極貧フレンズ

大学で思いもがけず友達になった人がいる。
その名もワッキー

たまたま一人暮らしの家が近く学籍番号も近い。
兵庫県から高知県に大学進学したわけだが、なんと地元も近かった。

一緒に学校に行くようになるのだが、当時はとりあえず仮で抑えた友達という感じで毎日一緒に行くのが面倒に思っていた。

このことは後に本人にも伝えたのだけれど、ワッキーが何と言ったかは忘れてしまった。

”仮で抑えた友達”というカスみたいなワードだが、これは大学生あるあるだと思う。その場しのぎでとりあえず1人にならないような人間関係の構築するのだ。

あくまでもここは本命じゃないから、もっとおもしろいグループに属するんだ。

今思えば、みんな必死で情けない発想と人間関係が量産されていた。

そんな話もまたおいおいしたい。

なんだかんだあってワッキーとは現在も友達でいる。

大学生時代私とワッキーはなぜか金がない日々を送っていた。
周りはなぜか金がある。あるように見える。いや、ひたすらバイトしていたのだろうか。

ただ毎日「なんで俺らだけ金がないんやろうな」

貧乏な話ばかりするようになる。
バイクにお金をかけたりしていたのも原因の1つだとは思う。

俺たちは貧乏!それでもHIPHOP!というパンチラインが口癖になっていた。この頃ヒップホップカルチャーにどっぷりにハマっていた話もまたおいおい。

そんな大学時代を経て社会人になり、久々に高知県で会いうどんを食べに行くことになった。

初めていくお店にはいろんな種類のうどんがあったため、それぞれ違ううどんメニューを頼むことに。

「うまい、うまい。」とうどんを食べ始める。
ちょっとそっちのうどん頂戴とワッキーから言われて
ワッキーが私の器からうどんを取ると。

2本の麺をつかみ上げる。
するとワッキーが
ワ「あ、ごめん2本も取れてもた。」
私「いや、ええてそれぐらい 未だに思考が貧乏!」

そんなことを言っていると、麺がつるっと落ちて一本だけになった。
するとワッキーが
ワ「あ、よかった。」

これは取りすぎず済んで良かったという意味の「よかった」である。

私「俺もそっちの味ちょっと頂戴」
と言いながら箸を器にいれると麺が2本取れてしまったのである。
「あ、ごめん」と煽るつもりで言っていると、またツルっと麺が落ちて一本になったのである。

すかさず「あ、よかった」と言って器からその麺を一本を引き抜く。

それを見てワッキーが

「長っ」


私は思った。
彼はもうあちら側の人間、もう同じ世界には住んでいないのだと。

そんな彼は私より給料がいい。



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