと思いながら眺めてみる

 自分の事ではないから何も分からない

 当然だろう、所詮はひとなのだから

 夜に同じ路を変える時、朝と違う感覚がある

 きゃははと騒ぎ立てる若者達の背中、携帯片手に物憂げな背中の男性

 おいしくもない蕎麦屋の看板を眺めている男性の背姿

 あたりまえにある宵闇さえも制す街の光は、人の心を照らさず、何かさ迷っているかのように、闇夜を照らす。

 それがこの世、現世である。

 ほうと息を吐き家路を急ぎ、何より構築された我が意場所へと戻る。

 過去、誰かに聞かれたことがある。

 この街に住んでどこを気にいっている?、と。

 私は即座に答えた。

 私の住んでいるこの部屋がこの街だ

 その方は静かに、応えた。

 それが君の人生である価値観だ、と。。

 静寂。

 私の理はそれだと改めて知った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?